日清「ヒアルモイスト乳酸菌」に皮膚改善効果を発見
執筆者:shirai
日清食品ホールディングスは、同社グループ独自の「ヒアルモイスト乳酸菌 (ラクトバチルス・ガセリ N320株)」に、ヒトの皮膚細胞がヒアルロン酸を作る働きを高める効果と、皮膚の紫外線ダメージを軽減する効果があることを発見した。同社グループの研究拠点「the WAVE」のグローバルイノベーション研究センターでは、健康科学に関する専門研究部門を設け、乳酸菌の健康効果に関する研究を進めている。近年、健康科学分野において皮膚関連のニーズが高まっていることから、皮膚の乾燥の緩和や紫外線ダメージの緩和に効果のある乳酸菌の探索を行う中で、同社グループの微生物ライブラリーの中から乳児由来の「ヒアルモイスト乳酸菌」を発見した。ヒアルモイスト乳酸菌(ラクトバチルス・ガセリ N320株)は、ヒト腸内乳酸菌の中の最優勢種の一種であり、ヨーグルトやサプリメント等の食品にも数多く使われている乳酸菌で、ヒト皮膚細胞にヒアルロン酸を産生させる働きが強く、また、色素細胞のメラニンの産生を抑える働きが強い。同社グループはヒアルモイスト乳酸菌を使用し、皮膚の乾燥を自覚する成人43名を2群に分け、一方の22名には「ヒアルモイスト乳酸菌を含む飲料100mL (被験食)」、もう一方の21名には「ヒアルモイスト乳酸菌を含まない飲料100mL (プラセボ食)」を8週間継続的に摂取する臨床試験を空気が乾燥しやすい2017年2月から5月の時期に行った。その結果、被験食を飲用した被験者は、プラセボ食を飲用した被験者に比べて統計学的に有意に頬の皮膚水分量が増加したことを確認した。また、皮膚科医による医師所見評価についても、被験食を飲用した被験者は、頬および背中の皮膚の乾燥所見につき、プラセボ食を飲用した被験者に比べて有意な改善がみられたほか、女性被験者のアンケートの結果でも、被験食を飲用した被験者において、プラセボ食を飲用した被験者に比べて顔の肌つや、洗顔後のつっぱり感の改善が認められた。また、一般的な日本人の皮膚分類に該当する紫外線により赤くなった後黒くなる皮膚質の成人70名を2群に分け、一方の35名には「ヒアルモイスト乳酸菌を含むカプセル2粒 (被験食)」、もう一方の35名には「ヒアルモイスト乳酸菌を含まないカプセル2粒 (プラセボ食)」を8週間、1日1回継続摂取する臨床実験を実施。摂取前後で被験者背部に紫外線を照射し、人工的に日焼けを引き起こしたところ、紫外線曝露により皮膚色が黒くなりやすい被験者は、皮膚の炎症や色素沈着が認められたが、被験食を摂取した被験者は、プラセボ食を摂取した被験者に比べて、統計学的に有意に紫外線照射部位の炎症が抑えられ、色素沈着が抑えられる傾向にあることが認められた。また、紫外線曝露により皮膚色が黒くなりやすい被験者において、被験食を摂取した被験者においてのみ、摂取前後の皮膚の紫外線抵抗力が向上したほか、皮膚に関するアンケートでは、被験食を摂取した被験者では、摂取4週目と8週目において、顔の肌色・くすみ、顔のべたつき・油感の項目に有意な改善が認められた。なお、この成果は日本農芸化学会2018年度大会において発表されている。同社kグループは今後、「ヒアルモイスト乳酸菌」の詳細なメカニズムと新規機能性について研究を継続するとともに、「ヒアルモイスト乳酸菌」を誰でも手軽に摂取できる商品を開発し、2019年1月を目処に発売する予定。