1956年一橋大学卒、同年現池袋パルコ入社、1976年サンチェーン代表取締役社長、 1989年ダイエーコンビニエンスシステムズ代表取締役副社長、1995年ローソン相談役、 1999年ローソン親善大使。現在ソフトブレーン・フィールド(株)特別顧問。 1992年(社)日本フランチャイズチェーン協会常任理事、副会長を歴任 。鹿児島出身 |
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鈴木貞夫氏(すずきさだお) | ||
【10月号】 |
<コンビニ創業戦記>第29回
<サンチエ―ン・ダイエ―グル―プ時代(その11)> 「CONPLETE・STORE創りへの挑戦」② 5・ぱあと3プロジェクトの推進 急速出店・高成長を目指すサンチェーンが、常に最優先で解決を迫られた課題は、24時間・年中無休営業のコンビ二店舗における人材の確保、育成とそのマネジメントの効率的な仕組みをどう組み上げるかであった。 創業当初の数年間は、社員の熱い使命感と猛烈なやる気であらゆる困難を突破することが出来たが、店舗数が500店を超え、フランチャイズチェーン化が進むようになると加盟店オーナーの個店労務管理システムの充実と確立が不可欠となる。 この課題を組織的に解決するため、昭和59年(1984)12月、「ぱあと3プロジェクト」(大屋裕リーダー)を発足させた。 24時間・年中無休営業のコンビ二店の運営は、加盟店オーナーに加えて、パート・アルバイト従業員が中心となる。 このパート・アルバイト従業員の戦力化の仕組みを、3ヵ年計画で本格的に構築しようと云うのが、「ぱあと3プロジェク」の使命であった。 私は、そのプロジェクト発足に当たり基本スローガンとして「HAPPY WORKINGの人の仕組み実現」を掲げ、別掲のような共通キーワードを明示した。 また、当時マクドナルドのマネジメントシステム研究者として知られていた山口広太氏に、プロジェクトのアドバイザーをお願いしたのである。 「ぱあと3プロジェクト」は、6ヶ月間店頭現場の観察調査による現状分析を行い、その後の6ヶ月でシステム仮説案を策定、更に1年間の店舗実験の上、3回の修正を加えて、 「サンチェーン・JTPPACシステム」(ジェーテイーパック)を遂に完成させた。 このジェーテイパック・システムは、お店のパート・アルバイト従業員の募集・採用からトレーニング、評価、給与、更に仕事のゲーム化、コミュニケーションの仕組みまでを、包括した画期的な労務のトータルシステムであった。 即ちサンチェーンの「HAPPY WORKINGの人の仕組み」を、その時点で実現することであり、その後今日のローソンの中に進化し、形を変えて引き継がれていくベースとなった。日経流通新聞は1面トツプ記事で取り上げ、CVS業界にも大きな反響と注目を呼んだ。 私は、昭和63年4月、「ぱあと3プロジェクト推進本部」(小木曾信隆本部長)を設置し、全店への計画的な導入に取り組んでいくことになる。 小木曽さんはT・V・Bグループ出身者であったが、誠実・温厚な信望厚い努力家で、サンチェーン・ローソン合併後の(株)ダイエー・コンビ二エンス・システムズ(DCVS)でも取締役に就任された。平成6年(1994)には、「5000店舗達成記念事業プロジェクト」の責任者として大活躍されたが、やがて病を得て平成9年に50歳そこそこの若さで急逝されたのは、惜しみても惜しみきれぬことであった。 告別式で、私は謹んで生前のご健闘に深謝し、心からご冥福をお祈りする弔辞を述べた。 6・サンチェーン「米飯委員会」・「カウンター委員会」設置 1000店舗達成を目前にしていた昭和63年(1988)度は、「開発深耕の年」と銘打ち、基本施策の一つとして、「米飯委員会」と「カウンター委員会」を発足させた。 サンチェーンにとって、米飯(お弁当、おにぎり、寿しなど)は、数ある商品の中で最重要戦略商品である。その理由は、米飯が ①・消費頻度が最も高く(朝食・昼食・夕食・夜食の一日4回)、集客性が最も高い商品であること ②・高値入であり、一番利益が多い商品であること ③・必ずお惣菜、・カップ味噌汁・お茶などの関連購買があり、客単価を高める商品であること ④・一度満足していただけると、繰り返し買って下さる固定客を増やす商品であること ⑤・ナショナルブランドが無く、サンチェーンのスぺシャリテイを強く打ち出すことができる究極の差別化商品であること などからである。 この米飯の1店当たりの売り上げを倍増するために基本戦略を立案・推進するのが「米飯委員会」の基本任務であった。 「カウンター委員会」は、コンビ二のセールスカウンターが、 ①・コンビ二の中で最も大切な売り場であること ②・お客様へのフレンドリーサービスの場であること ③・お客様のニーズ・ウオンツを直接受信する唯一の場所であること などから、セールスカウンター周りの商品、機能、オペレーション等を整理標準化し、強化・充実させ、他チェーンと明確に差別化された新しいサンチェーンの魅力あるカウンターを創造するのが基本任務であった。 1000店舗達成を契機に、このような諸活動を積み重ねて、お客様から見て、加盟店オーナーから見て、従業員から見て、またお取引先や業界から見て、サンチェーンが「本当に良くなった」「強くなった」「シテイ・コンビニエンスの完成度を高めた」との評価を頂こうという狙いだったのである。 (以下次号) |
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