健康ニュース 8月15日号 食品添加物を再考する
大手週刊誌による食品添加物騒動の余波はまだ残っているようです。
そこで食品添加物について良い機会ですからもう一度振り返ってみようと思います。
「日本人は1日に約10g強の食品添加物を摂っています。これは年間では4㎏程の摂取に達して、健康に良い影響を与えないのは明らかであります」という説があります。
これは1980年代から1990年代にかけ、厚生労働省が、全国で販売されている数百の飲食物を分析し、1994年に報告したことがある故、誤った情報とは言えません。しかし都合の良い部分だけを引用していることは否めません。
同報告には、食品添加物をA群(非天然食品添加物)とB群(天然由来の食品添加物)に分けています。
A群(タール系やソルビン酸など)は、1日に約108mgの摂取で、B群(酸化防止剤など)の合計摂取量は、約9266mgとあります。言えることは、「A+B」の数値が大きいから健康被害が心配などということは、全く意味がないということを理解しなくてはいけないでしょう。と同時によく言われている科学的に作られたA群の摂取量は、全体の1%少々だから安心とかいうわけでもありません。問題とするべきことは、それぞれがどのような目的で使用されており、どのぐらいの量になっているかということです。
日本人が通常の食生活から摂取している食品添加物は、そのほとんどが日常何の疑いもなく飲食している食材から作られたものです。B群が相当すると言えるでしょうね。
最も信頼できる調査方式、マーケットバスケット方式によるA群の個別食品添加物についても書いてみます。
この調査方法によりますと、週刊誌などが取り上げている合成添加物の摂取量は、ADIと言って一生涯食べ続けても安全と言われる数値が、あらゆる年代層で大きく下回っています。
これら科学的な分析報告が、週刊誌では故意か否かは別問題として、説明が不十分と考えます。
またB群(自然界に存在する物質)が無条件で安全と言えるわけでもありません。
例として挙げますと、ソデイウムクロライドという食品添加物は、自然界にあるものを、科学的に合成しています。しかし毒性が強く、植物に過剰に与えると枯れてしまいます。また金属を腐食させる作用もあります。ところが0・1%に希釈したソデイウムクロライド溶液を食品添加物として使用したおにぎりは、子供から高齢者まで大変美味しいと言います。ただ過剰に摂取し続けると血圧上昇や胃がんの要因になると言われています。
ソデイウムクロライドとは、塩化ナトリウム、つまり食塩の英訳です。
保存料などとして幅広く使用されています。ここで強調したかったことは、天然由来だから安心、逆に合成だから心配ということは、全く意味がないということです。
食品添加物の使用目的は、飲食物の①製造や加工時に使用②風味や外観をよくする③保存性を高める④栄養成分を強化する、という目的で使われます。
「エシカル消費と食生活向上」のためにも、食品添加物をもう一度見直してみませんか!!