健康ニュース 9月15日号 機能性表示食品の行方は?

     

高齢化社会が急速に進む中、少しでも長く健康状態を維持したいという人が増えるのは当然のことです。また健康を維持する手段として、サプリメントを利用する方が増え続けていることは種々の調査でも明らかです。
信用できるサプリメントとして、国が推奨したシステム、機能性表示食品があります。2015年度に制度化され、様々な機能性を表示したサプリメントが市場に出回っています。
医薬品の効力に準ずるサプリメントとしては、特定保健用食品(トクホ)があります。このトクホは有効性や安全性を国が個別に審査、表示を許可する制度で、食品ごとに消費者庁が許可を出す食品です。発売には相当な費用と時間を必要とすると言われております。このトクホに比べると機能性表示食品は、有効性や安全性審査の基準も緩いことが問題、と制度を検討中の当初から言われていました。
例えば、消費者庁に研究者とか同業他者が発表したデータを揃えて、同じものを製造販売したい、と申請すればよほどのことがない限り機能性表示食品としての販売が許可されるのです。具体的に言いますと、「腸の状態を良くする」「美肌や若々しい素肌を保つ」という表示が、自社で実験証明していなくても簡単にできるのです。
最近の調査発表によりますと、体内では規定時間内に溶けずに排出されるだけで、成分は吸収されないという類いのものもあるそうです。ただ機能性表示食品には、規定時間内に溶けるかどうかについて、調べる義務は無く販売されても問題はない、というのが消費者庁の見解です。

市場に流通している1700種を超える機能性表示食品の全てがそうだとは思いたくもありませんが、健康維持に貢献していると考え飲んでいる消費者にとってはやり切れない、と言えるのではないでしょうか。

最近、業界情報として次のようなことがメディアで流れ、当然のことながら衝撃が広まっています。
「効果ない機能性表示食品」という見出しで、「錠剤、カプセルなどが胃、腸で溶けず、成分が吸収されない。効果を過信しないで」「機能性表示食品を飲んでいるからといって医師の処方した薬を飲むのを止めることは絶対にだめ」というようなことが日本薬剤師会の試験で分かり発表しています。

業界に詳しくいつも冷静に物事を見極める方からの情報は、もっとインパクトのあるものでした。
「機能性表示食品の販売業者の中には、業界からの撤退を考えている経営者もいます。その業者が次の手段として考えているのは、一般大衆薬品市場への進出です。医薬品メーカーで製造し、販売を自社で行う。その際の製品は、薬剤師がいなくても販売可能な第3類医薬品であり、登録販売者を雇用しておけば何の問題もないだろう。さもないと、粗悪品ゆえに安価である機能性表示食品と同じテーブルで、販売を競い合うことは無意味と考えている」
そういえば、ひざ痛を改善するという市場の中では、機能性表示食品ではなく、医薬品で通信販売をしている業者が目につきます。成分内容を比べると機能性表示食品の内容とは全く異なります。ひざ痛改善のみならず、機能性食品で効果を表示した分野で、第2類医薬品業界へ進出する業者が続出するのではないでしょうか。今後の業界の動きに注目しておきたいです。