<コンビニ創業戦記・附伝>「鈴木貞夫言行録」第12回

      2017/01/19  

第四章「コンビニ時代」(その6)

――1976年(昭和51年)~2006年(平成18年)--42歳~72歳

《「ローソン」(三菱商事グループ)時代》

――2000年(平成12年)~2006年(平成18年)--66歳~72歳――

「大崎本社移転」

三菱商事グループ入りしたこの時期は、商事出身の新浪社長体制となり、新しいカラーを打ち出そうと組織名称をガラリと変えたり、役員や幹部人事の交代など、化粧直し的な施策がいろいろと進められた。その一つが、芝浦から大崎への本社事務所の移転であった。

ちょうどそのころ、大崎駅周辺の再開発が一段落して、駅に直結するゲートシティ大崎イーストタワーが完成したばかりであり、私にとっては、芝浦よりはるかに通勤上便利な立地条件であった。私はここに約5年通ったことになる。

(大崎新本社外観)

「ゲストハウス名誉教授兼務」

――1999年(平成11年)6月~2002年(平成14年)5月ーー

当時、私は常勤監査役であったが、2002年5月までローソン東富士ゲストハウス名誉教授も兼務し、毎週2回はゲストハウスに出向いていた。

このころの詳細は、≪DCVS回想録・第20回30回≫に詳しく記しているので参照していただきたい。

ここでは、ゲストハウス館内報への私の投稿文と、BMC研修最後の講義内容の要旨を、掲出したいと思う。

《  「ゲストハウス館内報・『TOPG』 2002年・新年号挨拶 》

【 明けましておめでとうございます。

明るい新世紀の幕開けが期待された21世紀元年は、まことに多事多難でありました。

この1年の皆さんの誠実で献身的なご努力に対し、こころから感謝申しあげます。

迎えた2002年も、なお厳しい試練の時代が続くと思われます。

この状況下でローソンが輝かしい希望の未来を切り開いていくためには、次の「三つの再生」が不可欠であると考えております。

即ち、

1・志の再生=「オンリーワン・街のほっとステーション」の実現に全員が燃えること

2・マネジメントの再生=意識を変え、行動を変え、成果を変えること

3・現場の再生=「どこよりも元気で親切なローソン」を実現すること、であります。

新しくスタートしたローソンの新体制は、まさにそのためにあります。

今こそ、「ローソン商人育成道場」としてのゲストハウスの真価が問われるときです。

お互に、さらに精進を重ね協力し合って、使命を果たして参りましょう。 】

「ローソン東富士ゲストハウス・最終講義」

私は兼任していたゲストハウス名誉教授を離れて、2002年6月から常勤監査役に専念することとなる。

2002年(平成14年)5月30日午前に行なわれた「ローソン東富士ゲストハウス」での最終講義を紹介したい。

この日は『BMC第317期開講式』であり、受講店舗は、北海道1店、東北2店、関東7店、中部7店、近畿2店、中国1店、四国2店、九州2店の合計24店、参加者総数48名であった。

私は最後の講義に当たり、要旨次のようにスピーチした。

《 『BMC第317期開講講義』要旨 》

――2002年5月30日(東富士ゲストハウス)――

【 第317期のみなさん。

新しいローソン家族の一員として、心から歓迎申し上げます。

みなさんお互いは、今日初めてお会いされる方々がほとんどだと思いますが、今日からはお互いが新しいローソン家族の親戚となります。

お互いがローソン店オーナーとして新しい人生に挑戦される同期の仲間です。

ともに戦う共戦の仲間として、深い絆を結んでいただきたい。

ローソンチエーンという運命共同体の一員となられた皆さんは、今現在は未だ希望と不安で一杯だと思います。

二一世紀を迎えて、日本経済は、世界競争とデフレ不況の進行で、極めて厳しい状況にあります。

あらゆる分野で淘汰と新陳代謝が進行して、勝ち組と負け組の二極分化が鮮明化しています。

このところ独り勝ちといわれ続けてきたコンビニ業界も、最近は、コンビニ成長限界論やコンビニ飽和論なども囁かれています。

そんな中で、みなさんが敢えて、ローソンオーナーの道を選択し決断されたことに深く敬意を表します。

だが、コンビニ成熟論や限界論は、現象論、印象論であって、本質的なものでは有りません。

コンビニの進化の第二ステージはこれから始まります。

これは私の持論ですが、コンビニには「進化の三つのエンジン」が、業態そのものの中に埋め込まれているからです。

一つは「生活革命のエンジン」、

二つは「システム革命のエンジン」、

三つは「マネジメント革命のエンジン」です。

コンビニは、「買物のサポート」から「生活のサポート」へ、

そして「人生のサポート」へというプロセスで進化していくと確信しています。

ローソンは、このプロセスを、「ストアからステーションへ」というスローガンで示しております。

このBMC研修の目的は、

先ず第一に、「ローソン商人魂」の種子を、皆さんの心田に、しっかりと植えていただくこと、

第二に、ローソン経営に、必要な基礎知識と基本技術を、体系的に学んでいただくことにあります。

是非、このBMC研修を通じて、皆さんの希望と不安を、「使命感と確信」に変えていただきたいと念願しています。

最後に、皆さんが、ローソンオーナーとしての勝者となる条件は、

1に、お店の地域に惚れ、地域ののお客様に惚れ切ること、

2に、この商売に惚れ、ローソンに惚れること、

3に、自分に惚れ、得意技を磨き抜くことに尽きる、

と申し上げて、私のこのゲストハウスにおけ「ローソン商人魂」の伝承役としての最後の役割を終えることといたします。

私は今日からは別の立場になりますが、全国各地で活躍される皆さんお一人お一人のご成功を、心からご祈念申し上げます。 】

「講演」

この期間にも回数は少なくなったが、次のような講演の機会があった。

<講演リスト>

’01年(平成13年) 3月・「三菱総研FCビジネス研究会」(三菱総研ビル)

(講演レジメ表紙)

5月・「北海道・21世紀日食フォーラム」

(札幌プリンスホテル)

(案内パンフ・レジメ・講演風景)

10月・「フランチャイズフェア2001 IN OSAKA 起業セミナー」

(大阪産業会館)

(レジメ)

’03年(平成15年) 6月・「東洋大学特別講義」(東洋大学白山キャンパス)

(レジメ)

’05年(平成17年) 1月・「東洋大学特別講義」(東洋大学白山キャンパス)

(レジメ)

ここで、2001年10月開催の「大阪府主催の起業セミナー」と、2005年6月の「東洋大学特別講義」の講演要旨を、以下に続けて紹介しておきたい。

先ずは、2001年(平成13年)10月「フランチャイズフェア2001 IN OSAKA 起業セミナー」(大阪産業会館)におけるテーマ「フランチャイズビジネスの展望について」の講演要旨である。

「フランチャイズフェア2001 IN OSAKA 起業セミナー」の講演要旨」 》

――2001年(平成13年)10月(於・大阪産業会館)――

【   テーマ 『フランチャイズ・ビジネスの展望について』

今日は三つの切り口から日頃考えておりますことをお話したい。

一つは、「世界経済とフランチャイズ」、二つは「日本経済とフランチャイズ」、そして、三つは「コンビニとフランチャイズ」という視点である。

第一は、「世界経済とフランチャイズ」という視点で考えると、迎えた21世紀は、人類史上で、ITという新しい触覚を持つ新人類の時代が始まったといえる。

近代500年の世界史は、欧州を起源とする資本主義が地球上の他の地域をそのシステムに取り込んできた過程と考えられるが、1990年代初めの冷戦構造崩壊と、IT革命の進行で、資本主義経済が一挙に地球上を覆う状況が生まれている。

冷戦構造のイデオロギー対立と核戦争の危機が消滅して、ITと輸送手段の飛躍的進歩で、ヒト・モノ・カネが簡単に国境を越えて行き来する世界市場が成立した。これにより、世界の経済規模を急拡大させている。

この10年間の世界のモノ・カネ・情報の流れを見ると、

<モノの動き>

GDPは120%増えたのに対し、貿易量は160%増加。GDPに占める貿易量の比率は、16%から26%に達している。

<カネの動き>

海外直接投資が、世界全体で600%、先進国が732%、中近東アフリカが453%に達している。

<情報の流れ>

インターネツト利用者が120倍、携帯電話利用者が60倍となっている。

ただグローバル化の中で、モノ・カネ・情報が平均に分散してい行くのではなく、効率化の進んだ国や地域を選択し集中する傾向が強よまっていることに注目すべきである。情報の格差の拡大が、貧富の差の格差、富の集中を生むからである。

この10年間、先進国と途上国との富の格差が急拡大している、格差が憎しみにつながり、紛争の温床となっている。

貧困が先鋭化して宗教的エネルギーと結びつき、「9・11」の同時多発テロを生み出した一因とも見られている。

同時多発テロは、グローバリゼーションへの抗議であり、挑戦だとの見方が強い。

中長期的に、グローバリゼーションの負の影である拡大する貧困格差や環境問題の改善及び途上国の民生の安定を、国際社会が協力して推進していく必要がある。

生活基盤の整備、企業の育成や雇用機会の創造などの地道で長期的な経済活動が不可欠であり、フランチャイズビジネスもその一翼を担う可能性を秘めていると思う。

その意味で、フランチャイズビジネスは、世界性、社会性、時代性を持つビジネスフォーマットであることを強調したい。

フランチャイズビジネスの本質は、一つに理念共同体+システム共同体であり、二つの役割分担共同事業ということにあり、

その特徴をいくつか挙げると、①・生活密着・平和ビジネス、②・企業家育成・輩出システム、③・雇用創造システム、④・中小と大企業の共生システム、⑤・国際的連携事業システムなど、ということになろう。

第二は、日本経済とフランチャイズビジネスという視点からお話したい。

現在金融ビッグバン、会計ビッグバンなどの構造改革が進行して、日本の産業界は、「国民体育大会型競争からオリンピック型競争」の時代が到来している。

特に流通分野では、大店法から大店立地法へとかわり、「鎖国から流通開国」を迎えている。

「出店規制から環境規制へ」「中小保護から生活環境保護へ」「中央統制から地方分権へ」の流れが強まり、世界のメガ流通業の日本進出が激化して、適者生存・弱肉強食が進み、独り勝ちと合従連衡、合併・買収・提携が進行している。

このところ個人消費の低迷で、小売業や飲食業は全体では不振が続いている中で、フランチャイズビジネの成長率は高いという結果が出ている。

日本フランチャイズチエーン協会の発表によると、2000年度末の国内FCチエーンは1048社、店舗数は201499店で前年比13・2%、総売上は17兆7558億円に達している。

一方米国ではFC総売上高は80兆円に上り、小売業全体の約50%を占めており、総雇用者数は800万人、毎年約17万人の新しい雇用を創出しているのである。

日本では失業率の上昇に伴い、加盟店開業の動きが広がっており、雇用創造の役割も期待されるところである。

かくして日本経済再生に対するフランチャイズビジネスの貢献の実効性は、まだまだこれから発揮されると確信するものである。

第三に、「コンビニの進化とフランチャイズ・ビジネス」について述べたい。

21世紀に入り、マスコミやアナリストの一部に、「コンビニ神話崩壊論」や「コンビニ市場限界説」が出ている。崩壊論・限界論を大別すると次のようになる。

①・ライフサイクル論=米国のDPTやSM等の先例をみて、歴史は繰り返すという考え方

②・大量閉店時代論=成長率の減速、既存店前年割れの増大、店舗数が激減するという考え方

③・オーバーストア論=商圏人口3000人が限界という考え方

④・コンビニ終焉の時代の始まり論=淘汰と再編の進行

⑤・商社戦略取り込まれ論=コンビニと商社と提携の時代

この論議は大方、現象に囚われて本質を見ていない面があり、半分正しいが、半分は正しくないというべきだろう。

私は、これらの崩壊論・限界論を排斥したい。

その理由は、コンビニエンスの中心価値は時代の進展とともに変化し続けるが、それに応じてコンビニは進化し続けるからである。

コンビニは、先ずは「モノの満足」提供・買い物貧者・シングル層の生存サポートからスタートした。

それが今や、「サービスの満足」提供・地域に暮らす生活者の日常生活のサポートにまで進化している。

これからは、地域の一人ひとりのお客様の「心の満足」提供・すなわち人生のサポート基地とならねばならない。

コンビニは、《モノの満足》プ+《サービスの満足》+《ココロの満足》を提供する地域の生活基地をめざしている。

コンビニは、「ストアからステーションへ」の時代に入っている。

ローソンは、それを『まちのほっとステーション』というキーワードで表現しているのである。

コンビニの進化の歴史は、21世紀の先取りの歴史といえよう。

私の持論であるが、コンビニは、3つの進化のエンジンを内包している。

Ⅰ・生活革命のエンジン、Ⅱ・システム革命のエンジン、Ⅲ・経営革命のエンジンである。

第1に、日常生活に於ける絶えざる便利性の追求が、常に新市場を開拓・創造してきた。これは生活民主主義の絶えざる実践といえる。

第2に、先端的技術革新を積極的に活用して、常に先進的システムインフラを構築・運用してきた。これは情報民主主義の絶えざる実践である。

第3に、ザーとジーとの独立事業者間同士による役割分担共同事業を推進してきた。これは産業民主主義、経営民主主義の絶えざる実践である。

業種業態を問わず、自己革新を怠る企業と個人には未来はない。

21世紀初頭の厳しい世界競争の時代にあっても、自己革新を果たしうる企業には、ダイナミックな未来が開けると確信する。

これからは個人の時代である。またヴェンチャーの時代でもあるという。

生きている間に何かやってやろうではないか、というのがヴェンチャー魂である。この世に生を受けて、生きている証を大事にする。

それがヴェンチャー魂である。フランチャイズビジネスの本質を一言でいえば、ヴェンチャー魂ということになろう。

フランチャイズビジネスが、世界経済、日本経済、各産業分野の今日的課題の解決に貢献する形で、今後も発展し続けることを申し上げて講演を終わりたい。   】

《  「東洋大学 特別講義」(白山キャンパス・井上円了ホール)の要旨  》

――2005年(平成17年)6月(東洋大学白山キャンパス)--

【     テーマ 『メタ・コンビニエンスへの挑戦』

先ずは、今日までの自分自身の流通人生を振り返りたいと思います。

私は、昭和31年から今日まで約50年間、流通業に携わってきました。百貨店、飲食業、コンビニにと業種・業態・企業は移り変わりましたが、その時その時に、多くの失敗や成功の貴重な経験を積み重ね、今日にいたっています。

この半世紀の間に、影響を受けた多くの先人達やお手本となる商人として良き師との出会いに恵まれてきました。そのことをつぶさにお話すると時間がいくらあってもたりませんから、次のように一覧表にまとめておきましたで、ご覧ください。

ここで申し上げたい要点は①・出会いが人生を開く、②・歴史に学び、先人の生き方に学ぶ、③・歴史創造に参加しよう、の三点です。

(流通人生・半世紀を振り返る)

さて今日の本題は、Ⅰ・日本の商業再生の道、Ⅱ・コンビニ進化の歴史、Ⅲ・コンビニ進化のエンジン、Ⅳ・ローソンルネサンスの四つのテーマでお話します。

第Ⅰのテーマ・「日本の商業再生の道」について云えば、バブル崩壊後の平成時代に入っても、日本商業の停滞と不振は目を覆うものがあります。

小売統計によると店舗数で21年連続減(特にこの3年で10万店減)、売り上げ規模で6年連続減(この3年で8・7兆円減少)です。

その一方で、コンビニなどのフランチャイズチエーンは、着実に、店舗数、売上高ともに成長し、日本商業に於けるシェアと存在感を拡大させています。

その背景になにがあるのか。

一つは、冷戦崩壊後の急激なグローバリゼーションの進行に対応する日本経済の適応能力の問題、

もう一つは、高齢化・少子化の進行による人口構造の変化、単身世帯・働く女性の急増など、日本社会の急激な構造変化があります。

このような急激な内外の環境変化の中で、日本商業が再生を果たすためには、三つの方向が考えられます。

第一に、「生産者主権社会から生活者主権社会へ転換させること」です。

第二に、「リテーラーからマーチャントへ」、即ち、商人が「生産者の販売代理人から生活者の購買代理人へ」、とその役割を転換させることです。

第三に、その「モデルはコンビニにあり」です。コンビニは生活者主権の時代の先駆者です。

いま政治の世界では、①・自・社2党支配、②・官主導・規制・行政指導、③・国内中心保護主義、④・中央集権一極集中、⑤・政官財の鉄のトライアングル、といわれる「政治の55年体制」からの脱却が叫ばれています。

流通においても、①・大店法による保護、②・土地本位の含み経営、③・株式持合い・もたれ合い経営、④・年功序列・終身雇用制度、⑤・リベート・返品などの不公正取引、等々の「日本商業の55年体制」からの脱却が今や不可欠です。

そのために求められている構造改革の大きな流れは、①・官僚支配から民間主導へ、②・中央分権から地方分権へ、③・生産重視から生活重視へ、④・集団中心から個人重視へ、⑤・国内市場重視から世界市場重視へ、というキーワードに集約されるでしょう。

次表に日本商業の戦後の歴史と、主役の変遷を一覧表に要訳してみました。

(戦後小売業の主役の交代)

第Ⅱのテーマ・「コンビニの進化の歴史」、「コンビニの過去・現在・未来」について概観したいと思います。

コンビニの第一ステージは、1975年~90年代、高度工業社会における「コンビニエンスストア」の時代です。

この時期のコンビニは、誰もがすぐに消費できる必需品を、毎日、いつでも、どこでも、気軽に買えるお店、即ち、地域の「買い物インフラ」を追及しました。その主戦場は商品市場でした。

コンビニの進めた流通イノヴェーションは、営業時間革命、商・物・情流革命、オペレーション革命、商品革命、やがては生産革命をもたらし、24時間市場、シングルマーケツトの創造拡大につながり、一種の生活革命を起こしました。

第二ステージは、1990年~2005年代、つまり現在です。

コンビニは今、情報社会の進展とともに、個人の日常生活のあらゆる必要に応える「生活インフラ」へと変貌しつつあります。

即ち、ITによるチエーンインフラの整備と高度化・精緻化に伴い、商品市場の便利性向上のみならず、多種多様な広いサービス市場の便利性提供が可能となっているからです。これがローソンの称える「ストアからステーションへ」です。

そして、これから迎える第三ステージ、2005年以降の未来のコンビニは、個人の人生を基本的に支える「人生サポート基地」の追求の時代に入ります。、即ち、コンビニは「人生インフラの機能」を高めていくことになると確信しています。

次に、第Ⅲのテーマ・「コンビニの進化のエンジン」についてお話します。

私の持論ですが、コンビニは三つの進化のエンジンを具えている業態です。

一つは「生活革命のエンジン」、即ち「暮らしを変える力」です。

24時間市場、単身者市場、サービス市場などを開拓し、「いつでも、どこでも、誰でも、何でも、欲しい買えるお店の実現」に挑戦して、20世紀最大の生活変革と評価されています。

二つは「システム革命のエンジン」、すなわち「仕組みを変える力」です。

コンビニは、商流・情流・物流の流れを根底から変え、いわゆる流通革命を本格化させ、商品革命、生産革命を起こしています。

三つは「組織革命のエンジン」、即ち「マネジメントを変える力」です。

フランチャイズシステムの本質とその発展性に注目したいと思います。

ザーとジーという独立事業者間による役割分担共同事業であり、理念共同体+システム共同体=利益共同体というフランチャイズの本質を追求し続ける所にフランチャイズシステムの発展があるからです。

この三つのエンジンは、これからのあるべき生活主権社会の基礎となる「経済民主主義」、すなわち「生活民主主義」、「産業民主主義」、「経営民主主義」の推進力となるものであると考えています。

(コンビニ進化のエンジン)

最後に、そのためにローソンが果たすべき第Ⅳのテーマ・「ローソン・ルネサンス」について述べます。

「ローソン・ルネサンス」とは、三つのルネサンスを推進することです。

先ずは、「志のルネサンス」です。

21世紀を迎えて、グローバリゼーションや社会構造の急激な変化が進行する中で、ローソンの「志のルネサンス」は不可欠です。

①・「生活者主権社会構築の主役たらん」との強い経営意思・明確なビジョンを明示する、

②・全員が燃える様な熱き思いを共有する、

③・全員を巻き込む「エントレインメント経営」を具体化して徹底実践する、ことです。

次に、「マネジメントのルネサンス」です。

①・分権型経営、②・マルチ・リーダー型経営、③オープン・マネジメント原則を実践する、ことです。

そして極め付きは「現場・お店のルネサンス」です。

①・現場の知恵を活かす、②・現場(ハード・ソフト・マインド)を磨く、③・店風を磨き続けることです。

「ローソン・ルネサンス」を一言でいえば、「真のマチのほっとステーションを実現すること」といえましょう。

(ローソン・ルネサンス)

以上、ご静聴ありがとうございました。  】

 

「ローソン親善大使」

―― 2002年(平成14年)6月~2006年(平成18年)5月――

私は、常勤監査役退任後、特別顧問「ローソン親善大使に就任する。70歳になっていた。

ローソン親善大使の活動についての詳細は、≪DCVS回想録・第36回第43回≫を参照されたい。

次の資料は、私が親善大使として店舗訪問した際に、 お店でお話したそれぞれの年次毎の重点項目の資料である。

(2002年度)

(2003年度)

(2004年度の各年度にお店にお話した要点)

《親善大使・一期一会・写真追録》

以下の写真は、前述の≪DCVS回想録・親善大使全国訪店録・一期一会写真集(第36回第44回)≫に、紛れていて掲載できなかったのだが、改めて整理している際、見つけたものである。遅ればせながら追加して掲載させていただくことにした。

写真は、言葉や文字では十分に表現しきれない、多くの物語を感得させるものである。

一枚一枚の写真には、その時々の一瞬の思いが凝縮されている。

10数年過ぎた今でも、それぞれのお店の状況と共に、懐かしい皆さんのお顔が目に浮かぶ。

皆さんがたのご健在とますますのご多幸を、心からお祈り申し上げたい。

 

「わがビジネス半生と経営哲学」

日本食糧新聞社が、新聞紙上に連載した食品流通に関わる経営者・26名の方々のインタビュー記事を、一冊にまとめたのが、この本である。

不肖私のインタビュー記事は、2006年6月19日号の日本食糧新聞に掲載されたものであるが、本書の対象となる幸運に恵まれた。感謝して紹介したい。≪「鈴木貞夫の商人世界」・2006年7月号≫参照

(日本食糧新聞「わがビジネス半生と経営哲学」・2007年(平成19年)4月刊)

今号で、第四章・「コンビニ時代」を終える。

次号からは、現在、私が特別顧問を務めている第五章・「ソフトブレーン・フィールド時代」に取り掛かろうと思う。

以下次号で「鈴木貞夫言行録」第13回を掲載します。

(バツクナンバーは、「鈴木貞夫プロフィール及び目次と索引」を検索)