キリン名古屋工場「全電力を再生可能エネルギー」へ
執筆者:shirai
キリンホールディングスのグループ会社である、キリンビールは、キリンビール名古屋工場で購入する全電力を来年より再生可能エネルギー100%にする。これにより同工場の購入電力由来のGHG排出量はゼロとなり、これに続き他工場でも再生可能エネルギーの導入を進め、将来的にはキリングループの事業で使用する全ての電力を再生可能エネルギーに置き換え、早期のRE100達成を目指す。来年キリンビール名古屋工場は、三菱商事パワーが出資・運営する再生可能エネルギー発電所(太陽光発電所)にて発電された環境価値(トラッキング付非化石証書)付きの電力を、三菱商事パワーの子会社であるMCPD合同会社経由で導入。これまでキリングループは三菱商事パワーと連携し、重油からガスへの燃料転換などGHG削減に向けた様々な取り組みを進めてきており、本件もこの取り組みの一環として新たに連携する施策となっている。同社は、「2030年までに2015年比で、グループ全体のScope1とScope2の合計を30%、Scope3についても同じく30%削減する」という高い目標を掲げ、2017年にSBT(Science-based Targets)イニシアチブ(SBTi)の承認を取得しており、徹底した省エネ活動に加えて、燃料転換の実施、ヒートポンプの導入、太陽光発電や風力発電、水力発電由来の電力の活用、および排水処理設備から得られるバイオガスを利用した発電などの再生可能エネルギーの活用、容器軽量化や共同配送を含むバリューチェーンでのGHG削減の取り組みなどを進めている。海外では、グループ会社のLion Pty Ltd(CEO Stuart Irvine)で、2020年5月にオーストラリア初の大規模なカーボンニュートラル認証を取得。さらに、本年6月には「Business ambition for 1.5℃」に署名した。これは長期的なGHG排出量ネットゼロの実現に向け、中期的なGHG削減目標を上方修正することを表明するもので、2020年中にこの新たな目標に対して、SBTiの承認を取得する予定。また、2018年には「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言に、日本の食品会社として初めて賛同を表明し、シナリオ分析など情報開示を積極的に行っている。同社は、本年2月に社会と企業のレジリエンス強化へ向けた新たなビジョン「キリングループ環境ビジョン2050」を策定。気候変動においては、2050年までにバリューチェーン全体のGHG排出量ネットゼロを掲げています。直近の本年11月には「RE100」に加盟し、2040年までに使用電力の再生可能エネルギー100%化を掲げた。本件はこれらの取り組みの一環であり、同社が脱炭素社会構築へ向けてリードしていくよう取り組んでいく。