健康ニュース 2月15日号 腸内悪玉菌は必要?

     

隣家のインテリ夫人「近くの会館で健康講演を聴いてきました。腸の話でとても参考になりましたわ」

隠居中の大御所 暈穀菜「それは良かったね。腸内細菌の話かな?」

隣家のインテリ夫人「そうですよ。こういうものを食べると腸内善玉菌が増えるとか、こういった飲食物は悪玉菌を増やすので控えめにしましょう、というような内容でしたわ。腸内細菌って大切ということがよく分かりましたわ」

隠居中の大御所 暈穀菜「やはり腸内善玉菌、腸内悪玉菌、腸内日和見菌と言っていたのだね」

隣家のインテリ夫人「そう言っていましたけれども、何か問題があるのですか?またいちゃもんを付けようとしているのでしょう?」

隠居中の大御所 暈穀菜「善玉菌という言い方は納得だが、悪玉菌とか日和見菌という表現が気になるのだがね。文字通りに悪玉菌なら、全て無くしたほうが良いと思わないかな?講師は、日和見菌は腸内環境によって善玉菌にも悪玉菌にもなるとか言っていただろう?そうだとしたら、日和見菌自身は何の作用も持っていないのかな?」

隣家のインテリ夫人「ものすごい屁理屈ではないですか?専門のお医者さんでも腸内悪玉菌とかは言っていますよ」

隠居中の大御所 暈穀菜「そうだよね。昔だがコレステロールが注目され始めた時、善玉コレステロール、悪玉コレステロールという表現を、専門の医師も何の疑いもなく使っていた。その後悪玉コレステロールにもエネルギーを全身に運ぶ働きがあるということなどが分かり、悪玉コレステロールなんて言わなくなったよね。少し専門的な表現で、善玉コレステロールをHDLコレステロール、悪玉コレステロールをLDLコレステロールと言っているだろう。前者を高比重リポ蛋白、後者を低比重リポ蛋白とも言っている。同じように悪玉腸内細菌にも何らかの欠かせない作用があるのではないかと思って調べているのだ」

隣家のインテリ夫人「調べた結果はどうなのですか?納得できる説明でもありましたか?」

隠居中の大御所 暈穀菜「面白い説もあるので紹介しようかね。何人かの専門家が言い始めているのだが、いわゆる腸内善玉菌を、バランス調整菌、腸内悪玉菌をバランス攪乱菌、腸内日和見菌を能力未知菌という分類で説明しているよ。どうだい?これだと腸内悪玉菌を皆無にしようなんて考えないだろう?腸内日和見菌などという表現よりも、能力未知菌なんて言う言い方は面白いね、今後どんな有用な作用が発見されるか楽しみだよね」

隣家のインテリ夫人「何となく理解できそうな気になりますね。日和見主義なんて言う言葉も、あまり良い意味では使われていませんし、能力未知菌なんて今後が期待大ですね。興味ある表現と思いますわ」

隠居中の大御所 暈穀菜「今後、医学界でも腸内悪玉菌なんて言う表現を改めていく気がするね。庶民は悪玉と言えば無い方が良い!と思うことは間違いないからね。悪玉菌の代表格の大腸菌だって、感染防御作用を担っているとか、自然免疫を高めるために欠かせない菌ということが分かってきた。悪玉菌だから無くそうと考えてしまったら大変なことになるよね。体の中に存在している以上は何らかの作用を担っていると考えるべきだ。健康な腸内細菌の働きと、病気になった時の腸内細菌のバランスだってまだまだ未知のことが多いのだね。分かっていることの一つは、旨い冷酒と肴の組み合わせが腸内環境を良くすることだ。早速一杯やろうかね」