<コンビニ創業戦記「鈴木貞夫言行録」>(第46回)
2020/05/21
第5章『ソフトブレーン・フィルード時代』(その25)
『フードボイス食品連合・2月度-講演要旨』
――2020・2・12 於・学士会館
<テーマ「2020年の展望」>ーー鈴木貞夫
初めに、2020年は、世界と日本の運命にとつて極めて重要な年になる。
この1月の年初から、カルロス・ゴーンの逃亡、米とイランとの第3次世界大戦危機、そして現在進行中の新型コロナウイルス・ショツクと、衝撃的な事象が連続して起き、世界の空気を揺るがせている。
因みに2020年は,干支でいえば、「庚子」(かのえね)の年であるが、近代中国では、60年に一度の「庚子」(かのえね)の年に、大きな災難がふりかかった歴史があるという。
1840年、アヘン戦争で香港を失う
1900年、義和団事件で日本を含む列強8ケ国に、北京進駐を許す
1960年、毛沢東指揮下に、全国で大躍進運動を展開するも、失敗し大飢饉を招く
2020年、「新型コロナウイルス」発生、世界に拡散中。
「庚子」の災難の再来か、と懸念されている。
2020年・『人類の終末時計』は残り「100秒」
終末時計とは、「仮に指導者や市民が、危機改善のために何の行動を起こさなかった場合に、どうなるかの視点で決められる」。
1947年に、米露の核戦争の危機に際して、米科学者・ユージン・ラビノウィッチがスタートさせた。
彼の死後、米科学誌「ブレテイン・オブ・ ザ・サイエンテイスト」が引き継ぐ。
同誌の科学者、核学者などの理事会が世界の各界の声を聴いて定めている。
1947年(73年前)――米ソ核戦争危機―――7分= 42秒
1991年(29年前)――米ソ冷戦終わる――17分=1020秒
2019年( 1年前)――北朝鮮危機―――――――――120秒
2020年(1月8日発表)イラン危機・気候変動危機――100秒
Ⅰ・2020年・世界の『10大リスク』
――米政治学者・イアン・ブレ―マーが、2020年1月7日発表
1・米大統領選の行方
*トランプ大統領自身がリスクも、法の支配・メデイアの役割も信じていない
* アメリカ自体が世界の混乱の源になっている。
*米国内分断の構造化(移民・人種・環境・社会保障・安全保障など)で、
アメリカ民主主義の長所を歪め,固定支持層の保守層右派のための政治になっている
*民主党の乱立で中道と左派までの幅広い本命が見えていない
2・超大国の分断
3・米中関係の対立
*中国の「世界一流強国戦略」
*経済覇権争いからIT・5G先端技術覇権争いへ
*さらに宇宙覇権争いへ
4・多国籍企業への規制強化
*GAFAやBATなどプラットフォーマーへの法規制強化
5・インドの変容
*ヒンドウー第1主義・米中への対抗心・気候不順・景気低迷
6・揺れるヨーロッパ
*英国EU離脱・EU南北問題(移民・格差)
7・気候変動・環境問題の激化
*異常気象災害の多発・アフリカ・中南米の大干ばつ、
北極・南極の氷山溶解、 日本・欧州の豪雨・洪水、
アマゾン・豪州の大森林火災・インド・の洪水と干ばつ
*化石燃料濫用・農地開発・乱伐・乱獲によるCO2排出増加など
*EU提言の「欧州グリーンデイール政策」
=サーキュラー・エコノミー・パッケージに注目したい。
8・イスラム・シーア派の高揚
スンニ派との対立・イスラエル・パレスチナ問題
9・中南米諸国の不安定化
乾燥回廊干ばつ飢饉と難民化・政治不安定・経済不振
10・トルコ危機
<今回新たに、新型コロナウイルス感染拡散が大きな世界的リスク要因として加わる>
Ⅱ・食品業界トピックス
1・「世界の食品価格」の上昇
*FAO昨年12月発表の食品価格指数(02~04年)対比
181・7%上昇。
気温上昇と自然環境の劣化がある。
*日本の食料自給率は37%。
2・「食品遺伝子資源保護」の強化
*米・農産物・和牛などの遺伝子海外流出防止策の強化
今国会で法制化の予定。
3・「培養肉の産業化」の流れ
食のイノベーションが進行している。
*培養肉とは、動物の細胞を取り出して培養液に浸すと、
細胞が自ら増殖。これを成型したもの。
植物由来の「植物肉」も出現している。
20年後は、世界食肉市場が196兆円となり、その内、
培養肉が36%を占めるという。
培養肉のメリットは、
「環境負荷を減らす」「食料供給量の解決」など。
既存畜産農家を培養肉の生産者として活用の構想。
竹内東大教授と日清食品は、培養肉用ステーキ肉の共同研究中、
早稲田と東京女子大の研究チームは培養肉でハムに成功した。
4・「食品ロス削減対策」の強化
*食品ロス削減推進法が昨年10月施行
5・「コンビニの転機」
*フランチャイズ・システムの原点回帰・
経営民主主義=役割分担共同事業の本質を忘れた所に淵源あり。
Ⅲ・リスクにどう対応するか
1・A・トウインビーの歴史観に学ぶ
「傍観して先送り」はじり貧
「見て見ぬ振り」は破滅
「否定して無視」は壊滅
前向きに積極的に対応する『リスクをチャンスに変えること』
「文明の歴史は、自然・環境からの試練という挑戦に対する応戦の中で
築かれた。
いかなる試練とリスクの挑戦を受けようとも、人類がこれに応戦
して乗り越え、新しい文明を 築き上げてきた」
-——A・トウインビー「歴史の研究」より
2・共存共栄の道を行く
国連活動の先導役を目指せ。
=核兵器禁止条約・2025年承認
核兵器条約の基本精神は、
「核兵器禁止を前に進めることが、人権とジェンダー平等が守られる
世界を築き、すべての人々と将来世代の健康を保護する
世界への道を開き地球環境を大切にする世界につながること」。
=SGDs・2030年目標達成
=パリ協定・2050年目標達成
・仏教の「五眼」の考え方に学ぶ――「仏眼」「慧眼」「法眼」「天眼」「肉眼」
3・希望の星に学ぶ・
――理想への決然たる意思表明と具体的実践を示す希望の星たち
「フランシスコ教皇」
=核兵器禁止への決然たる意思表明と行動を示したこと
「グレタ・トウンベル」
=卒先して気候変動に対する行動を起こし、
若い世代の世界的運動につなげている
「中村 哲」
=アフガン現地での具体的実践を通じて
状況改善への道を示したこと
現代世界の生き地獄の一つ、アフガンの人々と地域の発展に
尽くすという、金銭に換算できないほど貴重で尊いことに
命をささげた人生に学びたい。 以上
『朝令スピーチ事例集』(その26)
――2020・2・12
全国の皆さんお早うございます。心のハイタッチ送ります。
先ず初めに重大な発表を致します。
今日から私の朝のハイタッチの挨拶は中止し、心の中のハイタッチに変更いたします。
宜しくお願いします。
今年は、年明け早々から、世界を驚かす事件・事象が続いています。
2020年子の年は、60年に1度回ってくる「庚子」(かのえね)の年ですが、中国では、「大災厄の年」だと囁かれているそうです。近代中国の歴史を見ると、
180年前の1840年、イギリスとのアヘン戦争で香港を失う
120年前の1900年、義和団事件で、日本を含む列強8か国の軍隊に北京進駐を許す
60年前の1960年、建国間もない毛沢東時代大躍進運動が失敗して大飢饉を招く
そして今年2020年、武漢で「新型コロナウイルス」が発生し、現在世界に拡散中。
中国発の新型コロナウイルスの拡散が、世界経済のリスク要因となりそうです。
中国は、2003年にも、SARSの感染拡大でも打撃を受けましたが
今回の新型コロナウイルスは、世界のサプライチエ―ンとしての生産基地となっている
中国の経済機能を、マヒさせる恐れがあるといわれています。
日中間貿易額も、2003年の2倍以上の30兆円に拡大しており、いまでは日本の最大の貿易相手国です。
さらに、インバウンドの中国人は、2003年の20倍以上の約959万人に上り、日本の観光産業の成長を牽引しています。
その意味で、日本への影響は、極めて深刻であり、よく注視する必要があります。
医師の鎌田實さんが提示する、「新型コロナウイルスへの対処法>は次の3つです。
1・自分で自分を守れ
- 手洗い・うがい・マスク着用を丁寧に行うこと
- 睡眠・食事・運動で免疫力を高めること
2・病気・健康へのリテラルシーを深めよ
コロナウイルスには6種類(普通の風邪が4種と、サーズ、マーズ)あり、
既に、その対処法は確立されているが、今回は7番目の新型ウイルスで、近いうちに必ず対処法は確立されるだろう。
「接触感染」「空気感染」「飛沫感染」「エアゾル感染」に注意すること。
3・心配しすぎないこと
一般のインフルエンザでも、悪化させると死者が出ることもある。
仕事も生活も、基本を大切に致しましよう!
『鈴木貞夫年譜・2020年・第1四半期』①
『1月』
7日 役員MT
9日 日本監査役協会新春講演会(於昭和女子大人見記念講堂)
10日 日本JFA協会賀詞交歓会(ザ・プリンスタワー東京)
15日 役員MT
経営会議
17日 役員MT
28日 部門長会議
取締役会
『2月』
4日 役員MT
役員MT
経営会議
フードボイス月例会
18日 監査法人監査報告書受領
経営会議
26日 部門長会
27日 監査役会
取締役会 以上
<次号は第47回に続く>
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