<コンビ二創業戦記・別伝>「DCVS回想録」第24回

      2017/01/24  

「懐かしのローソン東富士ゲストハウス時代(1994~2002)(その5)

<社員研修に付いて>(その1)

今回は、ゲストハウスにおけるフランチャイズ加盟店以外の社員研修などについても書いておきたい。

私のゲストハウス在任中の社員研修には、「定期入社・社員研修」、「中途入社・社員研修」、「アシスタント・スーパーヴァイザー研修」、「スーパーヴァイザー研修」、「幹部研修」など、多岐にわたるものであった。

そのほかにも、運営本部や商品本部、開発本部など、各組織内研修も時々実施されていた。

私は「加盟店研修」への参加を最優先としていたが、毎年一度の「定期入社・社員研修」には必ず参加した。

その他の社員研修については、スケジュールの都合がつくときに、激励挨拶をさせて頂くこととした。

恐らく、その間の受講人員は、延べで1万6000人にのぼると思う。

 

 

<在任期間中の年度別の社員研修人員数>

 この中で私が関わったのは、「定期入社・社員研修」を初めとして、幾つかの研修の開講訓示及び修了訓示であった。

それらの幾つかに付いて、手元にある資料で、振り返ってみたい。

「ゲストハウ最初の研修・全国トレーナー研修」

正規開館直前の1994年(平成6年)8月上旬、ゲストハウスでの全ての研修に先駆けて、一番最初に行った研修は、「第1回全国トレーナー研修」であった。

トレーナーとは、加盟店研修及び社員研修の実務(基礎理論と店舗実習)を担当する、実行部隊である。

そのころゲストハウスは、本稼動にむけての準備中であったが、その総仕上げと運営の試運転をも兼ねて行われたのである。

ローソンは5000店舗達成を機に、フランチャイズ加盟店研修体系を、従来の地域分散型から集中型へと大きくヴァージョンアツプを目指していた。

そのため、「BMC研修」や「契約更新前研修」などを実際に担当するトレーナたちの、「意識と技術レベルの向上と標準化」が必須の課題であった。

当時、全国のトレーナーたちは、デイスクリクト・マネジャー経験者か、ヴェテランのスーパーヴァイザーから選抜されていたと思う。

ゲストハウス駐在となる予定のトレーナーを初め、全国各デヴィジョン地域での店舗実習を担当するトレーニングストア担当のトレーナーも含めた約200名のメンバーが参加した。

私は、ゲストハウスの大講堂で開かれた研修開講式にあたり、全国から参集したトレーナー諸君に対し、次のような趣旨の檄を飛ばして激励した。

【 記念すべき5000店の年の大事業の一貫として、ローソン東富士ゲストハウスの建設に取組んできたが、このように壮大な素晴らしい富士山麓の自然環境の中で、見事に完成することが出来た。

これを機会に、ローソンのオーナーさん及びクルーさんたちの研修訓練の内容と質のレベルを面目一新し、将に業界NO1のものとしなければならない。

皆さんは、今回のトレーナー研修を通じて、自分たちの仕事の意義と重要性を、しっかりと再確認して頂きたい。

トレーナーという仕事が、誰のためにあり、誰の役に立ち、また自分はどんな役に立つことが出来るのかを、問い直してもらいたい。

皆さんが、このゲストハウスで公式に研修を受ける栄光に浴する、「最初の社員」である。

どうか、真剣に学習し、体得し、実践して頂きたいと思う。

1994年度は《今年は元気5000店》のスローガンの下にスタートしたが、早や前半戦・上期を終えようとしている。

5000店企画という形で、いろいろな販促行事や記念イベントが実施されているが、いよいよ、メモリアルストア5000号店のオープンも、8月23日・岡沢店ということで、目前に迫っている。

我々は、まさに歴史を生きているのだ。否、新しい歴史の建設に参加しているというべきだ。

5000店達成の意義は大きい。

一言で言えば、ナショナルチェーンの土台、国民的ライフライン・インフラのミニマムサイズが出来上がるということである。

時代のメガトレンドは、グローバリゼーションの流れであり、あらゆる分野で革命的な変化が進行している。

 

 

  

<パラダイムチェンジの時代> <激変する日本の流通構造>

その中で進行しているのが、あらゆる分野での「主役の交替」である。

流通の面で云えば、流通革命の本格的進行ということである。この過程で価格革命が進み、価格決定権が生産者から小売りへと移行しつつある。

コンビ二は、流通革命の新しい主役として、「ストアーからステーションへ」の進化を、今後ますます進めていくだろう。

ローソンはいま、二つの戦略課題に直面している。

一つは、今日的便利性提供の精度向上、

     即ち、お客様満足と本部効率の向上を両立させることであり、

二つは、フランチャイズビジネスの精度向上、

     即ち、加盟店満足と共存共栄の向上である。

その中で、競争の重点が、「人」に移っていく。

そのことは、『教育とトレニングで差がつく・差をつける時代』、ということである。

顧客満足の決め手はサービスであり、サービスの差異化が格差を生むのである。

お店のクルーさんたちの生き生きした接客応対と爽やかな行動を生み出すものは、オーナーさん・経営者の熱意と信念である。

自らの仕事に満足感を持つクルーさんたちと、お客様の満足をつなぐものは、経営者としてのオーナーさんの信念である。

クルーさんたちの行動は、オーナーの確固とした経営理念と、それを地道に実践してゆく指導力によって作られていくものである。

従業員に本当に優しくなければ、お客様に優しいお店にはならない。

明るく楽しく働けるお店を作らない限り、クルーさんたちがお客様との対面の中で、喜びを提供できるような接客は生まれないと思う。

そのようなお店を作り上げるために、オーナーさん、クルーさんたちの『自律と自己実現』をお手伝いするのが、我々の任務である。

『志と情熱のあるトレーニング』を目指してもらいたい。

それには、『三つの気』が不可欠である。

Ⅰ・『元気」=常に溌剌と力強く、

  確信ある商人を育てる姿勢を示そう。

Ⅱ・『勇気』=前向きに、

  大きな目標に挑戦し続ける商人を育てる姿勢を示そう。

Ⅲ・『根気』=粘り強く忍耐と継続で、

   全ての人材を生かす商人を育てる姿勢を示そう。

常日頃、21世紀のトレンドをよく掴む努力を重ねながら、新しい時代の商人としての使命感・哲学を追求し続けたいと思う。

『21世紀、真の日本一ナショナルチェーン実現の主役は、トレーナーなり』、と自負して頂きたい! 】、と。

今振り返ると、その当時、経済ジャーナリズムのコンビ二の成長力に対する評価は高く、『コンビ二独り勝ち』と云うタイトルの記事が毎日のように紙面に躍る有様であったから、私自身の訓示も、相当に強気で、力が入っていたように感じる。

 

 

 

 

<日本経済新聞記事「快走続けるコンビ二」(上・中・下)>

数日間の合宿研修が終了した後、和やかに打ち上げパーテイを開いたが、トレーナーたちは熱気にあふれ、その意気はまことに頼もしく、極めて軒昂であった。

次号では「定期入社・社員研修」に付いて記述したい。    

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