健康ニュース 12月1日号 今は昔、炬燵とミカン

     

隣家のインテリ夫人「ミカン狩りに行ってきました。とても甘味があって美味しいですよ。お土産に持ってきましたのでお召し上がりくださいな」

隠居の大御所 暈 穀菜「それはありがとう。さっそくいただこうかね。(皮をむいて早速口に入れながら)本当に美味いミカンだね。ちょっと喉が渇いていたので生き返った感じだよ」

隣家のインテリ夫人「お口に合って良かったですわ。風邪の予防にもなると言われていますしね。ご老体にとって風邪は万病の元。ミカンを召し上がって風邪予防に役立ててくださいね。でも食べ過ぎると体を冷やすと言われていますからね。あら、いやだ、釈迦に説法でしたね」

隠居の大御所 暈 穀菜「これほど簡単に食べることのできるみかんが今ピンチ状態らしいよ。データによると今から35年前には1人当たり15㎏近く食べていたみかんが今では5㎏以下になったそうだよ。その原因は何処にあると思うかな」

隣家のインテリ夫人「へー、そうなのですか。果物の好みが多様化したのではないですか。うちでも昔のように段ボール箱で買うということはなくなりましたけれどもね」

隠居の大御所 暈 穀菜「時間があるなら聞いておくれ。ワシの調べた結果は意外なところに答えがあった。なんだと思う?君の家でもそうだと思うよ」

隣家のインテリ夫人「もったいぶらないで教えてくださいよ」

隠居の大御所 暈 穀菜「それはね、家庭から炬燵が無くなったことだね。ミカンは炬燵を囲み、家族とテレビを見ながら包丁や果物ナイフを使わなで、手で皮をむける果物として重宝されていたはずだ。それに今頃は風邪が流行る時期でもあるわけで、ミカンの持つビタミンCで風邪を予防する狙いもあったのだね。常温で2~3週間は保存できるから、君が言ったように昔は段ボール一杯の箱で買う家庭も珍しくはなかったね」

隣家のインテリ夫人「子供のころ、確かにお正月前には段ボール一杯のミカンが置いてありましたね。炬燵との関係があったとは知りませんでした」

隠居の大御所 暈 穀菜「今と違って健康管理のサプリメントなど無い時代、ミカンは風邪予防だけでなく便秘解消にも役立っていたんだよ。また今でいう冬場の熱中症対策にもなっていたのは疑う余地もない。ミカンの90%近くは水分だからな。加えてミカンに含まれるβ‐クリプトキサンチンという成分は骨粗鬆症、糖尿病対策とか免疫力アップや美肌効果も期待できるらしい。またへスペリジンというビタミンPは皮やスジの部分に含まれているので本当は薄皮ごと食べるのがいいのだよ。ビタミンPは毛細血管、コレステロールなどに良い効果を与えると考えられている。上品ぶって薄皮を取って食べるのはミカンの持つ特徴を活かしていないと言えるな。結論をいうと、多くの家庭ではリンゴを食べる時に皮をむいているらしいが、手軽に手で皮をむけるミカンの消費が減ったのはやはり家庭から炬燵が消えてしまったことが原因だというワシの説に間違いはないと思わないかな」

隣家のインテリ夫人「何気なく食べていたミカンにもいろいろなストーリーがあるのですね。勉強になりましたわ」

隠居の大御所 暈 穀菜「いや~、喋り過ぎたな。今度はミカンと違うものでのどを潤そう。冷酒にピッタリの肴は任せたよ」yjimage2