明治「乳酸菌OLL1073R-1株」免疫賦活能を示唆

      執筆者:shirai

明治は、フランス・パスツール研究所と行っている乳酸菌Lactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus OLL1073R-1(以下、乳酸菌OLL1073R-1株)を用いた共同研究により、同乳酸菌が産生する独自の多糖体(EPS)が、獲得免疫において中心的な役割を果たす免疫細胞の一種「T細胞」において、免疫活性化物質である「インターフェロンγ(以下、IFN-γ)」の分泌を促進することを見いだしたことを発表した。乳酸菌OLL1073R-1株は、これまでの研究から自然免疫に関わるナチュラルキラー細胞(NK細胞)に対し、賦活作用を持つことが確認されていた。同社とパスツール研究所は、その免疫増強作用のメカニズムや有効成分についての共同研究を2014年1月より実施。マウスに乳酸菌OLL1073R-1株が産生したEPS または蒸留水を経口投与し、腸管のCD4Tαβ細胞、CD8Tαβ細胞におけるIFN-γ産生細胞の割合を評価する方法で研究御行ったところ、同乳酸菌が産生する独自のEPSを投与したマウスは、CD4Tαβ細胞、CD8Tαβ細胞などさまざまなT細胞がIFN-γを作った割合が有意に高いことが示され、同乳酸菌のEPSが免疫活性化物質であるIFN-γの分泌を促進することが確認できた。同研究により、NK細胞にとどまらず、獲得免疫に関わるT細胞にも同株が作用し、免疫に対して広い働きを持つことが示唆され、この作用が、風邪り患リスク低減作用、唾液中の抗菌・抗ウイルス活性を持つ物質であるIgAの分泌促進作用など、これまでの研究で確認されている作用に結びついている可能性が期待されている。同社とパスツール研究所では、今後もこの研究に取り組んでいく。