東北地方大震災の被害額と腰をすえた被災者対策

      執筆者:編集部

東北地方太平洋沖地震の被害は日を追って増しているが、家屋の倒壊、道路施設、港湾、店舗、農産などの物的被害額はおおよそ20兆円に達する見通し。この金額は阪神大震災10兆円の2倍に相当し、被害状況の把握が進むにさらに拡大するものと見られる。一方、家屋、店舗、工場など民間施設の再建には多大の費用が発生し、阪神大震災と同じように二重ローン、三重ローンが発生する。阪神大震災では二重ローン、三重ローンで学業を断念した学生も多く、最低限度これだけは防がなければならない。民間施設の再建は銀行の融資がスムースにいくことが最低条件で、国の強力な指導が求められる。

阪神大震災では被災地域が神戸市、西宮市、宝塚市など限られた地域だったが、今回の地震は岩手県、宮城県、福島県、茨城県など広域にわたり、地震としてはまさしく想像を超える規模となっている。そのため復興には3年以上の期間が必要であり、仮設住宅、避難所などは長期にわたる使用を前提にする必要がある。阪神大震災では仮設住宅4万8000戸が用意されたが、今回の地震では25万戸(現在発表)が家屋倒壊しており、それに順ずる施設が必要となる。国、自治体は頭からこの数字を確保する気構えが必要であり、安易な対応では安心大国日本を語れない。