第812話 表参道の、美味しいハンバーガー

     

 グー先生こと林幸子さん(協会理事)と私の共通の知人が、表参道でハンバーガーショップをやっておられるので、一緒にお昼をしようということになった。
   店は表参道ヒルズの三階にある「GOLDEN BROWN」。
   参道通りに並ぶ店や会社の看板も英文字である。まるでアメリカのどこかの市街みたいたけれど、日本の方が町並はきれいだろう。と思いながら、向かっていると、後から声をかけられた。振り向くと笑顔の「GOLDEN BROWNのY社長だった。Yさんはいつもカウボーイハットを被っておられる。その帽子と笑顔がY社長のトレイドマークだ。それに彼は顔が広い。
   たまたま、前に一緒に仕事をしたモデルのNOMAさんの話になったとき、「NOMAは友達ですよ」とあっさり言われたので、驚いたところ、「こっちも驚きましたよ」と笑っておられた。今日も「ほしさんが見えるよ」と声をかけたら、その日は滋賀の山奥にいるので残念、ほしさんによろしくとお伝えくださいとのことでしたよ」と言われた。
  そんな社長から「ここからが近いですよ」と言われて同潤会アパートの二階へ行くと、隣接しているヒルズの三階に繋がっていた。ちょっとしたミラクルだ。
  店に着くと、「GOLDEN BROWN」の店名も、そして店内のメニューも全て英文字表記だった。すぐに林先生もやって来られた。
  ソフトドリンクとハンバーガーを注文しようとしたら、社長が「うちのは、かなり大きいですから、小さめでも他の店並みですよ」とおっしゃったので、そのようにした。社長によると、昔は半切れのパンの上にのせていたものだったらしいけれど、誰かが丸いパンに挟んだので食べやすくなってアメリカの国民食になったという。
  「GOLDEN BROWN」は目黒が本店、それに博多店がある。博多の方は佐賀の豆腐屋さんとコラボして、豆腐を使ったハンバーガーを出しているが、評判なので東京でもやろうかと思っているとか、店の経営や食材の話を伺いながら、頂いたが、後味が美味しい!「これはチーズの旨味だろうと思ったので、うかがうとやはり「オランダのゴーダを使っている」とのこと。
  さて、いただいてから、林先生はおみやげに二人分を購入され、私たちは「ごちそうさま」と言って店を出た。

 あの後味が消えないうちにと、翌朝、丸いパンにゴーダチーズを入れて焼き、ハムを挟んで食べてみた。
   「う~ん、いまひとつ。」
   翌々日はたまたま前夜のハンバーグが余っていたので、パンにそのハンバーグとゴーダチーズを挟んで焼いて食べてみた。
   「昨日より、美味しい。」
   たぶん、温めるとセミハードタイプのゴーダチーズの溶け具合と肉の温まり具合がマッチするのだろうと思う。
   こうした組み合わせの具合が、洋食は和食より料理のキーになっていることが多々ある。単独で口に含むと渋くて不味い赤ワインなどは肉にはよく合って、美味しくなるのもそうだろう。
   要は、肉に合うのものが求められるのが洋食の基本。和食は米に合う味噌汁、醤油、そして魚が定番として育っていったのではないだろうか。

〔江戸ソバリエ&チーズ・オブ・コムラード ほし☆ひかる〕