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鈴木貞夫のインターネット商人元気塾
鈴木貞夫のインターネット商人元気塾【バックナンバー】

鈴木貞夫

1956年一橋大学卒、同年現池袋パルコ入社、1976年サンチェーン代表取締役社長、


1989年ダイエーコンビニエンスシステムズ代表取締役副社長、1995年ローソン相談役、


1999年ローソン親善大使。現在ソフトブレーン・フィールド(株)特別顧問。


1992年(社)日本フランチャイズチェーン協会常任理事、副会長を歴任 。鹿児島出身

鈴木貞夫氏(すずきさだお)
1934年1月3日生

【2月号】


<コンビニ創業戦記>第33回
・・ロ―ソンのル―ツ「サンチェ―ン創業物語」・・

<サンチエ―ン・ダイエ―グル―プ時代(その15)>
――シテイ・コンビニエンスへの挑戦(13)――

「商品開発挑戦の歴史」(4)

⑥・「スチーム温蔵ショーケース」の開発実験

お弁当やお惣菜、FFデリカ商品などを、温かいまま、「出来立ての美味しさのイメージ」で販売したいと、「スチーム温蔵ショーケース」の開発実験に取り組んだことがある。

普通の温蔵ケースでは、陳列時間経過と共にFF商品の水分蒸発が進み、味が劣化してしまう。販売時間が短くなり、廃棄も増えてしまうなどの問題があった。

そこで、ショーケース電機メーカーの協力を得て、昭和60年ごろ、蒸気で水分を自動的に補充する温蔵ショーケースを開発した。それによって、「FF商品の味を長持ちさせ、販売時間を長く出来ないだろうか」、と考えたのである。

既に第29回号で触れた「日本初のニューディア・INS実験」の三鷹仲通店で、店内の一部に、当時アメリカで人気があったレストラン・マイケルズに因んだファスト・フーズ専用の「MICHAEL'S・コーナー」を設けて実験したのである。



マイケルズ・コーナー」は、電子レンジ、電子オーブン、コーヒーディスペンサー、温水ディスペンサー、スチーム温蔵ケース、冷蔵リーチイン、冷凍ケースなどの機能を有機的に集合させたコーナーであった。

三鷹仲通り店の「マイケルズ・コーナー」には、サンチェーンのオリジナルFF商品が勢ぞろいされており、お客様が自由に、楽しく選べ、気軽に食べられる、若者のための新しいコンビ二のサービス空間を目指したものであった。

この実験は話題にはなったけれども、残念ながらチェーン展開に適応できるレベルにまでは、成功しなかった。

我々売り手の思惑ばかりが先行したことと、当時の電子技術水準では、微妙に差がある商品群ごとへの精密な温度対応などの必要に、機械的に、またコスト的に、適応できなかったからだろうと思う。

今日のコンビニ業界では、熾烈な「F・F商品の売り込み合戦」が繰り広げられているが、温藏ショウケースはなくてはならない必須の販売武器となっているといえよう。

⑦・「サンチェーン商品セミナー」の定期開催

フランチャイズチェーン本部と加盟店とのコミュニケーション取り方には、いろいろな手段と方法があると思う。

その中でも、加盟店オーナーさんと店舗従業員が一堂に会して、季節ごとの重点商品政策の説明や新商品展示、試食、商品陳列モデルの表示、Q・S・C向上のためのスキル指導などを行う「商品セミナー」は、極めて実践的で、有効且つ重要な方策であると思う。

サンチェーンは、当時、フランチャイズチェーンへの体質転換を最重要戦略として推進しており、漸くFC化率が50%を超えつつあった。

店舗に対する「シティコンビニエンス」としての商品政策の徹底浸透を目的に、「商品展示会」をセミナー形式で本格的に開催し始めたのは、1987年(昭和62年)9月の第一回「サンチェーン'87秋・冬商品セミナー」(於・東京流通センター)からである。

第一回「商品セミナー」は、「シティコンビニエンス・売れ筋発見」を基本テーマとして、オリジナルマーチャンダイジングによるサンチェーンのホツトな店つくりを提案するものであった。

展示場は、「サンチェーンシアター」「標準売り場コーナー」「モジュールパターン」「新商品コーナー」「FF・DF&オリジナル商品コーナー」「催事コーナー」「試食・トークコーナー」などで構成され、全国からのサンチェーンフランチャイジーや店長、店舗従業員が目を輝かせて参加し、熱心に学習した。

以後毎年、「春・夏」と「秋・冬」の年2回、その都度、創意と改善を加えて進化しながら、今日の「ローソンセミナー」に継続していくのである。

私は、商品セミナーの際には、必ず会場入り口に待機し、来場される加盟店オーナーさんや店舗従業員さんたちを出迎え、全員に歓迎の挨拶と握手をするのを常とした。

また皆さんが帰られる時にも、全員に感謝と激励の握手で送り出すことを心がけた。

このことは、私が平成18年(2006)にローソンを引退するまでの20年間、毎回の商品セミナーに於いて、自分の義務として実行し続けたことである。



⑧・JAPAN SHOP「フランチャイズ・ショー」に出展

80年代初めから、コンビ二業界の活力ある急成長とともに、フランチャイズ・ビジネスに対する関心が高まっていく。

流通革新と商業興隆を目的とした「JAPAN SHOP」は、日本経済新聞社主催で毎年定期的に開催されているが、国内は勿論、広くアジア各地から大勢の来場者を集め、注目されるアジア最大の店舗総合見本市である。

その「JAPAN  SHOP 」に、日本フランチャイズチェーン協会・協賛で「フランチャイズ・ショー」が同時併催されるようになったのは、80年代中ごろのことである。

サンチェーンも、フランチャイズチェーン協会加盟企業として、これに協力出展していく。

特に、「88'JAPAN  SHOP・フランチャイズ・ショー」(東京晴海見本市会場)では、サンチェーンのシテイ・コンビニエンスを、大いにアピールする出展を行った。

ショー会場の中央に、遠くからも目立つシンボルの円柱とDJステーションコーナーなどを設けて、SMB(サンチェーン・ミュージック・バトルロイヤル)の入賞者「JAG--TOY」や、サンチェーン放送局を紹介した。

更に「おかず屋さん」「おにぎりサンド」などのオリジナル商品も展示して、ひときわ楽しい雰圍気を醸し出し、来場者の好評を呼んだのである。





(以下次号)

  
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