矢野経「17年度国内の容器市場結果と18年展望」

      執筆者:編集部

矢野経済研究所は2017年国内の容器市場について次のように発表した。主要飲料容器市場規模は国内出荷量ベースで、前年比99.6%(752億2,000万本)と推計されるもののPETボトルは前年比103.2%と好調であった。この背景にはPETボトル入りコーヒー飲料がヒットしたことで、大手飲料メーカー(ブランドオーナー)から新商品投入が相次いだことがあるものとみられる。一方で、紙カートンは前年比100.6%で横ばい、アルミ缶(同98.1%)、飲料用スチール缶(同94.0%)は低迷した。注目トピックとしては世界大手とのタッグによりゲーム・チェンジをはかる紙カートン業界、これまで紙カートン市場はシンプルな市場構図であったものの、ボリュームゾーンである牛乳に対し、日本製紙、日本テトラパック、北越パッケージ、石塚硝子の4社がゲーブルトップ(gable top)型紙カートンでひしめき合う一方、ブリック型紙容器では日本テトラパックと日本製紙が競合しているのが現状だ。また、凸版印刷と大日本印刷(DNP)はアルコール用バリアカートン市場においてしのぎを削っているのが垣間見られる。こうしたなか、市場が表層上で大きく動いたのは、2016年に日本製紙、大日本印刷、北越パッケージが各々海外有力企業と提携したことにあるが、これは大手飲料メーカーをはじめとするユーザー企業の付加価値向上を目指す動きの一環である。一方で各社の戦略は明確に異なり、日本製紙はまずはチルド流通向けでのポジショニング強化を目指しているが、大日本印刷と北越パッケージは常温流通用のアセプティック(無菌充填)容器を活かし、新たな事業創出を進めている。将来展望として2018年の主要飲料容器市場規模は国内出荷量ベースで、前年比100.5%の755億6,400万本を見込んでおり、前年に引き続きPETボトルが前年比105.1%で好調に推移している。一方、紙カートンは同101.1%の微増であるとみられる。紙カートンについては、主要各社が海外有力企業と提携したことで、新型容器の拡販が本格化してきており、口栓付きを含めた新型容器の普及拡大が期待されている。また、アルミ缶は前年比99.5%の微減である一方、飲料用スチール缶は同92.5%の縮小で推移するとみる。