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鈴木貞夫のインターネット商人元気塾
鈴木貞夫のインターネット商人元気塾【バックナンバー】

鈴木貞夫

1956年一橋大学卒、同年現池袋パルコ入社、1976年サンチェーン代表取締役社長、


1989年ダイエーコンビニエンスシステムズ代表取締役副社長、1995年ローソン相談役、


1999年ローソン親善大使。現在ソフトブレーン・フィールド(株)特別顧問。


1992年(社)日本フランチャイズチェーン協会常任理事、副会長を歴任 。鹿児島出身

鈴木貞夫氏(すずきさだお)
1934年1月3日生

【4月号】


<コンビニ創業戦記>第35回
・・ロ―ソンのル―ツ「サンチェ―ン創業物語」・・

<サンチエ―ン・ダイエ―グル―プ時代(その17)>
――シテイ・コンビニエンスへの挑戦(15)――

「サンチェーン創業満10周年について」(1)

ここで今一度、サンチェーンが創業満10周年を迎えた昭和61年(1986)を、少し詳しく振り返っておきたいと思う。

昭和61年は、昭和天皇在位六十年記念式典と東京サミットが開催され、衆参ダブル選挙で自民党が圧勝、第3次中曽根内閣が誕生した年であり、チャールズ英皇太子とダイアナ妃の来日で日本中が華やかな歓迎ムードに包まれたが、その一方で、三原山が大噴火したり、NTT株式上場が高い人気を呼ぶなど、記憶に残る年でもある。 私は、52歳になっていた。

この年、既に第28回・第29回(2009年9月号・10月号)で触れた「COMPLETE STORE」創りのための経営施策に加えて、次に述べるようなサンチェーンにとってエポック・メーキングな動きが続いていく。

*・ダイエーグループCVSとしてのドメイン調整

当時、サンチェーンの全国店舗数は850店舗に達していたが、この年の10月、ダイエーグループ・コンビニエンスとしての地域戦略調整を行い、北海道サンチェーン、東北サンチェーン、九州サンチェーンの計200店舗を、北日本ローソン及び九州ローソンに譲渡することを決定した。

サンチェーンは、関東、関西、東海地区の大都市周辺をドミナントする都市型の「メガシテイ・コンビニエンス」に特化しようとする戦略であった。

ダイエーグループ・コンビ二としては、ローソンを「ナショナルチェーン」、サンチェーンを「都市型チェーン」へと成長路線を特化することで、地方における同系列の競合を回避し、規模の利益を追求するという狙いもあった。

この地域戦略調整を円滑に推進するためには、
①・当該地域のサンチェーン社員に戦略意図を深く理解させること
②・当該地域のサンチェーンFC店オーナーの合意と協力を得ること
③・店舗の地位譲渡に関する家主承諾を取得すること
④・当該地域のお取引先の理解と協力を得ること
⑤・譲渡財産の確認とその評価など

のほか、多くの法的事務的課題もあり、限られた期間内で集中的に進める必要があった。

全社的体制による課題別タスクチーム(大原専務リーダー)を編成すると共に、地域移管のための準備活動をダイナミックに展開していったのである。

私自身、北海道、東北、九州の現場に度々出向き、社員、加盟店オーナーさんたちやお取引先との会合を開き、直接対話で理解を深める努力を懸命に行った。

同じ年の10月1日、北海道サンチェーン、東北サンチェーン、九州サンチェーンの社員325名は、北日本ローソン、九州ローソンへ無事に出向させると共に、全FC店の合意もスムースに終えることができたのである。

今から考えると、やがてその3年後の平成元年(1989)に、サンチェーン・ローソンが対等合併するための実践的な手続きの訓練となったともいえよう。







*・創業満10周年記念・第25回サンチェーングループ社員総会(1)

昭和61年11月5日、東京新橋のヤクルトホールにおいて、創業満10周年を記念して、「第25回サンチェーングループ社員総会」をにぎやかに開催した。

総会テーマを「変革」と定めたが、これは創業満10周年を期に「21世紀への第一歩を踏み出そう!」と位置付けたものであった。

「中内ダイエー社長記念講演」

社員の勤続表彰式やハワイ研修結団式などのほか、特別企画として、ダイエーグループ総帥・中内社長に記念講演をお願いした。

中内さんは、「変革の時代――プロのコンビ二エンスとは」と題して、持ち前の中内節で、熱く激励して下さったのである。

中内社長の講演の要旨は、
「今、世の中は大変な勢いで変革し始めており、日本の産業構造が大きく音を立てて変わりつつある。

物の自由化、金の自由化が進み、"世界の中の日本"ということが、我々の実際の日々の生活に蜜接に国際動向が生かされていく時代になった。

いろいろな面で我々の生活環境が変わりつつある。

従って、流通業も、これまでの固定観念を、全部打ち破る時代になってきた。

いよいよ日本においても、流通の革命が始まろうとしている。

その中で、近代的なお店としてのCVSの役割が益々重要になっている。

シテイ・コンビニエンスを志向するサンチェーンが、何処よりもいち早く『全店24時間年中無休営業』を実施したことは、『文化勲章に値する』ことであるが、あくまでもシテイ・コンビニエンスをもっと深く掘り下げ、何がお客様にとってシテイ・コンビニエンスであるかを常に考えていくことが必要である。

何が新しい消費者のニーズであるかということを的確に掴んで、他のチェーンより一歩早く、お客様のニーズに適応していくことが、プロのCVSであると思う。

『全て欲しいものはサンチェーンにいけば何時でも揃っている』ということで、シテイ・コンビニエンスをエンジョイするお客様に評価されるように、一層の努力と奮闘をお願いする。」

というもので、今日においても全くそのまま通用する内容であったといえよう。





右のダイエーグループ賞は、同じ年の9月に、神戸・芦屋の萬山荘で開催された「第3回ダイエーグループ創業祭」で、グループ優秀企業として中内社長から表彰していただいたものである。
(以下次号)

  
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