協和発酵バイオ「タイ現地法人にHMO生産設備」完成
執筆者:motoe
キリンホールディングス(社長: 磯崎功典)の子会社である協和発酵バイオ(社長:神崎夕紀)は、2022年11月にタイの現地法人、THAI KYOWA BIOTECHNOLOGIES CO., LTD.(タイ国ラヨン県、社長:長野宏)において、HMO (Human Milk Oligosaccharide: ヒトミルクオリゴ糖)の生産設備を完成させた。HMOは母乳に含まれるオリゴ糖の総称で、母乳に含まれる固形成分の中で、ラクトース、脂質に次ぐ、三番目に多い成分。これまでに200種類以上のHMOが母乳から発見されているが、牛乳や他哺乳類由来の乳にはほとんど含まれず、特にヒトの初乳に多く含まれることから、乳幼児にとって重要な成分であることが知られている。HMO入り粉ミルク市場は欧米で継続的に伸長しているだけでなく、人口増加が見込まれる中国・東南アジア地域でも消費拡大が期待されており、今後の年平均成長率は20%~30%程度と予測されることから、協和発酵バイオは、2000年に世界で初めて工業レベルで大量生産が可能なHMO生産システムを構築。今回、消費拡大が見込まれるアジアへの展開と、優秀な人材やHMOの生産に必要な原材料が確保できる利点を踏まえ、キリングループのエンジニアリング部門の知見と技術を集約させてTHAI KYOWA生産設備を建設した。HMOの製造は今年から開始し、2023年から粉ミルクメーカーなどへの販売を始めるとともに、キリングループ内での商品開発も行い、HMOのニーズが高い世界各国への展開を目指すという。