<コンビニ創業戦記『鈴木貞夫言行録』>(第66回)
第6章・(株)ミトリズ 時代 (その8)
『最近の読書録シリーズ』(其の5)
<ヨハン・ノルべり著『OPEN』を読んで>(その1)
--NEWS PICKS刊・(税込み・2610円)
1・読書の動機
今、まさに人類は新たな「歴史的危機」に直面している。
4年に及ぶ新型コロナ・パンデミックに加えて、1年前には核大国の独裁者が、隣国を侵略し、国際秩序を揺るがし、未だに出口が見えない。
今の国際秩序に挑戦するのはロシアだけではない。中国はより高度な軍事力と強大な経済量を背景に米国に対抗している。
目の前に広がる大国の覇権争いは、軍事力と経済力を振りかざして屈服させようとの強国の論理が横行している。
アメリカのシンクタンクは、この1月24日、2022年時点での人類破滅までの「終末時計」を残り90秒になったと発表した。
著者は、この人類的な危機を乗り超える道は、歴史の中に学び、読み取ることができるという。
2・著者・ヨハン・ノルベリの人物紹介
著者・ヨハン・ノルべりは1973年(昭和48年)スーエデン生まれ、ストックホルム大学で歴史学の修士号を獲得。
作家・歴史学者であり、スエーデンのリベラル系シンクタンク「ティンクプロ」に所属した後、2007年(平成19年)からアメリカのシンクタンク・ケイト―研究所でシニアフェローを勤めている。
2000年ごろから、各種の反グローバリズム運動に対する批判を開始し、それをまとめて
グローバリズムを擁護し自由貿易推進をうたう第1作『グローバリズム資本主義擁護論』として発表した。
第2作が『進歩・人類の未来が明るい10の理由』(晶文社刊)で、歴史学、経済学、統計学、進化生物学など幅広い領域の最新知見を基に、高い評価を得た。
本書は、第3作の最新作であるが、基本的な立場は古典的なリベラリズムであり、経済的な自由主義の立場で明快な主張を展開。
現代を代表するビッグ・シンカーの一人であり、前著に続いて「エコノミスト」誌ブック・オブ・ザ・イヤー賞を受賞している。
3.本書の概要
――「開く」ことが出来る人・組織・国家だけが生き残る――
始めに、「交易者と部族民」
ホモ・サピエンス(現生人類)は協力的な生物種である。
他の多くの動物と比べると、ヒトは特に強くもないし、足も遅いし、外皮も弱いし、空も飛べず、泳ぐのもあまりうまくはない。
だが、優位性をもたらすものがある。他の人間たちだ。
言葉の発達と社会関係を把握する過大な脳のおかげで、大規模な協力が可能とまり、他人のアイデア、知識、労働が使えるようになった。
この協力のお陰で、人工的な強さ、速度、衣服や医療といった優れたものが得られた。
そして、動物界のどんな生物よりも早く空を飛び、海を渡れるようになつた。
人は生まれながらの交易者である。
絶えず他人とノウハウや頼み事や材を交換し、自分一人の才能や経験に限定された場合よりもずっと多くの事を実現できる。
人は絶えず機会を探していて、他人と新しい提携や協力関係を開始するのは実に簡単である。
知識や材の共有は、人が地球上の様々な過酷な気候の下で生きの美、繁栄できるようにしてくれた。
これが科学を生み出した。
科学は、知識の交換、批判、比較、蓄積に基付いている。
また技術も産み出した。技術は科学を実務的な問題解決に適用することだ。
著者の主張は、「オープンな制度の下ならば、人々は人格的傾向がどうあれ、多くの問題を解決し、違う性質の人々が出会う可能性を高め、思想や仕事がお互いの可能性を豊かにする可能性も高まるということだ。
人は交易者であると同時に部族民でもある。
協力はするが他の部族民とのゼロサムゲームを勝ち抜かなければならない。
これが『オープン』と『クローズド』の闘いにつながってゆくのである。
次号(第67回)では、
人類が過去のわずか200年で、それまでの2万年を上回る進歩をいきなり遂げた理由について、次の順序で紹介したい。
第Ⅰ部『オープン』では、オープンな社会が現代社会をどのように形成されたかを示す。
第1章・オープンな交流
第2章・オープンな門戸
第3章・オープンな精神
第4章・オープンな社会
第Ⅱ部『クローズド』では、何故『オープン性』が、歴史的にも現在でも、常に脅かされているかを検討したい。
歴史は繰り返すことはない。
だが、人間の本性は繰り返されるのだということを次の章立てで示したい。
第5章・「やつら」と「おれたち」
第6章・ゼロサム
第7章・将来への不安
第8章・戦うか、逃げるか
第9章・オープンかクローズドか?
ーー以下次号に続く
『鈴木貞夫年譜・2023年第1四半期①』
1月 4日・年始朝礼
10日・フードボイス月例会(於・学士会館)
11日・朝礼
13日・日本フランチャイズ協会・新春講演会・賀詞交歓会
(於・ザ・プリンスパークタワー東京)
17日・朝礼
・部門長会議
24日・朝礼
・部門長会議
30日・月例取締役会
31日・朝礼
・部門長会議
以上
<次号は『鈴木貞夫言行録」(第67回)を掲載します>
――バツクナンバーは<鈴木貞夫プロフィールと『目次と索引』>を検索してください――