<コンビ二創業戦記・別伝>「DCVS回想録」第23回

      2017/01/24  

「懐かしのローソン東富士ゲストハウス時代(1994~2002)」 (その4)

<「修了祝辞」と「フェアウエルパーテイ」>

「BMC修了祝辞」

BMC研修最終日、いよいよ研修の締めくくりである。

研修生の皆さんは、これでやっと解放されるという喜びと、だが半面、研修を通じて新しい出会いの絆を深めることが出来た多くの仲間たちと未だ別れがたい、という名残り惜しい気持ちもあったことと思う。

研修の締めくくりは、それぞれのお店が、前夜おそくまで智慧を絞って作り上げた『五宣言』を、研修生全員の前で、個店ごとに、声高らかに宣言して頂くことから始まった。

皆さんが読み上げた『五宣言』は、それぞれのお店の『初心』であり、『誓い』であり、ローソン商人としての渾身の『決意』であったと思う。

一店一店が宣言を終える度に、全員が大きな拍手で称え合い、私は力強く握手で祝福した。

全店の『五宣言』の発表が終ると、私は、『五宣言』の意義を改めて強調する趣旨で、研修修了の祝辞を述べたのである。

【皆さん、厳しいBMC研修を、見事に修了されましたことを、心からお祝い申し上げます。

あっという間の1週間だったと思います。

特にPOSやストアコンピューターの操作訓練には、連夜遅くまで努力して頂き、本当にご苦労様でした。心から敬意を表します。

そして只今は、素晴らしい『五宣言』の発表、有難うございました。

皆さんが自分たちで智慧を絞り、練り上げたこの『五宣言』こそ、ローソン店経営の成功の鍵・お店の繁栄の鍵であります。

この『五宣言』は、四つの意義を持っていると考えます。

第一に、皆さんの『初心』であり、『お店の魂」であります。

お店の経営理念であり、商売の羅針盤であります。

迷ったら、「初心に帰れ!」の原点であります。

第二に、お店の『商売繁盛の基本』であります。

商売繁盛の『実践訓」であります。

お客様満足の創造、商売の原理・原則に立つものであります。

第三に、商売における『勝利の方程式』であります。

素直に、『五宣言』通りに実践し続ければ、

必ずお店は繁盛いたします。

個店間の競争に必ず勝利いたします。

第四に、『店風の源泉』であります。

『五宣言』は、「良い店風」を作り、

素晴らしい人材を育成していくエンジンです。

「店風」が商売をするのです。

「良い店風」が繁盛店を作ります。

総合して五宣言は、『ローソン商人魂』ともいうべきものであります。

自分自身の生き甲斐、働き甲斐、手応えのある人生建設の基礎となるものです。

その意味で、この『五宣言』を、お店の魂として、何より大切にして頂きたい。

どうか毎日、お店で仕事を始める前に、この『五宣言』の前で、いま一度、一つ一つ、再確認してから、仕事に取り掛かるようにして頂きたいのであります。

そのように、『五宣言』を日々血肉に染める皆さんの真剣な姿勢が、自然にクルーさんたちに伝わり、自ずと「良い店風」が出来上がって行くのです。このことを、強く確認しておきたいと思います。

本日は、「BMC研修」を、全員が合格されての修了式、本当におめでとうございました。

この研修を通じて、お互いに新しい「同期の桜」として、「生涯の仲間」としての絆を深めることが出来たと思います。

これからのローソン商人としての長い人生を、互いに励ましあい、競い合い、支え合って、勝ち抜いてくださるように念願にいたします。

皆さんのお店が、持続的に繁盛し、益々ご健勝、益々ご多幸でありますように、ご祈念申し上げて、私の祝辞といたします。】

 

<五宣言の意義>

この「五宣言」は、個店別に、重厚な『五宣言・楯』として作成されて、オープン日までにそれぞれのお店へ届けられ、店内に掲示されていくのである。

祝辞を終えると、私は再び皆さん一人ひとりの席へ向かい、お互い満面の笑顔で、祝意と激励の握手を繰り返した。

「更新前研修修了祝辞」

「更新前研修」の修了式も、やはり個店ごとの『五宣言』発表から始まった。

私の祝辞も、『五宣言』の意義を述べるのは同じであったが、やや具体的実践例を強調した。

【3日間の研修お疲れ様でした。心からご苦労様でしたと申し上げます。

皆さんは、この研修に参加して今の感想はいかがでしょうか。来て本当によかったと実感されていることと確信いたします。

コンビ二業界は、総体的には未だ成長段階にありますが、それでも厳しい個店間競争、個店の生き残り競争の時代に入っていることは疑問の余地がありません、

今まさに、「家業経営から企業経営へ」・「複数店経営への道・企業家への道」への意識改革が求められています。

競争に勝ち抜くために、一つは個店の「客数増加と客単価向上」がキーポイントであります。

その基本は、「固定客作り」であります。

そして二つは、経営者として安定的成長を目指すために、複数店経営の実現により、「家業経営から企業経営へ」と、経営の質を転換することが、必須条件であります。

複数店経営のキーポイントは、人材育成に尽きます。人材育成の基礎は、日々の努力の積み重ねによる「良き店風」作りにあります。

この二つの実践課題を、同時に実現可能とするのが、『五宣言』であることを改めて強調したい思います。

『五宣言』は、この研修を通じて、自店の理念を、皆さん自らの熱き想いを結昌させて、まとめていただいたものです。

『五宣言』こそは、「街のホツトステーション」としての志を深化させた自店の「魂」であり、明確な「実践訓」であります。

どうかクルーさんたちとの日々のコミュニケーションを通じて、この『五宣言』が、皆さんのお店の「良き店風」の源となりますように、お祈りしています。

『五宣言』が「良き店風」として定着していくことで、良き人材が育ち、お店の繁盛と成長を実現していくエンジンとなります。

皆さんの真剣な卒先垂範をお願いいたします。】

 

<固定客つくりのプロセス>  <更新前研修生からの感謝のはがき>

祝辞を終えると、通例の如く研修生一人ひとりの席へ向かい、激励の握手で感謝の心を伝えたのである。。

修了式後、全員で中庭に出て、記念の集合写真を撮影、ゲストハウス館内に掲示するのが常であった。各店にも、後日送付させて頂いたのは勿論である。

BMC研修では、確か第100期までは、ゲストハウスの中庭周辺に全員で、記念の植樹を行ったのも忘れがたい想い出である。

  

 <第100期更新前研修記念写真<第49期更新前研修記念写真>

「フェアウエルパーテイ」

最後に、研修修了のお祝いと出陣式の意味を込め、、ダイニングルームで、「フェアウエルパーテイ」を開催した。

初日の「ウエルカムパーテイ」の時の緊張し切った雰囲気とはさま変りに、研修という険しい山を乗り越えたと言う達成感と、これで帰れるという安心感、そして新しい出発への使命感とで、全員が高揚しているように見えた。

お互いの仲間意識も強まり、親密に和気藹々として、心なしか話声も、明るく弾み勝ちであったと思う。

私は、皆さんがこれから迎える新規オープンから暫くの間は、コンビニ戦争の修羅場に、必ず遭遇されるに違いないと感じていた。

新しくコンビ二経営をスタートされる皆さんが、24時間・年中無休営業というコンビ二経営のリズムに適応するためには、どうしても一定の時間を必要とするからである。

私は、

【皆さんへの応援歌として、水戸黄門の主題歌「ああ人生に涙あり」を歌いましょう。

今の皆さんの気持ちにピッタリだと思います。

一諸に合唱しませんか。】、

と呼び掛けた。皆さんからは笑い声が上がった。

歌詞をプリントして配り、カラオケ伴奏を入れて,全員で大きな声で合唱した。一体感が強まる気がしたものだ。

ドラマ「水戸黄門」は、勧善懲悪の楽観主義に貫かれた日本一の長寿番組であったことは知らぬ人はないだろう。

私はこれにあやかりたいと思った。

皆さんの商売が、どんな苦難にも負けないで、明るく前向きに、日本一長寿の商売を実現して欲しいと願ったのである。

《ああ人生に涙あり》

『一番 人生楽ありゃ 苦もあるさ

涙の後には 虹も出る

歩いていくんだ しっかりと

自分の道を 踏みしめて

二番  人生勇気が 必要だ

くじけりゃ 誰かが先に行く

後から来たのに 追い越され

泣くのが嫌なら さあ歩け

三番  人生 涙と笑顔あり

そんなに 悪くはないもんだ

何にもしないで 生きるより

何かを求めて 生きようよ』

この歌は、福岡シーホークホテル&リゾートで開催した「97’ローソン・オーナーシンポジューム」において、私が声をかけて、中内CEOにもステージへ上がって頂き、全国のオーナーさんたちと共に、合唱したことも忘れられない記憶の一つである。

 

 

<フェアウエルパーテイの歓談風景>

「お見送り」

フェアウエルパーテイを終えると、いよいよ、皆さんが帰途に着く時間である。

送迎バスで三島駅までお送りし、そこから新幹線、飛行機を乗り継いで、それぞれのふるさとへ帰郷されるのである。

ゲストハウスのトレーナーを初めスタッフ総出で、荷物の積み込みをお手伝いしている間も、「有難うございました」「ご苦労様でした」の声が、賑やかに行き交った。

最後の挨拶と握手を重ねて、全員が乗車される。

送迎バスがクラクションを鳴らしてスタートする。

我々は、整列して、「頑張ってください」と手を振る。

送迎バスの皆さんも、曲がり角を過ぎるまで、窓を開けて「有難う」と手を振る光景が、今でもマザマザと瞼に浮かぶ。

これが毎週のように繰り広げられたのである。

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