キリン「国際フードファクター会議」にて受賞
執筆者:shirai
キリンホールディングスの健康技術研究所が開発した独自成分である「βラクトリン」を使った認知機能改善に関する研究成果が、「第7回国際フードファクター会議(ICoFF2019)」で、栄誉ある「Young Investigator Award」を受賞。12月4日に、兵庫県神戸市で表彰式が行われた。「国際フードファクター会議」は、「機能性食品因子」研究に関わる世界中の研究者が一度に集う、4年に1回開催される国際学術集会。「第7回国際フードファクター会議」は、12月1日から5日兵庫県神戸市で開催された。「Young Investigator Award」は、本国際会議の発表演題の中から受賞候補がノミネートされ、口頭発表の内容を踏まえて優れた発表と認められた研究者が選考・授与されるもので、同社は発表表題 「β-Lactolin, a novel whey-derived peptide, improves memory retrieval in a clinical trial and prevents Alzheimer’s disease in preclinical studies」にて受賞した。近年の疫学調査や臨床試験の結果より、乳製品の摂取が、認知機能低下や認知症の予防に良いと報告がなされていおり、同社はこれまでに、東京大学と共同研究を行い、発酵乳製品の中でもカマンベールチーズにアルツハイマー病予防効果があることを確認し、認知機能を改善する有効成分として乳由来ペプチドである「βラクトリン」を新たに発見。さらに東京大学での研究で「βラクトリン」はアルツハイマー病予防効果を示すことが報告されている。今回の研究では、健常中高年114人を対象にランダム化比較試験を実施し、「βラクトリン」を多く含むサプリメント錠剤もしくはプラセボを用いて、認知機能への作用を評価。その結果、「βラクトリン」摂取群ではプラセボ摂取群と比較して記憶機能が有意に改善し、「βラクトリン」は記憶の中でも特に想起力(思い出す機能)を高めることが確認された。その他の検査項目も含め、「βラクトリン」が前頭葉の機能を高める可能性が示唆された。同成果をもとに、「βラクトリン」のサプリメントや飲食品が開発され、食を通じて認知症予防や認知機能改善に貢献することが期待されている。