健康ニュース 9月15日号 牛乳健康論の疑問

     

「その健康情報、信じて良いですか!」というテーマでの講演が反響を呼んでいます。

 主催者の要望により、参加者には事前に「質問時間を取りますので、質問のある方はあらかじめ係の人へ質問事項を出してください」と言っておくことが何度かありました。

 数多の質問の中で、どの会場でも目立つのは「牛乳は体に良くないのでは?」という関連の質問です。

 食卓に欠かせない牛乳。学校給食にも必ず出される牛乳。子を持つ親として、本当に牛乳は体に悪いのだろうか?という素朴な質問なのでしょうか?

 そんな中、ある会場では「牛乳は子牛が飲む物。子牛以外で飲んでいるのは人間だけ。おかしいと思いませんか?」という質問を受けました。率直に言って、質問者の頭脳は小学生以下。でないとしたら牛乳有害論に洗脳されているとしか考えられません。(もちろん質問者に対してはそんなことを言ってはいません!)

講師「あなたは卵を食べませんか?」

質問者「卵は食べますが、牛乳とは関係ないでしょう!」

講師「鶏は、あなたに卵を食べてもらいたいと思って、卵を産んでいると思いますか?」

質問者「・・・」

講師「人は生きていくために、長く努力と工夫を重ねた結果、様々なものを食料として利用できるようになりました。牛乳もその中の一つです。数多の飲食物の中でもカルシウムが手軽に摂れるというわけで、生活に密着していると言えます」

 もう何年前になるのでしょうか、アメリカ帰りの新谷弘実ドクターが出版した書籍で、牛乳有害説を紹介し、それ以来牛乳有害論が浸透し始めました。

 その著書の中で印象に残っている項目は*牛乳を飲み過ぎると骨粗鬆症になる*牛乳を飲むことで体内のカルシウムが尿と一緒に排泄される、などで海外の論文も掲載されておりました。

 メディアなどでも取り上げられたため大論争となったことはまだ記憶に残っています。そしてその論争の結果は…意外と知られていないようです。

 同ドクターの発言内容や著書に対して、社団法人日本酪農乳業協会は医学、栄養学、農学などの専門家で組織した「牛乳・乳製品健康科学会議の名の下、「科学的根拠に大きな疑問あり」と公開質問状を提出しています。

 これに対して新谷氏は、一度は回答書を出しておりますが、再度の質問に関しては無回答。結局新谷氏の「牛乳は体に悪い」など一連のレポートは、科学的根拠なしと結論付けられ、大手新聞などにも記事掲載されました。

 新谷氏のその後は・・・。

 著書などで「コーヒー浣腸」を薦めておりましたが、これも科学的根拠が無いのみならず、実践により腸を痛めるなど、薬事法(当時)違反で関係者が逮捕されています。また新谷氏が開発したサプリメント、酵素商品の展示会での取材の結果、新谷氏は高齢を理由に講演活動を一切やっていません、と関係者が言っていました。

 素人判断ながら、牛乳を飲まないから老化が進んだのでは?と考えてしまいました。

 周りにも、医者が言っているからとか、大学教授が発表しているからと頭から信じ込む人が多いです。

 思い出してください!「ココナッツオイルは認知症を防ぐ!」と言って、先頭に立ち旗を振っている大学教授がいました。

 消費者センターが「ココナッツオイルに認知症予防の根拠なし」と発表以来、その教授はいまだに何のコメントも発表していません。それどころか今は、ある野菜を主にした健康茶のPRを盛んにやっています。

 医師や大学教授の大部分は真摯に国民の健康に関わる仕事を全うしていることは疑う余地もないところです。それゆえ、目新しい健康法が発表されると容易に信じるのです。市民が論争するには理解し難いのが新健康論かもしれません。  近