三通グループ「李社長・日中貿易について語る」

      執筆者:編集部

自動車、電子機器など日中貿易は年々拡大を続けているが、食品に限っていえば中国からの輸入が圧倒的に多く、輸出はまだまだといわざるを得ない。少子高齢化の影響で国内市場は大幅に冷え込んでおり、日本の食品企業にとっても中国貿易は欠かせない重要な課題といえる。こうした中、日中貿易の架け橋を目指す三通国際商事グループ代表取締役社長李振生氏に中国貿易の足がかりとなるマーケットポイントについてインタビューした。李氏は安易な考えで中国市場へ進出するとその成功は厳しいなどと警告、中国市場について、法律、商習慣及び食文化を研究し、その立場に立った企画が必要と語った。

「世界一のマーケットをもつ中国に対して、日本は地理的に近く、日本の食品企業にとっては大きなビジネスチャンスがあります。しかし、中国市場は決して甘くありません。中国では流通、商流、情報、決済など独自の食品代理店が多く存在しますが、一方で、零細企業が多く、物流及び情報システムの投資ができておりません。安い人件費で、やりくりすることが多く、情報や決済もいろいろな問題点が多く見られます。また人件費の高騰とともに、コストも高くなっているのが現状です。中国には日本のような問屋という役割をもっている会社が少なく、食品の販売についてかなりハードルが高いのです。特に生鮮と冷凍、チルド商品を流通させるには、全部、自社でやらなければならない状況です。同じ悩みを持つメーカーも少なくありません。そういったニーズに応えるために、三通グループと国分様で、今年、物流・卸機能を備えた三通国分商貿(青島)有限公司を設立しました。

文化・風土が違えば、食習慣・味覚・食べ方・商品の価値観がまったく違います。本当に、真剣に、中国で地に足をつけて販売する意思がないと、単に安全安心、おいしいだけでは中国での販売は厳しいと思います。中国人の為にアレンジして、こんなルートでこのように販売したいという強い意思があれば可能ですが、食文化、風土の違う日本の輸入食品をそのまま販売する事は大変困難なことです。正直申しますと、私の知っている限り、中国で販売して成功している日本の食品メーカーは本当に一握りにしか過ぎません。中国に対する理解のある経営者が背水の陣のような覚悟を持って、また、中国のマーケット及び消費者に対して、謙虚さを持って商品開発及び販促販売に全力投球するか否かによって、成功と失敗のわかれ道になるのではないかと思います。中国への進出は、まず中国販売の専属チームを作って頂き、市場調査、開発、試食販売等を始めることが肝要です。中国の言葉を借りまして、「不急、不慌、不失望」「急がず、慌てず、諦めず」の地道の努力を重ねて行けば、必ず成功できると思います。重要なのは「不失望才有希望」(諦めないことです)。

三通国際商事グループは土壌改良材、有機肥料をベースに中日の食品貿易に実績を持つ総合商社で「土壌から食卓までの一元化管理」をテーマにトータルフードマネージメントを目指している。http://www.youshoku.co.jp/