<コンビニ創業戦記『鈴木貞夫言行録』>(第70回)

      2023/08/11  

第6章・(株)ミトリズ時代

『最近の読書シリーズ」(其の9)

 ヨハン・ノルべリ著『オープンを読んで』(その5)

 第Ⅱ部・『クローズ」②

 第8章・戦うか、逃げるか

 <オーピン性への反抗>

 かつて『自由』は、あらゆるところで見られるべき普遍的価値と思われていたが、

 今何やらはおっかないものに思われてきている。

 難民が増えて押し寄せてくると尚更だ。

 <陰謀論のメカニズム>

 最近ではプーチンのウクライナ侵攻が典型的な例だ。

 新しい敵が必要だったから、「罪深い西欧がロシアを破壊したがっている」という

 お話をでっち上げたのだ。

「アメリカを再び偉大にする」というトランプの野心も似たようなものだ。

 人々は状況が厳しいと陰謀論を信じがちになり、横暴な支配を正統化する。

  中国のパラドックスは、他のあらゆる独裁主義と同じように意外性を嫌うことだ。

 中国指導層は自分たちの気に入るものにはオープンだが、

   無価値だと思うとクローズしてしまう。

 彼らは国民の考え方を統制しようとし、新規性の絶え間ない創発に欠かせない正統性と

 相容れない創造性を弱めようとする。

 だが、新しいイノベーションはそうした部分からしか見つからないのだ。

 大きな経済停滞が、ゼロサム思考や陰謀論、スケープゴート糾弾の増大をもたらすのは、

 経済史の法則といえる。

 だからといって、オープン性がお先まっ暗ということではない。

 ただ、それが絶えず攻撃にさらされるということである。

 第9章・オープンかクローズドか?

 既にはっきりしているが、自由市場至上主義にも問題や困難がいくらでもあるが、

 専制主義的な仕組みとは違い、改善の可能性がある。

 実験、フィードバツク・ループ、自己矯正の仕組みが沢山あるからだ。

 自由市場とオープンな市民社会は、人々のニーズ、利害、要求に応じて

 絶えず変わっている。

 オープンな社会は閉じた社会より安定している。

 不満は苦情や議論、新しい集団や政治組織に振り向けられ、

 仕組みをひっくり返すのではなく、平和的に変えられるからだ。

 この仕組みが滅亡の恐れに直面しているようには見えない。

 大きな世界的紛争が起きつつあるが、それは文明の衝突ではなく、

 文化をオープンにしておきたい人々と、閉ざしたい人々との衝突である。

 世界は「非ゼロサムゲーム」で在り、社会と市場をオープンにして

 国境を超えて協力できれば、みんな繁栄できると思っている人々と、

 世界は「ゼロサム」で、繁栄の唯一の道は市場や社会を部外者から守り、

 他の人々の負けを実現することだと考える人との対立である

 現在の文明の主要な脅威はこれである。

 <どうやったら、この悪循環を破れるのか?>

 既に悪循環が始まっている。

 それは恐怖と部族主義の増大で始まり、ゼロサム思考と将来への不安が拡大し、

 群れたがりが生じる。

 それを どうやって破るか。

 先ず深呼吸をしよう。

 感情に支配されてしまうと、「オレたちVSヤツら」が時に勝利する。

 そうしないために、物事を考え抜き、自分の偏見を疑問視して、

 もっと調べようと判断できる。

 歴史を学べば、オープン性が人類の進歩をもたらししたことも分かる。

 経済学を学び、生産と交易がゼロサムでないことを知ろう。

 知識を活用してプラスの総和をもたらす結果を可能にする制度つくりに適用しよう。

 そして、かつての文明がそれを怠ったせいで亡びたことも学ぼう。

 過去10年で、私たち人類がずっと苦しんできた情報が少なすぎる世界から

 情報が多すぎる世界へと移行した。

 これは壮烈な変化で、飢餓の世界から食べ物が余る世界に移行したのにも匹敵する。

 部族主義は、ホモサピエンスの一部でしかないことをぜひ思い出そう。

 人は部族主義者だが、交易主義者でもある。

 人は自らを閉ざす傾向があるが、自分を開く傾向もある。

 見知らぬ人を恐れたが、新しい伴侶となり、取引して学べる見知らぬ人と会ったお陰で

 繁栄もできた。

 人は常に自分の敬意の範囲を広げ、視点を変えることで外集団を内集団に変え、

 個人に注目したり、横断的なアイデンティティに注目したりすることで、

   敵を味方に変える。 

 人は差別が得意だが、古い合図がもはや無意味だと認識するのも得意で、

 状況変化に適応し違う習俗が不道徳な行動とは違うというのを認識するのも上手だ。

 人は部族主義と寛容性の両方の配線を持つ。

 そして知的環境は、この複雑な人格の違う部分を強化する。

 集団こそ全てで、個人など取るに足らないと告げる文化は、

 お望み通り、取るに足らない個人しか得られないものだ。

 オープンな世界を救うには、個人が親切で、温かくほんわかした存在となり、

 経験し、学習し、生長を続けるオープン性という心理的な性向を持つことが重要である。

 政治の面で私たちにできること最も簡単なことは、私たちを互いに戦わせ、

 外集団やマイノリティへの恐怖を掻き立てようとする専制主義者たちを拒絶することだ。

 確立した民主主義ですら ポピュリスト的な反乱と専制主義の乗っ取りに会いかねない

  という洞察は、新たな活力をもたらすはずだ。

 願わくば、現在の政治的な混乱の時代を見て、偽善が高くつくことを学んでほしい。

 文明の興亡を研究したイギリスの歴史学者アーノルド・トインビーは、

 社会を安易に生命に例えることに反対し続けた。

 生命は自然が決めた寿命を持つが、社会には「寿命」などない。

 だから高齢や 自然要因で死んだりしない。

 「社会が死ぬときは、自殺か他殺だ」、とトインビーは結論している。

 これまでの歴史上の開花を全て台無しにしたのは、オープン性の終焉だった。

 だが今回の開花は、まだ救えるかもしれないのだ。    以上

 ――次号からの「最近の読書シリーズ」は、マーカス・K・ブルネルマイヤー著

『レジリエントな社会<危機から立ち直る力>』(日本経済新聞社刊)を紹介します。--

鈴木貞夫年譜・2023年度第三4半期① 』

7月度 4日・朝礼 

      ・部門長MT 

   11日・朝礼

      ・PJTMT

      ・部門長MT

      ・フードボイス月例会(於・学士会館)

   12日・経営会議

      ・如水会埼玉南支部例会(於・浦和)

   13日・下期方針確認会

   14~15日・社員旅行(南三陸)

   19日・朝礼

      ・部門長MT

   25日・朝礼

      ・部門長MT

   31日・月例取締役会 

                             以上

(次号は『鈴木貞夫言行録』(第71回)を掲載いたします)

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