鮮客萬来(人間交流の社交場) {四夜}

      2016/09/30   執筆者:編集部

《外食交友語録》~仕事一途の人生観~  (肩書は当時のまま)

⑬大庄〈平 辰社長〉

「坂本さん、これからの居酒屋は"家族(家庭)の食堂"でなければなりません。憩いの場であり、一家団らんの場としての店です。お酒は提供しますが、食事中心のメニュー構成で良いと思います。あくまでも"食堂=ファミリーレストラン"なのです。そのために魚・肉・野菜などの食材は、『安心・安全・健康』を第一義に考え、調達していくのが使命だと思っています。」

⑭日本フードサービスチェーン協会・すかいらーく〈横川 瑞会長〉

「協会の課題としては、㋐外食産業が国民生活を豊かにするために何を成すべきかを明確にする、㋑フードサービス業界の再編成を図り、存在意義・価値を確立する、㋒大規模店と小規模店の出店摩擦をなくし、共存共栄を図っていく、ことに挑戦していきたい。」

⑮サッポロライオン〈石川 利一社長〉

「基本精神は"おいしいビールをどう売るか"にかかっていると思います。これからの方向性は、"ビヤホール"で出発した先輩方の精神を生かしつつ、世の中の変化、経済の変化に対応し、お客様一人一人に満足してもらう、つまり、おいしい料理を楽しい雰囲気で食べてもらうということが課題と考えています。」

⑯サントネージュサービス〈高橋 力総料理長〉

「"豊かな食卓づくりへの貢献"をモットーに、心を豊かに食生活をエンジョイしていただくための場を提供していくことを念頭に置いています。そのためにまず『ワイン』を、そして根本は何と言っても味覚の心、料理の提供にあると思っています。」

「ワインとつまみ、を根本に、日本的料理である"おでん"を"あさりのワイン蒸し"に置き換えたり、"たこ焼き"を"ピザ"に、"肉じゃが"を"ポテトのリヨン風"に調理しています。料理には日本の心を注ぎ、『醤油味』を原点に考え、使っています。またこうした料理にはワインをふんだんに使い、味の演出効果も盛り上げています。」

⑰吉池〈桜田 征料理長〉

「ドイツのコックはパワーがなくては勤まりません。屠殺もやるし、骨付きの肉をナタみたいな包丁でぶった切るんですから。それだけにみんな体格もいいし、自分の勤務時間中は、ほとんど立ちっぱなしで食事もしません。のどが渇けば、ビールを飲む程度ですね。」

「ドイツ料理で特にこれは珍しい、というものはなかったが、ソーセージを作るのがコックの重要な仕事であることが分かりました。ソーセージは皮から内臓まで余すところなく使って作る、一種のパテみたいなものだということを学びました。それがまたすばらしく美味しいんですね。料理長はもちろんマイスターですが、ソーセージを作る技術だけでもマイスターの資格を与えられます。」

⑱中央亭・モルチェ〈今井 喜八郎調理部長〉

「料理は一つ一つが"注意力"なのです。無意識に作っていたのでは、一応は作れるにしても、愛情がないので中途半端なものになります。調理場で先輩に蹴飛ばされながら、心と体で覚えるのが本当の料理です。そのことがひいては料理の"心"になるのです。大工さんの仕事は後に残りますが、コックの仕事は、後に何も残さず食べてもらうのが仕事で、愛情込めて作るという点では同じ意味になります。料理人はこのあたりの微妙な『食の論理』をわきまえなければならないのです。」

「戦後考えたことは、日本は将来"観光国"となる、ということでした。そこから料理は外国人に喜ばれるものを作るという発想で、本物の味を追求してきました。小僧の時から見聞したことをノートにとりました。それが現在までの重要な私個人のノウハウとなっております。帝国ホテル時代の先輩は恩師ともいえる人でした。これからの人は、良い職場で、良い料理長のところで精進してほしいと思っています。その意味で一人一人が試行錯誤しながら、愛情込めて料理を作ることを望んでいます。」