健康ニュース 2月1日号 風邪とインフルエンザ

     

隣家のインテリ夫人「風邪がやっと治ったら翌日からインフルエンザで十日も外出できませんでした。お年寄りの先生にうつすと申し訳ないので引きこもり状態でした」

隠居中の大御所 暈穀菜「そうだったのかい。道理でこの辺りが静かだったよ。バカは風邪をひかないというから、考え方によってはよかったね」

隣家のインテリ夫人「休んでいる時に考えたことがあるのですが・・・」

隠居中の大御所 暈穀菜「君の考えることなど、直ぐ分かるな。どうせ休むなら風邪とインフルエンザを同時にかかっておくと良いのになぁ・・・だろう?どうやら図星のようだな。」

隣家のインテリ夫人「よく分かりましたね!」

隠居中の大御所 暈穀菜「でも風邪とインフルエンザを同時にかかることはありえないよ」

隣家のインテリ夫人「絶対にありえないと断言できるのですか?根拠でもありますか?」

隠居中の大御所 暈穀菜「ワシは週刊誌やテレビの健康番組と違って科学的根拠のないことは言わないよ。(ニュース紙を見せながら)年末に届いたHealthDayNewsによると、イギリスのある大学のウイルス研究センターグループが3万6千人以上の人を対象に調査の結果、インフルエンザ流行期には風邪に感染する例が減少傾向にある、とのことだ。たとえ話だが、ライオンとハイエナの餌の奪い合いを言っているから面白いね」

隣家のインテリ夫人「お聞きしたいですわ」

隠居中の大御所 暈穀菜「風邪もインフルエンザもウイルスが起こしているのだが、初期段階で呼吸器系に炎症を起こす風邪ウイルスとインフルエンザウイルスが、気道内で細胞の占拠を巡って争っているというのだね。その争いに勝ったウイルスの種類によって、風邪になるのかインフルエンザになるのかが決まるというわけだな。この理論を進めていくと、症状が出ない程度の風邪ウイルスを常に体にキープしておくと、インフルエンザウイルスが寄り付かないことになるかも知れないからね。君が希望した風邪とインフルエンザを同時に感染するということはありえないということになるね」

隣家のインテリ夫人「なるほど・・・。ライオンとハイエナが同じ餌を食べないように、風邪とインフルエンザ、それぞれのウイルスも同じ気道内では共存できないのですね」

隠居中の大御所 暈穀菜「この論文発表より2年前には、もっと興味のある論文も発表されているから聞いておくれ。BMJというユーモラスな研究論文を発表する会がある。その会の発表によると、インフルエンザに罹った時、女性よりも男性のほうが大騒ぎをするらしいのだ。こういう男性の罹ったインフルエンザを「man-flu」と言っているとのことだ。女性に比べて入院リスクも高く、呼吸器系合併症も高いというからね。これは男性ホルモンと女性ホルモンの違いが関係している可能性が高いね。インフルエンザ発症時の免疫反応が、男性より女性のほうが強いのだろうな。いずれにせよ男性はか弱いものだよ。君も旦那を大事にしてあげなさいよ」

隣家のインテリ夫人「結局言いたいことはそこなんですね!」

隠居中の大御所 暈穀菜「分かったら、風邪予防のために体内をアルコール消毒しようかね。飛び切りの冷酒が届いたからね」