キユーピー「野菜を噛むことが食後糖代謝を促す可能性」

      執筆者:motoe

キユーピー(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長執行役員:髙宮満)は、早稲田大学(総長:田中愛治)の宮下政司教授と研究助手・亀本佳世子先生と共同で、噛むことの大切さの啓発と研究に2021年から取り組んでいるが、今回、野菜(キャベツ)を「咀嚼して食べるとき」と「咀嚼せずに食べるとき」の食後における代謝への影響を調べたところ、噛むことで食後の糖代謝を促す可能性が示された。この研究成果について、2022101日~2日に開催された「日本咀嚼学会 33回学術大会」にて発表を行い、1017日から同発表内容のオンデマンド配信を開始した。国が推進する食育推進基本計画では、「食育の推進に当たっての目標」の一つに、「ゆっくりよく噛んで食べる国民を増やす」ことが掲げられ、国民が健やかで豊かな生活を送るために「噛む」ことを推奨しているが、最近は、固い食べ物は敬遠され、やわらかい食品が好まれる傾向にあり、意識して「噛む」ことが求められている。そのような中、サラダには、歯応えのある生野菜を使うことが多く、「野菜を噛んで食べる」という良さがあることから、今回、野菜を噛んで食べることの健康への影響を調べることで、サラダが持つ新たな価値の発見に取り組んだという。試験は19人の健康な成人男性を被験者として、「咀嚼条件」(千切りキャベツ+ゼリー飲料)と「非咀嚼条件」(キャベツ粉砕物+ゼリー飲料)に分けて実施。食べ始めを0分として、0分、15分、30分、45分、60分、90分、120分、180分後に、それぞれの条件で採血を行い、「血糖」および、血糖値変動メカニズムの指標として「インスリン」「インクレチン(GIPGLP-1)」の血中濃度を検査。その結果、食後90分までの経時変化を比較すると、インスリンとインクレチンが咀嚼により高値を示すことが確認された。一方、血糖では明らかな差は確認されなかった。野菜を「噛む」ことで、インスリンとインクレチンが食後90分までに増加したということは、食事をする際に、最初に野菜を噛んで食べると、食事を受け入れる態勢が整うことを意味し、「野菜から食べる」ことの重要性を裏付けることにもつながると考えられる。血糖値を下げる食習慣は大きく分けて、「食材選び」「食事のタイミング」「食べ方」の3点が挙げられが、その中でも、「食べ方」の一つである「咀嚼」は、インスリンの分泌を促進させる効果が期待されると言えるとしている。なお、本成果を含む「咀嚼」の研究成果については、キユーピー研究開発サイト内のイノベーションストーリーにもでも公開されている。「食品の咀嚼回数や咀嚼効果の研究による健康貢献」:https://www.kewpie.com/rd/innovation-story/2022_04/