健康ニュース 8月1日号 玄米食、色々な考え方

      2023/09/16  

隣家のインテリ夫人「市民会館で健康講演を聴いてきました。健康のためには玄米食の方が良いのかなぁという気持ちになりましたわ」

隠居中の大御所 暈 穀菜「玄米を土に埋めて水をやるとやがて芽を出すが、白米は絶対に芽が出ない。これは玄米には生命力があり、白米は生命力のないカスを食べていることになる、という主旨の講演ではなかったかな?」

隣家のインテリ夫人「ほぼそれに近い内容でしたわ。でも間違いではないでしょう?」

隠居中の大御所 暈 穀菜「間違いではないが論理的にはおかしい点があるね。講師は、炊いた玄米を食べているのだろう。雀のように生の玄米を食べているのかな?」

隣家のインテリ夫人「玄米を生で食べるわけがないでしょう。炊いた玄米に決まっているでしょう!」

隠居中の大御所 暈 穀菜「そうだよね・・・。でも炊いた玄米を土に埋めても絶対に芽は出ない、ということを誰も気づかなかったのだろうね。講師の話を疑問も持たずに聴いていたわけだな」

隣家のインテリ夫人「・・・」

隠居中の大御所 暈 穀菜「脚気の話もしていただろう?」

隣家のインテリ夫人「確かにおっしゃっていまし

たわ。江戸時代だったかしら、地方から出稼ぎにきた多くの職人が、白米を食べ続けた結果脚気になり、田舎に帰り元の食事(玄米食)に戻したら脚気が治った。これは玄米に必要な栄養素がたくさんあるからだ、と言うようなことをおっしゃっていましたわ」

隠居中の大御所 暈 穀菜「脚気という言葉を使うこと自体おかしいよ。江戸時代は、江戸煩いとか大坂腫れと言っていたのだね。江戸に来た職人だけでなく、地方から参勤交代で江戸に入った大名なども、精白度の高い白米を食べ続けた結果、体調を壊すことが多く原因不明の江戸煩いなどと言ったのだね」

隣家のインテリ夫人「そうですか。でも結果としては、玄米の方が精白米よりも栄養価は高いのでしょうね」

隠居中の大御所 暈 穀菜「それは言えるかもしれないが早まってはいけないよ。江戸時代の食生活は、一汁一菜が基本だ。一菜も香の物、つまり漬物とか梅干しの類だったことは残っている資料などからも明らかだ。これでは健康を保つに十分な栄養素は摂れていないというのは分かるだろ。その結果、江戸煩いになってしまったというわけだ。江戸煩いになった人が江戸を離れ、玄米や半つき米を食べる食生活を続けた結果健康を回復した。それゆえ健康のためには玄米を食べるべきと主張する人が多く世に出たのだな。1924年には江戸煩いはビタミンB1不足が原因と分かったという史実もあるよ。そこで質問だが、君の家での食生活は、一汁一菜かな?違うだろう?汁物にも様々な食材を入れているだろう?ビタミンB1不足ということは考えられないだろう?それでもまだ玄米を食べたいと思うかな?現代人の食生活は、主食・主菜・副菜のバランスを考えなくてはね」

隣家のインテリ夫人「玄米を食べることは全く無意味とおっしゃるのですか?」

隠居中の大御所 暈 穀菜「そうではない!ただ白米よりは炊飯にも手間はかかるだろうし、十分咀嚼しないと消化不良にもなりかねない。ワシが言いたいのは、玄米を土に埋めておいたら芽が出るとか、脚気の人が玄米を食べ続けると治ったから、玄米は素晴らしいのだ!ということだけで玄米食に切り替える必要があるのかを考えた方が良いということだ。加えてもし玄米食が健康に良いならば、入院患者になぜ玄米食が出ないのかなぁ?考えて欲しいね。ちゃんとした理由があるから調べておいてね。あぁ、もうこんな時間だ。届いたばかりの玄米煎餅を肴に、冷えた生ビールを飲もう!美味いよ」