健康ニュース 4月1日号 猫は本当に魚好き?

     

隣家のインテリ夫人「先生、聞いてくださいな、叔父と叔母がこんな会話をしているのです。肉料理が大好きな叔父に対して、歳のことを考え、叔母は魚料理中心に切り替えたらしいのです。すると叔父が猫でもあるまいし魚ばかり喰えるかと言ったというのです。叔母の言い分も分かりますし、かといって叔父の言っていることも理解できます。どうしたら良いですかね。アドバイスをお願いしますよ」

隠居中の大御所 暈穀菜「そうだね、まず歳のことを考えて、という言い方が間違っているな。なぜ歳を取ると肉より魚と思うのかね。歳を取ると胃腸の機能が若い時より衰えてくるから消化の良い魚料理が良いという者もいる。またエネルギー消費が少なくなるので、カロリーの低い魚料理が良いと言う説もある。でもこの考えは最近の医者や栄養学者の間では否定されている。高齢になればなるほど、体力維持、生活と積極的に取り組んでいくためには肉を食べることが欠かせない。理由?血液中のタンパク質であるアルブミンという成分は、高齢になると低下しがちなのだが、肉を食べることによって効率よく補ってくれるということだ。魚よりも肉を食べるとアルブミン値が高くなり毎日を積極的に生活していくというのだね。要するに肉と魚のバランスを考える食生活が良いのだよ。魚がダメとは言っていないからね」

隣家のインテリ夫人「ありがとうございます。叔母にも言っておきますわ。叔父の喜びそうな顔が目に浮かびます」

隠居中の大御所 暈穀菜「ところで気になる言葉があったのだがね・・・。叔父さんが、猫でもあるまいし魚ばかり喰えないと言ったとかだったよね」

隣家のインテリ夫人「ええ、そう言いましたが、それが何か問題ですか?」

隠居中の大御所 暈穀菜「誰が猫は魚好きと決めたのかな?その根拠は?」

隣家のインテリ夫人「昔から猫は魚しか食べないのではないですか?」

隠居中の大御所 暈穀菜「猫はネズミを捕まえて喰うということは聞いたことがないかな。猫はネコ科の動物で、仲間はライオン、トラ、ヒョウと言った肉食の動物ばかりだ。猫だって本来は肉食動物だよ」

隣家のインテリ夫人「でも誰でも猫は魚好きと思っているのでは・・・」

隠居中の大御所 暈穀菜「魚好きというよりも魚しか与えられなかったのだな。庶民が猫を飼えるようになったのは江戸時代と言われている。当時の猫の餌というと、残飯であった。まだ庶民に肉を食べる習慣がなかったからね。当時の人々の食生活がそのまま反映しているのだね。1970年代後半にアメリカのボードローという動物行動学者が実験した結果、猫の好きな食べ物順は、ヒツジ肉、牛肉、馬肉、豚肉、鶏肉で最後が魚だったということを発表している。猫用ペットフードも肉を主体としたらもっと売れるかもしれないな」

隣家のインテリ夫人「へー、そうですか。ペットフードメーカに言ってみようかしら。もっと前に分かっていたらサザエさんの主題歌も違う歌詞になっていましたよね。♬お肉をくわえたドラ猫が・・・。やはり♬お魚くわえた、の方がぴったりですね・・・」

隠居中の大御所 暈穀菜「そうだね。高齢者も猫も肉が大好きというわけだ。では焼き鳥で軽く一杯始めようかね。ボンジリの旨いのを買っておいたからね。ビールから始めよう!」