<コンビニ創業戦記『鈴木貞夫言行録』>(第68回)

      2023/07/07  

第6章(株)ミトリズ時代

『最近の読書シリーズ』(其の7)

  ヨハン・ノルべり著『オープン』を読んで(その3)

 第Ⅰ部・オープン②

  第3章・オープンな精神(続き)

    8世紀から12世紀にかけてイスラム世界がギリシャ・ローマ古典文明の後継者と

    なり、天文学、数学、医学、科学、物理学など驚異的に進歩させたが、

    13世紀に北からキリスト教十字軍、東からはモンゴル軍に侵略破壊され、

    1258年2月13日に、イスラムの黄金時代は終わりを告げ、

     さらに黒死病が止めを刺すが、ここで科学と哲学は、後のヨーロツパのルネサンスと

     啓蒙主義につながる学習の 命綱がつながる。

 後の16~17世紀における数学、物理学,化学、医学で、

   ヨーロツパでの新発見だと思っているもののすべては、

   多くの違う文明からイスラム文化が発達させたものなのだ。

 現代科学のルーツはヨーロツパではなく、世界的なものなのだ。

 中心的な役割を果たしたのは,形而上学から倫理学まですべて

    古代ギリシャのアリストテレスの思想である。

 キリ スト教会はアリストテレス禁止令を繰りかえし、邪教の説としたが、 だ

   グーテンベルクの印刷機が、人々の新しいアイデア や発見の知識を広げ、

   本の発行が、識字率を向上させた。

 16世紀になると大航海のお陰で、ヨーロツパ人は様々な新しい洞察、見知らぬ植物、

 未知の生物を、アメリカ大陸で発見し、インドや中国で、さらに進歩した科学や

 目新しい技法を持ち帰る。

 だが17世紀になり地球の小氷河期に入ると、反乱や内戦、国家崩壊が、各地で相次ぐ。

 ヨ―ロッパでは宗教改革が起こり、三十年戦争をもたらし、オスマン帝国は反乱に逢い、

 中国では明朝が満州族の清に代り、厳しい儒教国家で階層構造を確立し、

   イノベーションが嫌われ、知的生活が潰される。

   インドのムガール帝国は崩壊し始める。

 ヨーロツパも、政治、宗教、民族、言語的な分裂、城壁、自治大学、多くの違う宗派などで

   分裂していたが、 同時に商業、知的ネツトワークとエリートの使うラテン語で結ばれて、

  分断された大陸にはある文化的統一が存在していたので、

  他の大陸には存在しなかった 知識人の新しいアイデアや手法、発見への想像力を高め、

 やがてルネサンスと啓蒙時代、 産業革命をもたらし、

 その上に生まれ出たのが今の「現代世界」と云えよう。

  第4章・オープンな社会

何故、産業革命は、技術や人材に恵まれた中国ではなく、イギリスで起きたのか。

産業革命とオープン社会の始まりは、1000年前の中国の宋代(960~1279)

で起きた可能性もあったのである。

既に羅針盤で航海し、活字印刷の本を読み、火薬で戦っていたからだ。

宋代中国は、オープンな取引、オープンな門戸、オープンな心に基付く世界で最も進んだ文明だったのだ。

カール・マルクスは、「宋代中国は、既に18世紀ヨーロツパと同じくらい現代性に肉薄していた」と評している。

だがそうはならなかった。

宋を征服したモンゴルのフビライは、宋のオープン性のよき生徒として、科学技術遺産を継承し、

ユーラシアの各地の新しい技能や手法を組み合わせ、モンゴル帝国支配下に拡大し、大きな繁栄・進歩をもたらした。

だが、そのモンゴルですらペストの大流行には、勝てなかった。

モンゴル宮廷に対する反乱が続発し、1368年に漢民族の明朝が成立する。

これは中国の偉大なコスモポリタン時代の終わりを告げるものとなる。

新しい明朝は 知識人の活動制限、国内移動統制、海外貿易禁止など、

宋と正反対の反近代政策を行い、上からの伝統主義の社会を押し付けた。

1644年の満州民族による清朝の成立は、中国は正統儒教国家となり、そのオープンな伝統を完全に捨てた。

中国の進歩がこれほど脆弱だつたのは、中国政府が強すぎたためだ。

全能の皇帝と効率的な官僚制により中央集権化されていた。

ある皇帝がオープン性と交易を認めれば、結果は素晴らしいものとなるが、

それに反対すると決めれば、すべて崩壊するからである。

大航海時代を開き、新大陸を発見するのは中国のはずであった。

コロンブスのアメリカ大陸発見は、西洋に大きな衝撃を与える。

オープンで競争的な社会では誰かが成功すると、すぐに模倣される。

これは西洋と中国との決定的な違いであった。

それまではヨーロツパも、産業革命以前には、進歩と創造的破壊への攻撃がはびこつていたのだ。

先ずはオランダが、市民に革新と交易を行う自由を与えることで、当時に世界で最も豊かな国となる。

オランダに習い、次いで近代に到達し、産業革命を成し遂げたのはイギリスであった。

初期の産業革命の産業革命における優位性を生んだ理由は、政府が重要な技能を持った人々に自由を与えたことだ。

産業革命というと、蒸気機関に繊維機械を連想するが、もっと広範な進歩への信念が生まれたのである。

18世紀には、イギリスは啓蒙科学に心を開き、港湾を貿易に開き、門戸をあらゆる場所からの才能に開いた。

世界が進歩にとつて安全な場所となつたのはイギリスのオープン性が、

大西洋を越えて入植者たちによりアメリカに伝達されたためだ。

そこではオープン性が、世界最強の国を作るために使われる。

イギリスが工業化している間、アメリカはまだ農業経済で、

世界経済の中心から大きく離れた小規模な人口だったが、

イギリスにもましてアメリカの経済と文化はオープンであった。

独立宣言は、政府の目標は信仰と秩序と伝統だなどと述べず、各個人の生命、自由、幸福の追求だと述べた。

憲法はアメリかを一つの市場にし、国内関税も国境もなかつた

移住もオープンで、世界中から人々がやってきて、そのアイデアと技能をもたらし、

それを大陸全土に広がる新しい組織や事業ベンチャーで試す事が出来た。

やがてアメリカは、前の植民地領主であるイギリスに 技術と豊かさと勢力の免で追いつき、

追い越した。

1800年にイギリス経済は、アメリカの2倍以上の規模であったが、100年後、

イギリスは急成長していたにもかかわらず、アメリカはその2倍以上の規模となり、

世界政治に占めるイギリスの役割を圧倒していた。

経済的豊かさの始まりは、人々の道徳感情に革命を呼び起こし、偉大なリベラル思想に発展し、

奴隷制度の廃止や女性解放などの人道主義革命につながつていく。

このままいけば、素晴らしい理想の世界が実現しているはずであるが、現実はどうか。

新型コロナの世界的流行、ロシアによるウクライナへの侵略、米中対立の激化など、

この数年、世界の社会秩序を根本から脅かす多くの出来事が次々と発生している。

この混乱と、無秩序から抜け出す道はあるのか、次の号で著者の考えを共に確認しよう。

次号では、ヨハン・ノルべり著『OPEN」第2部「クローズド」の要旨を紹介する。

 

鈴木貞夫年譜・2023年度第2四半期①』

  4月 4日・朝礼

       ・部門長MT

    10日・新宿海上診療

    11日・朝礼

       ・PJTMT

       ・部門長MT

       ・フードボイス月例会(於学士会館)

    12日・買い物支援対策MT

    14日・新宿海上診療

    18日・朝礼

       ・部門長MT

    24日・SC会

    25日・朝礼

       ・部門長MT

    26日・取締役会

    27日・第1Q報告会

           30日・「東大・一橋」対抗競漕大会応援如水会南支部(於・戸田ボートコース)

     5月 2日・朝礼

     9日・朝礼

       ・部門長MT

       ・フードボイス月例会(於・学士会館)

    11日・第172回SCゴルフ会(於・千葉川奈CC)

 

 

 

 

 

 

 

    12日・新宿海上診

    13日・京都近鉄百貨店社友会(於・都ホテル京都8条)

    16日・朝礼

       ・部門長MT

    17日・一橋31年会幹事会(於・如水会館)

    18日・JFA定時総会記念講演会・懇親会(於・ANAコンチネンタルホテル赤坂)

    23日・朝礼  

       ・部門長MT

       ・部門報告会

   25日 ・月例取締役会

   28日 ・如水会埼玉南支部総会(於・伊勢丹浦和店)

  

 

 

 

   【前列中心に中野聡一橋大学学長)

   29日 ・第7回コロナワクチン接種

   30日 ・朝礼

       ・部門長MT

                          以上

(次号は『鈴木貞夫言行録』(第69回)を掲載します。)

――バツクナンバーは<鈴木貞夫プロフィールと『目次と索引』>を検索してください。――