アヲハタ×ニコン「ジャム等用異物検査装置」共同開発
執筆者:motoe
アヲハタ(本社:広島県竹原市、代表取締役社長:山本範雄)は、ジャム・フルーツスプレッドの製造工程において、光学技術とAIを活用し、異物・夾雑(きょうざつ)物を検出・除去するための異物検査装置をニコン(本社:東京都港区、社長執行役員:馬立稔和)と共同開発。2019年5月から「アヲハタ 55ジャム」など主力商品の生産ラインにおいて稼働を開始している。ジャム・フルーツスプレッドの製造では、原料に混入した異物・夾雑物(原料となるフルーツのヘタ・葉・枝・種など)を取り除く工程として、冷凍された原料を目視検査する「事前選別」が一般的に行われているが、さらに同社では、この事前選別に加え、加熱などの加工を経た製造工程中においても、容器に充填する前に人による目視検査を全量行っている。今回自動化したのは、この充填前の目視検査。同検査は、作業者の身体的負担が大きく、検出の精度にもバラつきが発生するなどの課題があり、作業改善が必要とされていた。一方、原料の種類の多さや果肉の形状により、ジャム・フルーツスプレッド分野においては、異物・夾雑物の検査工程の自動化は困難とされてきた。同社は、ニコンが持つ光学技術に着目し、2015年からニコンと基礎実験を重ね、2016年には共同開発契約を締結。同年から異物検査装置の製作を開始。同社が持つ、異物・夾雑物の検出・除去に関するノウハウと、ニコンが持つ光学技術に加え、AIを活用することで、これまで困難とされてきたジャム・フルーツスプレッド分野における異物・夾雑物の自動検査を可能にしたという。ジャムやフルーツスプレッドは、原料ごとに果肉の様子や状態が異なることから、同装置は、ニコンの持つ「分光技術」を用い、ベルトコンベアを流れるジャム状の原料を連続的に撮影した画像から異物や夾雑物を検出し、バキューム装置で吸い出すことで自動的に除去。分光技術とは、さまざまな波長が含まれている光を波長成分に分ける技術で、その分光技術を用いて、原料として問題のない果肉と、異物や夾雑物の違いを見分けるという。検出実験の結果から、両者の違いを見分けるために最も適した波長のフィルターの組み合わせを選定し、同装置に搭載。また、撮影画像から夾雑物を検出する処理には、AIの一種であるディープラーニングを活用している。この異物検査装置と、従来からの人の目による目視検査を併用することで、検出精度の向上と作業負担の軽減を両立を図る。