健康ニュース1月1日号 膝痛とグルコサミン

     

隣家のインテリ夫人「70歳になったばかりの先輩がひざ痛で悩んでいます。お医者さんで診てもらいグルコサミン注射をしたところ少しは楽になったそうですが、注射が痛くて通院をためらっているのです。広告で見たグルコサミンのサプリを確かめてみようかなぁと言っています。アドバイスをお願いできませんか?」

隠居中の大御所 暈穀菜「グルコサミンの注射、我慢できないほど痛かったのかなぁ?子供でもあるまいしね。まず言えることは、グルコサミンやコンドロイチンのサプリは、ひざ痛緩和には効果が極めて少ないという臨床データが数多くあることを知って欲しいね」

隣家のインテリ夫人「でもテレビや新聞の広告では多くの方が、痛みが改善したように言われています・・・」

隠居中の大御所 暈穀菜「確かにその通りだよね。グルコサミンなどは人の体で生成される成分であり、膝軟骨の主成分の一つでもある。さらに関節のクッションとなる働きがあるのだね。そのグルコサミンが年とともに減ってくるから、それを補う目的でサプリが生まれたと言える。でもサプリで痛みが改善するかは別問題だ。面白い例で説明しようかね。何年も前に、脳に欠かせない物質としてグルタミン酸があると言われたことがあった。それゆえ成績の良くない子供や認知機能の衰えた高齢者にグルタミン酸を与えると良いという説が流れたことがある。結果は知っての通り、グルタミン酸を与えても成績が上がるわけはなかったし、認知機能が改善されることもなかったから、今では誰もそんなことを言わなくなったよね。グルコサミンも膝関節には欠かせない成分であることは間違いないが、サプリとして口から取り入れても胃腸で分解されてしまうのだよ。運よく血流に取り込まれたとしても膝軟骨は極めて血流の乏しい組織故、グルコサミンとして痛みのある組織にたどり着くのは極めて難しいというのが専門家の見方だよ。データもそれを証明しているからね」

隣家のインテリ夫人「では広告などで痛みが改善されたと言っている方は嘘を言っているのかしら?」

隠居中の大御所 暈穀菜「噓を言っているわけではないだろうね。あのようにあまり効果が期待できないのに、痛みが無くなった、というのをプラセボ効果と言うのだよ。世界五大医学雑誌の一つであるイギリスの医師会雑誌にも、ひざ痛と経口グルコサミンの効果はプラセボ効果と結論付けているよ。それよりもその友達がワーファリンなど他の治療薬を使っていないかを確認しておいた方が良いよ。ワーファリンなどの薬の中には、グルコサミンとの併用で副作用が出るケースがあるということだから。心配なら掛かっている医者に相談することだ」

隣家のインテリ夫人「そうですか。友達にはすぐ伝えますわ」

隠居中の大御所 暈穀菜「もう少し聞いて欲しいことがあるよ。君はずいぶん前から美容目的でヒアルン酸のサプリを飲んでいたよね。よく見ると今のところあまり効果はないようだな。それももっともなことだ。ヒアルロン酸サプリを飲んでも腸管で分解されほとんどがヒアルロン酸ではなくなってしまうからだよ。残念だったな。では我々もひざ痛で悩むことの無いようにグルコサミンの多い海老天を肴に一杯始めようかね。冷酒がいいかな」

*膝痛で悩んだとき、購入したいグルコサミンサプリなどについては、資料などを取り寄せたうえで、主治医や信頼できる薬剤師に見せて相談されることをお勧めします。(編集部)