健康ニュース 8月15日号 考え方、色々ですが・・・
「食の安全について」という演題で講演をした時に受けた質問です。
参加者「ハムに使われている亜硝酸塩は、発がん性物質ニトロソアミンになり、100%安全とは言えないのではないですか?私は家族の健康のために、見た目はあまり良くないのですが、無添加のハムを買って食べています」
小子「毎日、一人当たり何Kg程度の(何gではありません!)ハムを食べられるのですか。それによって発がん性物質となることも考えられなくはないですが・・・。通常の食べ方ならばまず心配はないと言い切れます」
亜硝酸塩は、質問者の言っている通り発色剤としてハムなどに使用されている食品添加剤です。そしてこの亜硝酸塩は食品添加物を好まない人にとっては、格好の標的となっているようです。
質問者の内容を分析してみます。
ハムの原材料としての肉にはアミンという物質が含まれており、添加物の亜硝酸塩と反応してニトロソアミンという物質に変化します。このニトロソアミンはかなり強い発がん性物質と様々な場でいわれています。
一方では、食品衛生法によって、ハムの亜硝酸塩の残留濃度は70ppm(ハム1㎏に対して0・07g)以下という使用基準が決められています。国内で販売されているハムは国産品、輸入品にかかわらず厳守されていることは間違いないことでしょう。
亜硝酸塩について知っておきたいことがあります。一部のメディアなどではハムなどに使用されている食品添加物のみ批判していますが、正しいのでしょうか!亜硝酸塩自体には毒性や発がん性は認められていません。一方では野菜など植物成分中には多量の硝酸塩が含まれており、これらを摂取した場合、人体内では多量の亜硝酸塩が生成されると言われています。この量は、ハムなどに含まれる食品添加物としての亜硝酸塩と比べると問題にならないほど高い量であることも事実です。
1967年、ノルウェーにおいて、亜硝酸塩で処理したニシンを食べた家畜が大量に中毒死した事件がありました。その結果ニシンの有するアミンが、使用した亜硝酸塩と工程中に化学変化を起こし、ニトロソアミンになったことが判明。それ以来ハムなどに使用している亜硝酸塩についての批判が高まりました。
それから半世紀余りが経過しています。ニトロソアミンについても数多くの論文が発表されています。ほとんどが適正に使用することにより、ニトロソアミン発生を抑制できるとあります。つまり危険な数値までの発がん性物質は生成しない、と発表されています。
数ある食品添加物使用目的の1つには、「見た目を良くする」という項目があります。全く食品添加物を使用しないハムを見たことがありますか?決して食欲をそそる色とは言えませんし、保存料も不使用のために、長期保存には向いていません。購入単位も安くはないでしょう(買い求めたことがないので分かりませんが・・・)
全ての食品添加物は、それぞれ使用上限が決められています。平均的な食べ方を少々上回っても、安全という科学的な方法で使用されていますことを知っておくべきと思います。