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鈴木貞夫のインターネット商人元気塾
鈴木貞夫のインターネット商人元気塾【バックナンバー】

鈴木貞夫

1956年一橋大学卒、同年現池袋パルコ入社、1976年サンチェーン代表取締役社長、


1989年ダイエーコンビニエンスシステムズ代表取締役副社長、1995年ローソン相談役、


1999年ローソン親善大使。現在ソフトブレーン・フィールド(株)特別顧問。


1992年(社)日本フランチャイズチェーン協会常任理事、副会長を歴任 。鹿児島出身

鈴木貞夫氏(すずきさだお)
1934年1月3日生

【10月号】


「新宿商店会連合会」主催<元気を出せ!商店街!>講演会
2008・8・29 於・B I Z新宿 講師・鈴木貞夫
     講演 テ―マ 「元気を出せ!商店街!」 (第二部)
      ――商いの原点「勝つための商店戦略とは」――


※9月号と10月号の2回は、「新宿商店会連合会」主催「元気を出せ!商店街!」講演会での、 私の講演内容を掲載したいと思います。 <コンビニ創業戦記>「サンチェ―ン創業物語」(第18回)以降は、 11月号より再開いたします。


 
[A]・商店会として「地域力」=マチ力を高める


1、商店会の[組織的創発力]=チ―ムプレイを発揮する。

①マチの「愛称」「モット―」「愛唱ソング」「キャラクタ―」を皆で手創りする。

②マチの「パサ―ジュ化=遊歩道化」を進める。
  今、地井武雄の「ちい散歩」などの散歩番組が人気である。 800万人もの元気な団塊世代がリタイアし、「老いの時代」が進行している。時間に恵まれた年金世代が、 隠れた歴史や景観、人情のロマンと健康を求めて散策し合う時代である。それぞれの商店街が、住民、お客様、 行政を巻き込んで、時間と手間を掛けて、「居心地の良い、気楽に歩き回れる遊歩道化=散歩道化」を進めよう。

③楽しく、ゆったりと、安全に「歩き回れるマチ」を売り込む。
  「新宿マチめぐりガイド」「新宿遊歩=散歩マップ」「新宿五十三次絵図」、「新宿八十八ヵ所詣で図」「新宿史跡・歴史の坂巡り案内」「新宿探検帳」などを、地域のITオタクの力も借りながら共同作業で作り上げ、紙媒体やネツトのサイトに立ち上げて、「魅力あるロマンに満ちた楽しく歩き回れるマチ」を広報する。そのためにも、マチ中での自転車マナ―・自動車マナ―の向上策や環境整備を、行政と共に、地道に努力する事である。

2、地域の「歴史資産=共有埋蔵金」を発掘し、光を当てる。
  新宿は「お宝=埋蔵金」の宝庫である。新宿区の広報ホ―ムペ―ジを見ればよく分かる。 ここに掲載されているもの以外にも、忘れられ、埋もれているものも無数にあるはずだ。 「いい物語を持つロマンのマチ」「いい人たちが住み、楽しく集い、賑わうマチ」を創発するために、地域の「共有歴史資産=共有埋蔵金」をどんどん活用しよう。100の商店街があれば、100の地域の歴史がある。それぞれが地域の歴史を背負い、今日を生きている。先人からの預かり者である「地域の歴史」を、有名人だけではなく、無名ながら後世のために貢献した先人達の歩みと苦闘の跡を掘り起こし、光を当て、現代に蘇えらせていく事である。

①新しいマチの物語=ロマンを創り上げる。
    地域の古い歴史、文化、伝統、史跡、寺社、人物などの物語を深く掘り起こし、新しい地域の物語=ロマンを創り上げ、売り込む。地域には、石器時代、縄文、弥生、古代、中世、近世、江戸、明治、大正、昭和の戦前・戦後、そして現在の平成と、長い悠久の歴史がある。その歴史を背負いながら積み上げてきた地域の魅力を、物語化して現代に蘇えらせる事で、地域の人と人との絆を深め、地域の新しいアイデンティティとしていくことが出来る。地域の歴史が風化し、歴史を知らぬ世代が増えているという。だからこそ、歴史に光を当て、伝え残していくことが地域の魅力を深めるのである。元気に楽しく商売するためにも、地域を愛し、地域をどんどん自慢していく事が大切である。

②地域の「無形文化財」を活かそう。
  人々を呼び込み、マチに興味を持って貰うキッカケを、地域に生きる伝統や習俗、祭りなど地域の「無形文化財」(伝統芸能や文学、マンガ、アニメ、映画、TVドラマ、歌謡曲など)から、ゆかりのある物語を発掘して、ユニ―クな感動を創発して発信する。 又、古い地名の由来・起源を掘り起こし、物語に活かす。地名は、地域の自然や歴史、文化、暮らしの全てを包み込んできたものである。

③「マチのつながり」と「ご当地商品」を育て、売り込み合う。
  マチの「場末」「路地裏」「裏通り」「横丁」「穴場」の魅力と個性をお互いに売り込み合う。   「ご当地商品」として、老舗の「レトロ商品」、若手・新入り店の「アイデア商品」、地元の「達人」や「巧み」の「手作り逸品」などを取り上げ、育て、売り込み合う。

3、「お客様大切教」を実践するマチを売る。
  先ずは、地域住民を、そしてお客様を、老いも、若きも、子供も大切にする。   一時的なその場限りで消えてしまう目先のものではなく、後世に残るものを目指して、地域の人情や人の優しさに根ざした「新しいマチの風土」を作ろう。   そのために、住民参加、お客様参加の仕組みを作り、みんなの知恵、夢、情熱、提案などを引き出す中で、地域の熱心なサポ―タ―やリ―ダ―を見出し、育成し、力を合わせて協業していく事である。

①マチに、人々が共感、共生、共鳴できる憩いの「社交の場」を作ろう。
  マチは、ものを売るだけでなく「祭り」の場であり、コミュニケ―ションの場である。 マチ特有の新しい「祭り」や「イベント」の創発と共に、[マチの井戸端会議所]「町の憩い茶屋」「マチのカフェ・サロン」「マチの歴史記念館」「マチの溜まり場」など、住民やお客様も含めて、自由に、気軽に集まり、「憩う」「談論する」「支え合う」という開放的な「場」を作る。無名芸術家の玉が立ちの自由な発表の場、有能な新人発掘の場としても活かす。

②マチの「ライフライン=暮らしの命綱」の役割を売る。
  住民やマチに集まる人々に、「楽しく、元気に、長生き出来るマチ」「孤独死の無いマチ」として、生きるエネルギ―を贈る活動を進める。行政の手の届かない分野で、商店会の共同出資で起業し、「お年寄りに優しい」「弱者の味方」となる「コミュニティ・ビジネス」などの創発に挑戦する。

③マチ全体に「明るく優しい元気な挨拶」が飛び交うマチを創る。
    商売には、明るく快活な、生き生きとした、親しみ易い元気な雰囲気が不可欠である。 陰気で、堅苦しい、不機嫌な、元気の無い態度では、お客様はどんどん逃げてしまう。 マチの「モット―」を活かして、ユニ―クな好感の持てる「挨拶言葉」を作り出し、マチ全体で定着・流行させる事だ。 「声、仏事を為す」という。たかが「挨拶」と云うなかれである。「明るい元気な挨拶」は、 人を元気にし、マチを元気にする。

[B]、個店が「自店力」を高める。
  これからは「感動競争」の時代である。「感動競争」とは、「お客様の心を掴む競争」であり、「好感競争」「親切競争」である。「感動競争」に勝ち抜く要諦は、ご来店くださるお客様、お一人お一人を「本当に大切にすることに尽きると思う。そのために、それぞれのお店が、自店の「看板力」「人間力」「商品力」を磨きぬくこと、「良い店風創り」が大切である。「店風が商売する」ことを忘れてはならない。

1、自店の無形資産を活かす。自店の歴史はお宝=埋蔵金である。

①自店の「歴史」「創業の神話」「暖簾」に光を当て、強くアピ―ルする。

②マチに根を生やし生き抜く決意=「商人魂」を店頭に堂々と掲げる。

③「一店一役運動」を積極的に推進する。

2、自店の固定客を増やす。 お客様との絆を強め、深める。

①アナログ3種の神器(「名詞」「葉書」「電話」)活用する。商いの武器として、3種の神器を毎日実践・継続する。お客様リストこそお店の最高の資産であることを忘れてはならな い。

②デジタル3種の神器(「ホ―ムペ―ジ」「メ―ル」「ブログ」)を活用する。

③マチの声お客様の意見を集め、生かす「目安箱」などを作る。キチンと読んで、キチンと対応する。口コミこそが、顧客拡大の最強の武器である。

3、自店の「自慢商品」を育てる。

お客様が探して訪ねてくれるお店=自店のブランド化を目指す。

①自店の「自慢商品」をオリジナルPOPと口コミで売る。

②自店の「看板」「暖簾」「店頭」を大切に磨き直す。

③自店の「Q・S・C」を磨きぬく。

<終わりに>
  何と云っても、新宿は、「世界一の繁華街」「東京の盛り場の代表」 「日本の商店街のシンボル」である。 新宿が元気になれば、東京が元気になり、日本が元気になる。  日本が元気になれば、世界が元気になるのだ。 世の中を良くするためには、自分たちの身近な所から、自分たちの出来る事から少しずつでも始めていくことである。 地元の人たち、お客様たちとの連帯の中から、「面白い事」「楽しい事」「人々を元気にすること」「新しいマチの希望」を、自分たちの力で創発していこうではないか。

  そのために、地域の歴史と文化を再確認し、光を当て再生し、惚れ込み、命を吹き込んで、新しいマチの魅力を紡ぎ出すことである。 地域の繁栄と幸福のために、商店会が誰よりも心を燃やし、スクラムを拡大していく事が希望を拓く道である。 元気商人が主役の時代だ! 自分のマチを愛し、自分のマチに尽くし、自分のマチを興そう!

<「継続は力」なり。 自主・自立・自力で、初めは自分達に出来ること 簡単なこと、小さなことから、積重ねよう! 1年・3年・5年・10年と地道に続ければ 誇るべき大きな社会・文化遺産を 自分達のマチに、次の世代に 必ず遺すことが出来る!>  

(次号は<コンビニ創業戦記>「サンチェ―ン創業物語」第18回を掲載します)     

  
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