理研ビタミン「海藻の陸上養殖に進出」

      執筆者:motoe

理研ビタミン(本社︓東京都新宿区、社長︓山木一彦)の連結子会社で、「ふえるわかめちゃん®」や「わかめスープ」を製造する理研食品(本社︓宮城県多賀城市、社長︓渡辺博信)は、5月19日に海藻の陸上養殖施設「陸前高田ベース」の地鎮祭を実施した。開設は10月を予定しており、同社グループとして初めて、海藻の生産に進出する。同社では5年前から高知大学との共同研究を行い、陸上養殖の事業化に向けた検討を続けてきたが、事業化用地としては、海水が取水できることや、地元漁協や⾏政の理解が得られることなどの条件が必須。今回決定した用地では事業に適した海水の取水が可能な上に、理研食品が数⼗年前から、陸前高田市広田湾漁協とわかめ原料の⼀次加⼯で協業しており良好な関係を築いてきたこと、また、陸前高田市が目指す沿岸域の復興事業や、SDGsに着目した持続可能な産業振興の方針に本事業が貢献できる可能性が高いことが決め手となったという。最初に手掛けるのは、「スジアオノリ」。スジアオノリは、青のりとして販売されている海藻の中でも香りの強さと色の良さで高級品とされているが、国内での主な産地では近年生産量が激減しており、安定的な供給が強く望まれている。同社グループはこれまで、海藻産業が抱える課題に対処すべく、多面的な研究を行ってきたが、このたび、わかめで培った優良種苗の研究成果をスジアオノリにも応用し、安定的に生産できるめどが立ったことから、陸前高田ベースの開設に踏み切ったという。まずは年間5トンの生産と、生産ノウハウの確立を目指す。海藻は、日本で古くから食べられ、健康的な食品として認知されているが、その生態の研究が進んでいるとは言えず、生産量も減少傾向にある。同社グループは、わかめやスジアオノリ以外にこんぶ、もずくなど、日常的に食べられている海藻の研究も行っており、安定的な生産を通して海藻産業の活性化に貢献していきたいとしている。【陸前高田ベース概要】■施設名称:理研食品 陸前高田ベース ■住所:岩手県陸前高田市米崎町 脇之沢漁港(沼田地区)内 ■事業内容:海藻類の陸上養殖 ■⼯場面積:敷地面積 約8,300㎡(第1期・第2期工事計) ■建屋面積:約324㎡ ■総事業費:約2.7億円 ■稼働開始予定日:10月1日 ■従業員数:8名 ■目標生産量:2025年度にアオノリ類の乾燥品10トン