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鈴木貞夫のインターネット商人元気塾
鈴木貞夫のインターネット商人元気塾【バックナンバー】

鈴木貞夫

1956年一橋大学卒、同年現池袋パルコ入社、1976年サンチェーン代表取締役社長、


1989年ダイエーコンビニエンスシステムズ代表取締役副社長、1995年ローソン相談役、


1999年ローソン親善大使。現在ソフトブレーン・フィールド(株)特別顧問。


1992年(社)日本フランチャイズチェーン協会常任理事、副会長を歴任 。鹿児島出身

鈴木貞夫氏(すずきさだお)
1934年1月3日生

【12月号】


<コンビニ創業戦記>第19回
・・ロ—ソンのル—ツ「サンチェ—ン創業物語」・・


「サンチエ—ンの創業」
<サンチエ—ン時代(その1)>
——転機・ダイエ—との業務提携(2)——


 当時のダイエ—は名実共に日本一の小売業であり、云うならば強者の立場、対するサンチェ—ンは弱者の立場というのが大方の見方であった。

 従って、幹部や社員を始めフランチャイジ—達が、サンチェ—ンの独立会社としての今後の存続に関して、大きな不安を感じたのも無理からぬことであった。 その辺を配慮してか、提携の細目を決めていく交渉過程でのダイエ—側の対応は極めて柔軟であり、サンチェ—ンの独自性と自主性を尊重する姿勢が強く感じられたのである。

 提携直後、ダイエ—の中内社長から、T・V・Bの小松崎社長、柴専務と共に、かの有名な築地「吉兆」に招かれた事がある。 ダイエ—の戸田専務、藤本部長、ロ—ソンの都築専務が同席していた。 和やかな懇談の中で、私は中内社長に「ダイエ—のコンビニエンス事業の戦略」についてお尋ねした。

 中内社長は、「関西に強いロ—ソン、関東に強いサンチェ—ンが力を合わせて、日本一のコンビエンスチェ—ンを作って貰いたい」と話されたのをよく覚えている。

 やがて、ダイエ—本体に、サンチェ—ンとロ—ソンの両社を管轄するC・V・S事業本部が作られ、本部長には松岡康雄さんが就任し、それから長いお付き合いをする事になる。

 私は、翌昭和56年度(1981)を、「サンチェ—ンの第2創業元年」と位置付け、体制整備と社内の士気昂揚に全力をあげた。

 昭和56年は、ロッキ—ド事件の有罪判決、北炭夕張炭鉱ガス爆発事故、日航機羽田沖墜落、ホテルニュ—ジャパン火災など事件・事故の多発した年であったが、セブンイレブンが東証1部に上場を果たし、独走をさらに印象付けた年でもある。

 先ずは、社名を「(株)T・V・Bサンチェ—ン」から「(株)サンチ—ン」に変更、次いで別会社になっていた「(株)関西サンチェ—ン」を吸収合併して「関西運営部」とし、全国の一元的経営体制を整えたのである。

 加えて、「幹部会議」、「店長会議」、「FCオ—ナ—会議」などを通じて、これからのダイエ—グル—プ内に於ける(株)ロ—ソンとの生き残り競争に勝ち抜くための、サンチェ—ンの第二創業の意義とこれからの覚悟に付いて、熱く説き続けた。

昭和56年2月の「経営幹部会議」では、
 『これまでの第一創業期は苦難の連続であったが、我々はそれを、共々に、渾身の努力で乗り切ってきた。

 これからの第二創業期も、それに勝るとも劣らぬ、未知の道程である。
 努力もしないで開けていく安易な花道ではない。
 勝つか負けるかの、限界状況の連続であろう。
 「第一創業期の幹部」の意識の延長では、生き残れない。
 「第二創業期の幹部」、「21世紀のサンチェ—ンの幹部」は如何にあるべきかを、常に志向しながら、毎日の経営活動の中で相互に切磋琢磨していこう。

 そのために、次ぎの四つを「幹部行動指針」として実践をお願いしたい。

1・幹部は、常に素晴らしいサンチェ—ンの明日を思い描こう!
 そして、部下に、後輩に、わが社の未来、明日を力強く積極的に語って貰いたい。 毎日の努力が、全てサンチェ—ンの明日につながって居る事を実感させてもらいたい。

2・幹部は部下一人一人の仕事をよく見てあげよう。丁寧に指導しよう!
 そして、現場を、お店を自分の目で、足で確かめよう。 「真のお店のための本部」、「お客様のための本部」になるために!

3・新しい知識、情報や技術に敏感に強い関心を持って、視野を広げよう!
 固定観念ではなく、開かれたオ—プンな目で進歩を目指そう。 新しいものは内部にはない。常に外にあるからだ。

4・部下に積極的に接触し、常に試練・課題を与えて成長させよう!
 人材の層を厚くするのは、幹部のOJTしかないのだ。

 この1年を、人間として、商人として、サンチェ—ンマンとして悔い無き1年としていこう。』と訓示した。

 同じ頃の第15回「全体店長会」では、
『サンチェ—ンの第二創業は、企業にとっても、我々社員一人一人にとっても、大飛躍のチャンスである。

 日本一小売業・ダイエ—の仲間になったのだから、商人としての実力を高める大チャンスである。

 お互いに、商人としての「テクニカル・スキル(作業処理力)」「ヒュ—マン・スキル(人間関係力)」「コンセプチュアル・スキル(問題解決力)」を高めよう。

 そのために、日々の仕事・商売を通じて、

1・自分を鍛えよう!
 人生は、云って見れば、谷、谷、谷、の連続である。 登ったと思ったら、また谷である。 それだけに、負けない自分を作っていくことが大切だ。 鍛えは受身ではあり得ない。能動こそが、主体性こそが、強い自分を作る。

2・実績を示そう!
 商売は数字である。数値がどう変っていくかに生き甲斐を持とう。 売上が、客数が、客単価が、GP%が、経費が、ロスが、在庫が、日々どう改善・向上しているかに、商人としての喜びを感じよう!

3・気の充実を!若さの爆発を!
 我が親愛なるサンチェ—ン店長諸君に、

<「気」10則>
・男なら勇気を持って困難に挑戦しよう!
・常に強気で仕事に当たれ!
・頼り甲斐ある気骨を持とう!
・気合を入れて仕事をしよう!
・本気になれば必ず道は開ける!
・不可能を可能とする気迫を持とう!
・売る気を持て!必ず買って頂ける!
・病は気から。気力を充実しよう!
・八方に気配りしよう!
・やる気こそ人生勝利の要諦だ!

 を贈りたい。

この<「気」10則>の実践で、ともに勝利の道を前進しよう。』と訴えたのである。

(以下次号)

  
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