キリン「トランジション・リンク・ローン」実行

      執筆者:motoe

キリンホールディングス(社長:磯崎功典)は、国内の食品企業として初のトランジション・リンク・ローンによる資金調達を2023年1月に実行する予定であることを発表した。同ローンは、2022年12月更新の「キリン・サステナブルファイナンス・フレームワーク」に基づくものであり、同社のScope1とScope2の温室効果ガス(GHG)排出量削減に向けた取り組みとして推進する省エネ、および再生可能エネルギー関連のプロジェクトに充当される予定。また、同ローンについては、経済産業省による令和4年度温暖化対策促進事業費補助金及び産業競争力強化法に基づく成果連動型利子補給制度(カーボンニュートラル実現に向けたトランジション推進のための金融支援)が適用されるという。キリングループの事業はグローバルなバリューチェーンで構成されるため多様なGHG排出源が存在しており、バリューチェーン全体のGHG排出量ネットゼロを達成するためには、段階的移行が鍵になると考えられていることから、同社ではトランジションロードマップを策定し2022年1月より運用を開始。トランジションへ向けた取り組みをファイナンス面でも進めるべく、2022年3月に公表した「キリン・サステナブルファイナンス・フレームワーク」に、国際資本市場協会(ICMA)「クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック」、金融庁・経済産業省・環境省「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針」(総称して、トランジション・ファイナンス関連指針等)並びに、ローン・マーケット・アソシエーション(LMA)、アジア太平洋ローン・マーケット・アソシエーション(APLMA)、ローン・シンジケーション&トレーディング・アソシエーション(LSTA)によるサステナビリティ・リンク・ローン原則等における要素を新たに追加。これにより、同社は、国内の食品企業として初めてトランジション・ファイナンス関連指針等に適合したフレームワークを策定し、独立した第三者よりセカンド・パーティ・オピニオンを取得した。また、経済産業省による令和4年度温暖化対策促進事業費補助金に採択され、同社のトランジション戦略が非多排出産業のベンチマークになり得るとの評価を受けている。