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鈴木貞夫のインターネット商人元気塾
鈴木貞夫のインターネット商人元気塾【バックナンバー】

鈴木貞夫

1956年一橋大学卒、同年現池袋パルコ入社、1976年サンチェーン代表取締役社長、


1989年ダイエーコンビニエンスシステムズ代表取締役副社長、1995年ローソン相談役、


1999年ローソン親善大使。現在ソフトブレーン・フィールド(株)特別顧問。


1992年(社)日本フランチャイズチェーン協会常任理事、副会長を歴任 。鹿児島出身

鈴木貞夫氏(すずきさだお)
1934年1月3日生

【8月号】


<コンビニ創業戦記> 第17回
・・・ローソンのルーツ「サンチェーン創業物語」・・・


「サンチエーンの創業」
<T・V・Bサンチエーン時代(その11)>
――「人材の城」創りへの挑戦(3)――

 


 社員総会には、必ずお取引先の皆さまもご招待し、オ―プンに、オブザ―ブして頂くのを恒例とした。サンチェ―ンのロマンと経営姿勢への深いご理解と、強いご協力を期待してのことであった。その都度、代表の方に、ご来賓として激励のお言葉を頂戴した。感謝の意味を込めて、幾つか挙げておきたい。社名と肩書きは当時のものである。 
「昭和51年11月スタ―ト、2年間に北海道、東北,九州へと全国展開、店舗数も200店舗を超えられたこと、おめでとうございます。
鈴木社長始め、幹部・社員の日夜の努力と一致団結の賜物と思います。
立派なサンチェ―ンの姿を、本日見せて頂きました。
今後、益々、CVS展開の激化が予想されますが、その中で、5000店舗!を、そして業界のパイオニアとして前進されますことを大いに期待しております。」         
(第6回社員総会 国分[株] 中瀬巧部長)

 

 「初めてサンチェ―ン本社を訪問した時に、非常に感銘を受けた事が三つありました。一つは、会社に気合が入っていること。二つは、マナ―が良いこと。受付の女性からトツプに至るまでマナ―が徹底していること。三つは、研修に非常に熱心であること。
この三点が、サンチェ―ンに対する初印象です。
人間と言うものは不思議な生き物であり、人間の力というものは無限ではないでしょうか。
チャレンジ!努力すればするほど、その効果は無限であります。
サンチェ―ンは、立派な会社になると信じています。
ご期待に応えるように、ご協力をさせていただきます。」
(第7回社員総会 三井銀行堀留支店 上田英一支店長)

 

 「CVS業界は、今後競合も激しくなり、それを克服するためにも、経営方針に基付いたノウハウの確立、量的な面のみでなく、質的な面の充実を図り、成長されますようにご期待いたします。この事業の将来は、誠に大きいと思います。
共々に研究し、手を取り合って頑張って参りましょう。」
(第7回社員総会 [株] 大山 大山俊雄社長)

 

 ハワイグル―プの総帥、[株]T・V・B小松崎社長は、一度だけサンチェ―ン会長として第10回サンチェ―ン社員総会に出席し、次のように激励した。「皆さん、T・V・Bグル―プ発展のために頑張って頂いて有り難う。私は、19歳で商売の道に入り、20年になんなんとしています。商売の真髄を一言でまとめると、「いらっしゃいませ。有り難うございました」と云うことです。
その言葉が形式的か、心から言っているか、お客様には直ぐ感じられるものです。これがよく出来ているお店は、繁盛しております。これが出来るようになれば、一人前です。商売をしていると言う事は、給与を貰っているから仕事をしていると言う考え方では、自分自身は高まらない。1年間、義務的に送った人と、心から「いらっしゃいませ。有り難うございます」と云った人とは、「感じの良い人」、「感じの悪い人」と、はっきり区別されます。感じの良い人は、リーダーにもなれるし、家庭、職場でも、又、経営においても、良い環境作りにつながるものです。これは自然に出てくるものです。例え、何らかの理由でサンチェ―ンを退社しても、これが身に付いていれば、どんな職場でも通用するものです。是非、明るく、そして自分のために、自分自身を高めるように努力してください。」
(第10回社員総会 [株] T・V・B 小松崎栄社長)

 

 組織的一体感を醸成するの次の柱は、「ソフトボ―ル大会」と「社員運動会」の定期的開催という、スポ―ツを通じて社員同志の心と汗の交流を深め合う事であった。
 「ソフトボ―ル大会」は、昭和54年(1978)4月、川崎東芝総合グランドをお借りして第一回を開催した。以後2ヶ月に1回のペ―スで開催していく。
創業期、サンチェ―ンの社員たちは、日本初の24時営業年中無休体制による急速出店の中で、懸命の努力を重ねていたが、特に各店の店長達は、現在のようにITインフラや店舗オペレ―ションシステムが整備されているわけではなく、それぞれ自分のお店に孤立して働いており、作業量も多く、勤務時間も不規則、パ―ト・アルバイトさんなどの従業員も絶えず不足しがちで、大変な苦労があった。
それを少しでも解消し、仲間意識を高めようと、当時最も手軽に開催出来たのが「ソフトボール大会」であった。夜勤明けの店長や、出勤前の従業員などが大勢集まり、事業部別対抗戦を行ない、優勝を競うのである。明るい青空,燦々と降り注ぐ太陽のもと、思い切り体を動かし、走り回り、汗をかいて、日頃の運動不足を解消しあったのである。私自身、本部チ―ムの1員として、みんなと共に走り回り、大声で声援を挙げて楽しんだものだ。
  
社員の中に甲子園出場校の野球部出身者などもいて、昭和54年(1978)9月には、サンチ―ン野球部「ビッグ・サン」を創設、ユニフォ―ムも統一し、お取引先などと対抗戦を行なったのも懐かしい思い出である。 
「社員運動会」は、簡単にできるソフトボ―ル大会とは違って、企画力と運営力が問われ、準備に時間と費用も必要である。第一回「社員運動会」は、満を持して、昭和54年(1979)5月16日、若葉萌ゆる「駒込六義園運動場」で開催した。
短距離競争,障害物競争、百足競争、二人三脚競争、パン食い競争、借り物競争、騎馬戦、棒倒し、綱引きなど運動会定番メニュ―を一通りこなすものであったが、何と云っても、当日の圧巻は、各事業部対抗のそれぞれにアイデアをこらした仮装行列であった。
会場が爆笑の渦に包まれる中で、全員快い汗を流す事が出来たのである。

以後、半年に一度、社員の家族なども参加して、春季・秋季と開催していく事になる。

 

 (以下次号)

  

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