健康ニュース 6月1日号 大豆ミートはヘルシー?

     

お世話になっている方に誘われ肉料理をごちそうになりました。出された料理に堪能したころ「この店の肉料理はどう?」と言われたので「とても美味しいですね」と素直な感想で即答しました。すると「何の肉だか分かった?」とさらに質問を受けました。当然のことながら牛肉の産地、ブランドを問われたと思い、「神戸牛ですか?それとも・・・」と言いかけたところ「国産大豆ミートだよ。今話題の代替肉だ」と予想もしなかったことを言われ驚きました。

ファストフード店で大豆ミートのハンバーガーが話題となっていることは知っていましたが、評判のレストランにまで大豆ミートが広まっているとは驚きでした。

 帰路の車中で次のことを思い出しました。

 今から10年以上前のことです。大豆イソフラボンを研究していた某大学の教授がおられました。その教授が大豆イソフラボンをサプリメントとして発売をするという情報が入り、インタビューをしたことがあります。得々と大豆イソフラボンの効果について述べられました。発売も3か月後に予定しているとのことでした。ところが10日ほど経った時、大豆イソフラボンサプリメントの販売を中止する、という思いがけない連絡が入り再度インタビューに行きました。

 教授の話では,「近いうちに国が大豆イソフラボン摂取に関連した安全性などの情報を公表する予定です。内容について分かった範囲では、日本人には大豆イソフラボンをサプリメントで摂ると過剰摂取のリスクが限りなく大きくなります。そのリスクを考えた時、残念ながら販売を中止すべきであると決断をしました」と苦渋の表情で語られました。

 巷では、地球温暖化の一つの要因として、牛のゲップを上げる方がおられます。牛には四つの胃があり、ゲップによりメタンを放出し、それが温暖化の要因となるという説です。従って牛肉を食べるよりも大豆ミートを食べることで、温暖化防止に役立つという論ですが・・・。

 大豆イソフラボンとは何なのでしょうか?

 大豆の、特に胚芽に含有する複数の化学物質の総称で、化学構造が女性ホルモン(エストロゲン)と似ていることから大豆イソフラボンは植物性エストロゲンともいわれています。試験管内実験や動物実験では、骨粗鬆症対策、乳がんや前立腺がん予防などの効果が期待される一方、真逆ですが乳がん発症とその再発のリスクなども発表されており、健康に役立つということが立証されているわけではありません。教授もそのあたりを読み、販売を断念したものと考えます。

 環境保護ということと、米国などでは大豆イソフラボン摂取過剰の健康被害が問題になっていないということも重なり、わが国でもベジタリアンやビーガンといった人たちをはじめ、徐々に一般人にも大豆ミートが浸透をし始めています。しかしこれで良いのでしょうか?

 大豆の生産量を増やす目的で、一部の国では異常な森林伐採が生じています。これは地球温暖化との因果関係ありと専門家は危惧を指摘しています。

 通常日本人は、豆腐、納豆、油揚げ、豆乳などから大豆イソフラボンを一日平均40㎎程取っていると言われています。大豆イソフラボン摂取の上限は一日70~75㎎ですから、残りは30㎎前後ということになります。先述の教授の判断も、サプリメント摂取が即過剰摂取を招くという判断だったのではないでしょうか。

 アメリカなどで大豆ミート消費が増え続けているという方へ・・・

大豆ミートが安全というわけではないはずです。アメリカ人などは日常の食生活に、日本人ほど大豆製品を取り入れていない故、大豆イソフラボン摂取量にまだ余裕があると考えるべきではないでしょうか。