健康ニュース 8月15日号 電子レンジ調理は安全?

      2020/08/20  

 友人A氏が、酒席の場で次のように持論を語っていました。

「我が家では健康のために電子レンジは一切使用しない。電子レンジで調理された食べ物は、栄養分も減少し、また電磁波を受けたものを食べるのは体にも良いわけがない。がんにもなりやすいからね」

 同席のB氏が「化石人間だなぁ」とつぶやき、議論がヒートアップしました。

 確かに電子レンジが一般家庭にも普及し始めたころ、電子レンジでの加熱調理は、①食品の栄養素、特にビタミンなどは壊されるし、②電磁波が体に良いはずはない、③電子レンジでの調理食品を食べるとがんになるということが実しやかに言い伝えられていました。

 この電子レンジ有害説は日本だけでなく、海外でも広まっていたのも事実です。その一因としてがん予防療法としても著名なゲルソン療法を実践しているグループによる発言が考えられます。

 WHO国際電磁波プロジェクトの発表では、「従来型オーブンに比べて、電子レンジは安全面や栄養価においても何の変化ももたらさない」と発表しています。以前、これらに関して社団法人日本電気工業会に問い合わせをしたことがありました。電子レンジの過熱によるビタミンの栄養価が下がるという説には、食品中のビタミンには、焼いても煮ても数値が下がるものもあり、電子レンジ調理により特別に下がるということはあり得えません、と言っています。考えるまでもなく納得できる説明ではないでしょうか。

 さらにゲルソン療法は、電子レンジのみならず、全ての食材の加熱調理を避けるべきと謳っておる生食療法でありますので、比較すること自体無意味と考えます。

 電磁波による影響を述べる方もいますが、もし電磁波が健康を害するというならば、テレビもスマホもパソコンも電磁波を出している故、どのように納得できる説明をされるのでしょうか。

 電子レンジは、マイクロ波により食材に含まれる水分のみを振動させ、その際発生する摩擦熱で食品を温めるという論で機能しています。その際の電磁波を有害ということは、池に小石を投げ、発生する極めて小さい波を、あたかも大地震で発生した大津波と同じである、と言っているのに等しいと言えるのではないでしょうか。

 電子レンジから出る電磁波を有害という説に対して、WHOは「電子レンジの扉面には網模様の金属がついている。電磁波が外に漏れないようにするための、静電遮蔽という技術を用いており、外部の人に影響がないようにしています」とのことです。

 滑稽なのは、電子レンジ調理食品を食べるとがんになるという説に対しての説明で、場合によってはがんになる確率が高まるということです。その説明は以下の通りでした。

 電子レンジ調理では必ず耐熱容器を使用します。さもないと電子レンジの加熱により容器が融解し、場合によってはダイオキシンなどの有害物質が発生することも十分考えられます。それによりがんと結びつくことは否定できません、とのことでした

 この論争について小子は、B氏に軍配を上げることに全く躊躇はありませんでした。