健康ニュース 12月15日号 血液サラサラとは?

     

健康診断時の採血で、看護士さんが必ず言ってくる質問に「血液サラサラの薬を飲んでいませんか?」ということがあります。いつも「はい、飲んでいません」と答えていますが、先日「サプリメント(以下サプリと書く)のEPAを飲んでいます」といったところ、看護士さんは「そうですか」と言われただけで採血をいつも通りに進めました。採血終了とともに止血の絆創膏を貼ってもらった時に質問をしました。

 「EPAを飲んでいるといったのですが、採血には影響ないのですか?」という問いに看護士さんはニコッと笑いながら「全く関係ないですよ。ご心配なく」と言われました。

 サプリのEPAのパッケージやパンフレットには「血液をサラサラにする」という表示が書かれています。それゆえなんとなく納得できず、調べてみましたら以下のことが分かりました。

*「血液をサラサラにする」とか「ドロドロ状態の血液」というのは医学用語ではありません。あくまでも患者に分かりやすい表現として使っているだけです。

*サプリのEPAは、一日の服用量としては、血液をサラサラにする効果については全く治療目的としては期待できない。

*医薬品のEPAは、サプリの5~10倍の高濃度で凝縮されている。

*通常看護士さんの言う血液サラサラの薬とは、抗凝固剤のワーファリンなどのことを意味している。

 1999年にNHKの人気番組「ためしてガッテン」で健康的な血液の流動性のイメージとして「血液サラサラ」という表現をし、その後分かりやすい例としてドクターも患者に使い始めたらしいということまでは分かりました。

 ほとんどのサプリメーカーがこの表現を使い、EPAなどの販促に使ったことがさらに広く浸透していったことは疑う余地もありません。EPA機能性表示食品の販促資料などには必ずと言ってよいほど、血液をサラサラにするという表現が使われています。

 これら諸々の情報から引き出した結論は、「サプリのEPAは血液を良い状態に保とうとする作用はあるかもしれないが、出来た血栓を溶解する効果はあまり無いのでは」ということです。血栓溶解作用は医薬品のEPAには遠く及ばないと考えるほうが無難のようです。

 もちろん目を通したのはごく一部の論文だけであることも付け加えさせていただきます。

 では採血時に看護士さんが「血液サラサラの薬を飲んでいませんか?」と聞くのはなぜでしょうか?

 血液サラサラの薬を飲んでいると、採血が終わっても出血がなかなか止まらないからです。ワーファリンなどの抗凝固剤は、血を固まりにくくするわけですから当然の作用といえます。

 整体院やマッサージ院でも施術士は、施術前の客に「血液をサラサラにする薬を飲んでいませんか?」と聞くことがあるそうです。医師でもないのに何故そんなことを聞くのか不思議に思い調べてみました。得た結論は、施術氏が強い力で施術をすると、抗凝固剤を飲んでいる人の皮膚には、普通なら問題にならないダメージ(内出血)が生じ、見るも無残な青あざができるとのことです。治療医薬品の作用はすごいですね

 

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