たんぱく質を食べないと寿命が縮む

     

平均寿命が延びた秋田県大仙市の取り組み

今回は、「たんぱく質の摂取量は寿命に影響を与える」という、医師である溝口先生がご紹介してくださった事例をもとに、どういった内容なのかを詳しく見ていこうと思います。

 秋田県大仙市は、他県と比べ高血圧や動脈硬化などの生活習慣病が多く、平均寿命も短い地域でした。そこで、大仙市は積極的に市民の健康増進をはかることにしました。そのとき注目したのが「アルブミン値」です。

 アルブミンは血液中を流れているたんぱく質の約6割を占める重要なたんぱく質で、この数値が低いと生存率が下がることが実証されています。アルブミンの平均値はおよそ4g/dLですが、大仙市民の数値はそれよりやや低めでした。

 異常と言えるほどではないものの、この軽い「低アルブミン状態」が問題だと考えられたのです。そこで、自治体によって市民のアルブミン値を上げる食事指導がはじめられました。

 肉、魚、卵、乳製品、豆などのたんぱく質を含む食材をリストアップして「10食品群チェックシート」をつくり、少しでも食べたらシートに丸をつけるようにと指導しました。例えば、お魚の欄はご飯にふりかけをかけても◯、海藻の欄は海苔1枚でも◯という具合です。こうすることで、少しずつでもいいから10品目すべてを食べることを促したのです。

 この食事指導のポイントは、10品目中5品目がたんぱく質であることと、米やパン、面などの炭水化物は入っていないことです。たんぱく質は卵ばっかりとかお魚ばっかりというように種類を偏らせないことが大事ですし、炭水化物をとりすぎるとせっかく食べたたんぱく質の働きを邪魔することになります。

 さて、こうした食事指導の結果、大仙市の人たちのアルブミン値は上がり、平均寿命もあがって全国平均を上回ったのです。

 とくに注目すべきは、お肉やお魚などの動物性たんぱく質の摂取が増えたにもかかわらず、動脈硬化が減ったことです。「お肉や卵を食べすぎるとコレステロールが上がって動脈硬化になる」とよく言われますが、まったくの逆のことが起こったのです。

 大仙市の人たちは、これまでコレステロールが増えないようにと動物性のたんぱくを控えていたのではないのでしょうか。そして、それが元でたんぱく質不足になり、免疫力の低下や骨粗鬆症などが多発していたのでしょう。

 このように、とくに病気ではない健常な人がたんぱく質をたくさん食べるようになると、さらに元気になって平均寿命が延びるのです。まして、花粉症などアレルギー疾患のある人は、常に新しい丈夫な免疫細胞を作らなくてはいけないのですから、それだけたんぱく質をきちんととることが必要になってくるのです。

 それでは、また次回の記事でお会いしましょう!