健康ニュース 10月15日号 健康情報氾濫の理由

     

2007年10月を基準に見た場合、2018年10月では3割減というデータがあります。それは一世帯が新聞を定期購読するデータです。若い世代では、毎朝新聞をとって読むことが激減しているのです。ニュースはパソコンやスマホで見るので、新聞を定期購読する必要はないという考えでしょう。購読料を支払うより、スマホに支払うほうを選ぶ世代は今後も増え続けていくことでしょう。(以上は新聞協会総務業務調べを引用)

新聞業界よりももっと厳しいデータがあります。2009年に比べて3割以上発行部数の減っているのが週刊誌業界です。

半面、若い世代を中心にパソコンなどのニュースサイトの情報を利用にする層は、2009年に比べて2・7倍に達しているということです。(㈱内外切抜通信社調査より引用)

これらのデータから読めることは何でしょうか。

新聞業界や週刊誌業界は読者が減り続けても、存続し続けなければなりません。読者を引きよせ続けるには、読者層に興味のある情報を発信し続けることしかありません。忌憚ない意見を申し上げますと、若い世代よりも高齢者層を対象とした情報発信こそ継続には欠かせない条件と判断した、といえば言いすぎでしょうか!

高齢者の最も関心のあることは、経済(お金)と健康です。そのためにメディアの健康情報が増えているということをご理解いただけたでしょうか。

またテレビ業界でも新しい動きがあります。

従来の視聴率は、世帯当たり視聴率を指していたことは誰でも知っていることと思います。最近では若い世代を中心に、パソコンなどテレビ受像機以外での視聴者が増え、その結果視聴率調査は、世帯視聴率から個人全体視聴率に各テレビ局が一斉に移行しました。その結果分かったことは、50歳以上の男女、特に女性を上顧客とすることが視聴率アップにつながるということです。

新聞などの文字メディアも電波メディアも、安定した支持層を作るには、50代以上の層をきっちりつかまなくてはならないのです。それゆえにこの世代が、関心の深い健康をテーマとした編成が多くなっているのだ、という結論に至りました。

1980年代、テレビでの健康をテーマとした番組はといえばNHK教育テレビの「きょうの健康」しかありませんでした。それを思うと最近の、ゴールデンタイムでも健康をテーマとした番組の数の多さには、ただ驚くのみです。

健康状態については、十人十色といっても構わないでしょう。このことを配慮しないで電波という公共性の高い手段で発信し続けることには、メディア側の自己満足でしかありません。素直に聞いた視聴者にどんなリスクがあるかもしれません。

気になる情報があります。ヘルステラシーと言って、健康面での適切な決定に欠かせない情報やサービスを調べ、理解し効果的に活用する個人能力が、日本は先進国の中では最低レベルにある、という調査結果が発表されています。

テレビやネット、週刊誌での健康医情報は、たとえそれが医師など医療専門家からの情報でも、玉石混合であることを忘れてはならないと思います。

講演会で講師としてよく言っていることがあります。「テレビでの健康番組は、真の意味では健康番組ではありません。健康娯楽番組と思って楽しんでください」