第329話 十二支巡り

     

やくよけの ねがいもふかき
みずすみて
ふるきほとけの そばぞゆかしき

深大寺の大師堂に掲げてある歌である。こういうのを拝見すると「あゝ、日本だなあ」とつくづく思う。

今年も「深大寺蕎麦を味わう集い」の日がやってきた。毎年12月24日に催されるが、今年は29回目になる。
お料理は、ここ数年は伝承料理研究家の奥村彪生先生が自ら作られて、奈良から運んでこられるようになった。

揚牛蒡の肉味噌和え
蒸黒豆と数の子のお浸し
鰙の佃煮
烏賊ソーメンのイクラー
(ikra)添え

今日のお献立には、「金牛蒡」が入っていた。噂には聞いていたが、口にするのは初めてである。宇陀の雲母を多く含んだ土壌で作るらしい。

お酒は、いつもの《浮岳山》。もちろん浮岳山深大寺のために造られた特別のお酒。「日本酒度-2、酸度2.0、アミノ酸度1.3、アルコール度数16.7度、と表示してあるから、通の人はだいたい想像できるだろうか。

そんな席で俳優の江藤潤さんが、舞台で共演中の演歌歌手のAさんのお話をされた。
「皆さん、ご承知のことだから話してもいいだろうけど、何年か前、ご主人同然の映画監督が自殺されたことがあったので、〝魔性の女〟と言われたこともあったけど、どうしてどうしてサッパリした気性の優しい秋田美人・・・。」

アラララ・・・、頭の隅にそんな記憶があったから、このブログに掲載している小説『コーヒー・ブルース』の、恵子さんのキャラとして設定したけれど、「そうか、その記憶だったのか!」と私は一人で苦笑い。

さてさて、今日のお蕎麦は、深大寺産の《ざる蕎麦》、幌加内産の《かけ蕎麦》、お土産に木島平産の《蕎麦》の三種。

そしてお土産に、例年むさし野深大寺窯製の十二支土鈴を頂くことになっているが、今回は真っ赤なお《申》さんだ。この深大寺のお土産と、寺西さん(江戸ソバリエ講師)お手製の「十二支の藁細工」と、石綿さん(江戸ソバリエ・ルシック)の奥さまたちが作られた「十二支の箸袋」を頂くと、新年が巡ってきたと思うようになった。
平成28年も、皆さまにとってよい年でありますように♪

〔江戸ソバリエ認定委員長 ☆ ほしひかる