健康ニュース 10月15日号 間食の栄養学とは?

     

間食の栄養学とは

 何年か前までは、間食はあまり薦められていない習慣でした。むしろ、間食の習慣がある人に対しては、間食ばかりして!と叱責の対象となっていたかもしれません。場合によっては、健康診断などで「間食を控えめにしてください」などのアドバイスを受けた方も多いことと思います。

 届いた「食品化学新聞」令和3年9月2日号の見出し「間食の必要性」を読みながら、「1日3食の他に高齢者は、間食として午前と午後のお茶の時間に何かを食べるように」と健康講演で話していた小子は思わず膝を打ちました。

 この新聞の中で、栄養士を目指す方なら誰でも知っている女子栄養大学の香川靖雄副学長が「国際おやつ(OYATSU)研究会の健康的な間食の栄養学として、栄養素、砂糖やエネルギー量、時間栄養学も絡めて様々な視点から意見、考え」を論じています。

 高齢社会の中でフレイルが問題になっていますが、間食の類によっては不足しがちなたんぱく質が配合された物もあり、間食をしている高齢者のほうが、していない高齢者よりフレイルは少ないという主旨内容です。

 またこのレポートでは、高栄養素食品指数(NRF)などという聞きなれない単語も出ています。

 要するに、朝食では栄養素などに関しては十分補われていないケースが多いので、間食で補うことを勧めている、と考えるのは間違っているとは言えないでしょう。

 食事と健康に関する考え方は、時代とともに変化しているのは、歴史が証明しています。

 現状のような超高齢者社会の到来をだれが想像していたでしょうか。時代に沿った発想が大切ですが、それは科学的に見ても間違っていない、という検証に基づいていることが必要です。

 高齢者診断を主としている多くの専門医は、高齢者の低栄養が今後大きく論じられるでしょう、と言っておられます。

 一時期に流行った「粗食が良い」という考えは、高齢者にとって論外の説であり、低栄養状態に直結します。

 メタボ対策として野菜中心の食生活になっていませんか?歳だからと言って魚ばかり食べて、お肉を敬遠していませんか?

 今、高齢者にとって怖いのはメタボではありません。むしろBMIを考慮したとき、少々太り気味、BMI値が25~26・5位の高齢者のほうが健康長寿であるというデータも数多く発表されています。

 今から十年以上前に流行った理想的な食事内容の標語に「まごわやさしい」というのがあります。

「豆・ゴマ油・わかめ・野菜・魚・しいたけ・イモ」を中心としたメニューが健康的で良いが、肉など動物性たんぱく質摂取は肥満など成人病の原因になる、として避けられていました。

 恐ろしいことに、まだこの標語を信じ、実践している方が多いのも事実です。

 日本人の3人に1人が65歳以上の高齢者である今だからこそ「腹八分が健康に良い」とか「間食の習慣は止めましょう」「高齢者には肉より魚を!」など、従来は正しいとされていた食習慣を見直すべき時期と言えます。

 1日3食をきちんと摂っても、得てしてたんぱく質が不足しがちとなっていることはデータ上でも明らかです。現役時代に比べると摂取エネルギー量も減っています。これらの不足がフレイルなどを引き起こすのも事実です。だからこそ、間食の必要性と意味が真剣に論ぜられているのです!  近 竹将