キリン「白麹菌抽出物」エイジングケア製品の開発に応用

キリンホールディングスは、ファンケルと2019年の資本業務提携を契機にさまざまな共同研究を進めており、 2020年1月に、キリンが保有する白麹菌の抽出物に含まれる成分「14-デヒドロエルゴステロール（以下「14-DHE」）」が、美肌機能に関わる酵素「アルギナーゼ1」量を増加することを発表してる。さらに今回、「14-DHE」を含有する白麹菌抽出物を配合した美容液（以下、白麹菌抽出物）の連用試験を実施したところ、角層中の「アルギナーゼ1」量が増加するとともに、幅広い肌老化兆候が改善したことを確認した。 両社は、今回得られた「14-DHE」を含有する白麹菌抽出物がエイジング世代の肌悩みに対して有効であると考え、この知見を製品開発に生かし、今後はエイジング世代に向けたファンケルの化粧品に配合する予定。 本研究成果は、2021年7月31日（土）から8月1日（日）に実施された第39回日本美容皮膚科学会総会・学術大会にて、両社の共同研究成果として発表した。健常皮膚を有する50歳以上の女性32名に、白麹菌抽出物と無配合美容液（美容液の基剤:以下無配合）をそれぞれ指定した左右顔半分に、朝晩のスキンケアで使用してもらい、使用前と使用4週間後に肌測定を実施。その結果、角層中の「アルギナーゼ1」量は白麹菌抽出物側で使用前と比較して4週間後で有意に増加し、無配合側では有意な増加は見らなかった。黄ぐすみの指標となる皮膚色ｂ*値、およびキメ（皮丘）の大きさも、白麹菌抽出物側の使用4週間後において、有意な低下を示した。 キリンは、同社が保有する白麹菌Aspergillus kawachiiに含まれるステロール類の「14-DHE」に、経口摂取で高い肌質の改善効果があることを確認しており、ファンケルは、皮膚表面に多く存在する　「アルギナーゼ　１」が、角層の保湿機能や肌の酸化、糖化の制御に関わる重要な酵素であることを見出すとともに、「14-DHE」が皮膚細胞の「アルギナーゼ1」を増加し、抗糖化機能を有することを発見してきた。 これらを踏まえ、「14-DHE」を含む白麹菌抽出物を配合した美容液の連用試験を行い、「アルギナーゼ1」量が増加することや糖化によって起こる黄ぐすみなどの肌老化兆候の改善について確認した。