健康ニュース 3月1日号 プラセボとノセボとは?

     

隣家のインテリ夫人「TVコマーシャルで見たのですが、幼子が転んだりしたときに、痛い痛いの飛んでけーというのは世界中で言われているみたいですね」

隠居中の大御所 暈穀菜「そうだね。でも幼子と言ったよね。大人の世界にも同じようなことがあるというのを知っているかな。これは世界中が認めている科学的な根拠のあることだが・・・」

隣家のインテリ夫人「本当ですか?聞いたこともありませんわ・・・」

隠居中の大御所 暈穀菜「新しい医薬品を世に出すには欠かせないプロセスだよ。プラセボって聞いたことないかな?一般的には偽薬と言われているけれどもね。どういうことかと具体的に話してみようかね。例えば、頭痛がある人に、でんぷんで固めた錠剤を、これはすぐ効果が出るよ!と言って飲ませると、本当に頭痛が治まってしまうことをプラセボ効果があった、と言っているのだね。本当に鎮痛効果のある薬と偽薬を飲ませて効果のある場合を比較することにより、薬効成分の効果を明確に評価することができるというわけだ。医薬品の場合は、患者はもちろん、薬を処方するドクターも医薬品か偽薬かはわからないようにして試験結果を出すようにしてあるのだな」

隣家のインテリ夫人「プラセボですか・・・。偽薬でも鎮痛効果があるのなら、逆にその偽薬で副作用も出ることが考えられるのですか?頭痛が治るだけでなく、胃腸の具合も悪くなったりして・・・」

隠居中の大御所 暈穀菜「おや?今日はどうしたのかな?その通りだよ。あまり知られてはいないが、偽薬を効果はあるが、副作用もあると言って飲ませると、本当に副作用が出る人もいるのだね。これをプラセボに対して、ノセボと言っている。良いことばかりでなく悪いこともあるのが薬だが、偽薬でも同じことが生じるということは面白いね。ある参考書では次のように解説してあるから紹介しておくかね。プラセボ効果は有名な言葉ですが、本来薬としての効果を持たないものを服用することによって、何らかの改善が見られることです。 逆にノセボ効果とは、本来薬として効果を持たないものを服用しているのに、望まない有害事象が現れることです。どうだい?分かりやすいだろう」

隣家のインテリ夫人「勉強になりましたわ。人の体って不思議ですね」

隠居中の大御所 暈穀菜「君だってその不思議さを、何の疑問を持たずに毎日続けているかもしれないからね。気を付けたほうがいいよ」

隣家のインテリ夫人「何をおっしゃりたいのですか?せっかく良いお話を聞けたと思っているのに・・・」

隠居中の大御所 暈穀菜「プラセボ効果というのは何も薬の世界だけではないよ。昨年、フランス製化粧水をプレゼントしただろう?覚えているかな?」

隣家のインテリ夫人「覚えています。先生の友人のフランス土産で、奥様の肌に合わなかったからと私がいただいたものですよね。肌にしっとりしますので大事に使っています。まだ1/3ほど残っていますわ」

隠居中の大御所 暈穀菜「そうかい、それは良かった。彼は今年の秋もフランスから帰国するから頼んでおくね。プラセボ効果というのは医薬品だけでなくエイジング化粧品などにも使われ始めているからね。あの化粧水もフランス製とは言え、日本で言えば100円ショップで売られている類の化粧水だよ。少し洒落た容器とフランス製ということでプラセボ効果があったのだね。いやフランス製ワインというだけで、旨いという人が多いから気にすることはない。それよりもうこんな時間だ。本当に美味い冷酒を飲もうよ!」