健康ニュース8月15日号 健康食品とステマ疑惑
高齢者学級の健康講座の講師を務めていますと、性善説のみの世界ではないかなぁ、と考えてしまうことがあります。
多くの高齢の方は何らかのサプリメントを利用しています。それはそれでどうこう言う問題ではありません。サプリメントの世界も、他の分野同様に玉石混交であることはやむを得ません。
ただ次のようなことはいかがなものでしょうか。
「このサプリメントは1個5000円です。これを購入の方には、安眠できる市価1万円の枕をプレゼント!」
小子ならば「サプリを買いますから枕の原価分を引いてください」と強く申し込むことでしょう。
競争の激しい健康食品業界で問題になっていることがあります。
数年前に公共放送の朝の情報番組で、大手乳酸菌メーカーのある商品が、インフルエンザの予防に有効と報道され、あっという間に品薄状態になり、現在でも最も売れている商品の一つということです。さらにこの製品にはある有名大学医学部のA教授がステマ疑惑を持たれているというのです。
ステマとは?正式にはステルスマーケティングの略語で、宣伝であることを隠して宣伝。例を挙げるとテレビ番組や記事の中に潜り込ませた広告で、消費者には広告と気づかれないように宣伝することを意味します。
寅さんの映画で見かけるサクラ行為といえるかもしれません。
トクホや機能性表示食品でもないのに、また宣伝内容も決して効果効能を言ってはいないのにもかかわらず、消費者はA教授が「人のインフルエンザにも有効」と言っていた錯覚に陥っているのです。消費者個人が思い込むのは勝手でメーカーの責任とは言えないというのが関係者の言い分です。チラシなどを注意してよく見ると、商品の効果効能ではなく個人の感想です、と書いてありますね。
大学教授といえば本来は尊敬されるべき立場ですが、近年ではステマ戦略の先頭に立って旗を振る教授も数多く見られますので十分注意をしていただきたいと思います。
つい最近までは、ココナッツオイル市場拡大のために、「認知症予防になる」と言い続けていた教授がいます。消費者庁が認知症に効果なし、と発表して以来、今では番組で見かけてもココナッツオイルのコの字も言わなくなっています。あの騒動はいったい何だったのでしょうか。
それだけではありません。教授の講演を聴いてきたというだけで、疑うこともなく先を争って先頭で争うがごとくに旗を振ろうとする輩の多いことは驚くしかありません。宗教ではありませんよ!と声を大にして叫びたいものです。
医療費削減という目的から、ビタミン、ミネラルの多くは薬価掲載リストから削除され、医師の出す処方箋でもらうのではなく、店頭や訪販、通販業者の扱う一般大衆薬とか健康食品で補うことしかできません。消費者もお金を支払う以上は、似非物をつかまされないよう最低の知識は持っておくべきでしょう。書店では○●教授著という健康指南の数多の本があります。真贋を見つけることは消費者自身の責任といっても過言ではありません。