フランス食品振興会「ブドウ成熟状況レポート」

      執筆者:編集部

 この数カ月の天候は、収穫が過去数年よりも遅くなることを予測させるものであった。第1四半期は、例年よりも寒かった(-1.8℃)が、第2四半期は、例年を0.4℃上回った。春は、涼しいという印象だったが、平均気温は1959年以来、この期間に記録されていた気温を0.2℃上回っていた。降雨量はほぼ例年並みで、わずかに10mmほど少なかった。発芽は、過去の年よりもわずかに遅かった(2009年の4月8日に対し、今年は4月15日。一方、2008年は4月20日であった)。5月と6月がかなり涼しかったために、開花の開始は6月6日とかなり遅めであった。しかし、2004年や2008年に対しては、2日早かった。色づきの開始は、今年はかなり遅く、2008年よりも4日遅れた。しかし色づきは8月の上旬に急速に進み、2010年のヴィンテージは晩熟ではあるが、2008年など、これまでの晩熟の年ほどではないことが確認できた(8月26日のサンプル検査では、早熟な区画や平均的な区画は2008年より6日早かった)。8月26日の時点では、直近の数日間の天気が良かったため、ぶどうは成熟を続けていた。総酸の減少とPHの上昇が緩やかになり、2010年の酸の可能性は、2009年ヴィンテージの糖度とPHのバランスに近い、良いレベルに維持されている。ぶどうの成熟の進み具合から、収穫の開始は、今後数日間の成熟度合いによるが、早熟の区画も含めて9月10日~14日と予測される。「最初の一歩」がこの時期となり、2010年は2009年や、2007、2003年といったかなり早熟であった年よりは晩熟のようだが、過去50年の平均並みに位置する。このため2010年は、栽培カレンダー上はクラシカルな年と考えられる。生産者は、予定されている収穫作業者の到着を待っている。ボージョレーは、シャンパーニュとともに唯一、手摘みが一般的だからである。ぶどう一株あたりの果房の数は平均11.3房で、収穫量は少なめと予想されており、これがぶどうの品質を向上させる。さらに、果実の重量は、この数年の平均並みで、収穫時の果汁と果皮の程よい比率が見込まれる。これは、ヴィンテージ の品質に対して、とても良い要素である。しかし、区画により収穫量に極端な差があることも、今年の特徴として留意しておかなければならない。