食のイベント(5) ソバの刈り取り体験(山梨・白州)10/16(土)

      執筆者:編集部2

すでに2回の体験(8月7日ソバの種まき/9月25日ソバの花見会)の最終回。順調に育って黒い実をつけたソバの刈り取り体験を行った。

甲斐駒ヶ岳と八ツ岳に囲まれた白州鳥原平は標高600mで昼の日射と夜の温度差が10度前後あり、今年のような猛暑でも夜は過ごしやすく、ソバの実は良質のものができた。

前々回、前回同様、都会からそば愛好家が集合。一斉に鎌を使って手刈りした。

一般的に本州では刈り取りは種まきから約70日前後、10月の中旬から下旬にかけて行われ、刈り取ったソバは束ね、地干しした後、ハサ掛けし、約2週間天日干しし脱穀する。

黒い殻をかぶった玄ソバは、刈り取られた後も呼吸を続けている。
常に発芽するための生合成反応を行っているので常温で放っておくと脂質や葉緑素が化学変化を起こしてしまう。そこで現在は低温恒湿倉庫(2℃~3℃)で冬眠状態にして玄ソバを保管する場合が多い。

ソバの実を石臼で粉にしていくと、不思議なことに最初の挽き出しは色の白い「一番粉」で次にその外側の「二番粉」が出てくる。

ソバの実の断面

なぜか、それはソバの実は芯のある中心部分が一番もろく、堅くなるという事情になっている。よく手打ちそばを打つ時に「打ち粉」を使うが、この粉は中心部の胚乳のところで、グルテンがないので、麺の生地どうしがくっつかないように打ち粉を使っている。

真っ白の「二番粉」はのど越しのいいシコシコの更科系のそばは使われる。外皮部分の粉は黒っぽくグルテンが多いので、多少歯ぬかりはするが、中心部より香りが一段と強い、いわゆる田舎そばである。

ソバの実の中の部分をとりだす細かな「技」やそれを楽しむ「文化」は日本にしかない繊細な美意識である。