伊藤園「MATCHA PROJECT」始動

      執筆者:motoe

伊藤園(社長:本庄大介、本社:東京都渋谷区)は、抹茶の研究や活用を通じて認知機能に関する課題解決に挑む「ITO EN MATCHA PROJECT」を始動する。同社では、お茶が持つさまざまな可能性を探求し、20年にわたり「カテキン」の基礎研究をベースに、お茶の成分が脳機能に与える効果を科学的に証明する研究に取り組んできたが、そのなかで、抹茶に含まれる成分「テアニン」の脳神経保護作用や、抹茶の継続摂取により健常中高年者の認知機能の一部が改善することが確認されたことから、「抹茶」を活用し、認知機能に関する課題解決により一層貢献することを目指し、「ITO EN MATCHA PROJECT」を立ち上げたという。同プロジェクトは、社内で横断的な組織を構築し、研究成果をもとにした製品開発、共同研究、地域社会・他企業との協働によるCSR活動などの多角的な事業を展開。活動の第一弾として、機能性表示食品として日本初※1の“テアニン・茶カテキンの働きにより認知機能(注意力・判断力)の精度を高める”抹茶製品を12月7日に発売し、今後もさらに製品開発を進めていくとしている。研究活動では、総予算約2億円をかけた共同研究を同社と島津製作所、筑波大学発ベンチャーのMCBIの3社で進行中。認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)を対象にした臨床試験「抹茶の認知機能低下抑制効果を評価する試験」を2022年4月(予定)まで行うなど、抹茶のさらなる機能解明に取り組んでいく意向だ。また、社内教育として社員を対象に「認知症サポーター」の養成を行い、認知症への理解を深め、地域の認知症患者の方々や家族を支える環境づくりに協力するほか、社員の軽度認知障害のスクリーニング検査の受診補助も行い、早期発見・治療をサポートする。このほか、情報発信活動として、「抹茶を食卓に」をスローガンに、WEBサイトで抹茶を使ったアレンジ飲料・料理を提案するほか、高齢化社会の健康課題に地域社会・他企業と協働し、食生活を中心に、栄養・運動・抹茶を囲んだコミュニケーション機会を創出。また、本プロジェクトの抹茶製品に適した良質な原料を安定的に確保できる契約農家による栽培拡大を進め、日本の茶農業の持続的な発展に貢献する茶産地育成も進めていくとしている。